8割超が「ビジネスと人権」の重要性を認識も、取り組み実施は9.1% フォーバル GDXリサーチ研究所調査
フォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業を対象にした「2025年度第1回 中小企業経営実態調査」を実施。人権策定などの対応の実態を発表した。
調査概要
調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所調べ
調査期間:2025年7月8日~2025年8月8日
調査対象者 :全国の中小企業経営者
調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
有効回答数:932人
出典元:フォーバル GDXリサーチ研究所
「ビジネスと人権」への対応 経営上の重要課題と認識も方針未策定が約9割
本調査で「ビジネスと人権」への対応の重要性をたずねた設問では「非常に重要だと思う(30.2%)」「ある程度重要だと思う(51.2%)」という結果に。約8割の企業が重要ととらえていることが浮き彫りになった。
しかし、「ビジネスと人権を重要だと思う」と回答した758社のうち、人権を尊重する方針を策定している企業はわずか9.1%だった。「現在策定中(5.9%)」を合わせても15.0%にとどまっており、「策定していないし、予定もない」と回答した企業は34.3%に。必要性の認識と、制度整備の間に大きなギャップがうかがえる。
従業員の人権を守るために行っている取り組みは?
続いて、従業員の人権を守るための取り組みについて質問。その結果「労働時間・休暇・安全衛生などの労働環境の適正管理(66.1%)」が最も多く挙げられた。次いで「ハラスメント防止に関する方針の策定と研修の実施(26.4%)」「メンタルヘルスや福祉制度などの従業員支援体制の整備(24.8%)」が続いている。一方で「行っていない」という回答が22.8%となった。
取り組みを行う上での課題としては「専門知識やノウハウを持つ人材がいない(36.6%)」「他の経営課題が優先されている(34.6%)」「対応にかかるコストや時間が確保できない(32.8%)」が上位に。なお、取り組みを行っていない企業に理由をたずねた項目では「他の業務が優先されている(29.5%)」「何から始めればよいか分からない(27.2%)」といった声が挙がっている。
一方、取り組みを行った企業に「得られた効果」も質問。「社員の満足度や定着率の向上(56.8%)」「リスクの低減(37.1%)」「取引先や顧客からの信頼向上(21.5%)」という回答が上位を占めた。
まとめ
本調査では多くの企業が人権への対応を重要だと認識しながらも、方針として策定するには至っていない実態が浮き彫りになった。従業員の人権を守るための取り組みにおいては、人材・コスト・時間などが課題となっているようだ。
取り組みを実施した結果、社員の満足度や定着率の向上という効果を実感する企業が多いことも判明した。単なる法令遵守やリスク回避としてではなく、人材活用の投資として重要であることが示唆されたといえるだろう。同研究所は、より効果的な取り組みとするために 「社内全体で人権対応の意義や具体的な方法を共有することが必要だ」と提言している。取り組みの実施の検討の際に、ぜひ参考にしたい。














