2025年9月国内景気、4カ月連続改善も企業間格差は過去最大 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万5546社を対象とした2025年9月の国内景気動向を調査・集計。景気DIが前月比0.1pt増で、小幅ながらも4カ月連続での改善がみられたことを報告した。一方で、毎月紹介している企業規模別の集計結果では、企業間格差が過去最大となっているようだ。
小幅ながらも4カ月連続の改善となった2025年9月の景気DI
TDBの発表によると、2025年9月の景気DIは前月比0.1pt増の43.4となり、小幅ながら4カ月連続で改善した。「不動産」や「建設」など、5業界で改善した一方で、『小売り』「製造』など4業界で悪化。猛暑特需の一巡や企業収益の下押し圧力が一部で強まったが、好調な建設需要やデジタル関連の設備投資意欲も堅調だった。
その一方で、企業間格差は5.7に拡大。調査開始以降で最大を記録した。中小企業・小規模企業においては厳しい状況であったことがうかがえる。
今後の国内景気についてTDBは、家計の実質購買力の行方に注目しつつ、当面横ばい傾向での推移を見込んでいる。
大規模は5カ月連続改善も規模間格差が過去最大に
「大企業」(48.2):前月比0.4ポイント増
大企業は5カ月連続での改善となり、「建設」では6カ月ぶりにDI50台に回復。そのほか「サービス」も改善をけん引したようだ。設備投資意欲DIも6カ月ぶりに50を超えている。
「中小企業」(42.5):前月比0.1ポイント減
4カ月ぶりに悪化した中小企業。12業種中8業種が下向いた「製造」が、全体を下押ししたという。「運輸・倉庫」でも荷動きの悪さから悪化がみられている。
「小規模企業」(41.5):前月比0.2ポイント減
小規模企業は2カ月ぶりの悪化。特に来店者数の減少で「飲食店」が大幅に落ち込むなど「サービス」の悪化が目立ったという。一方で、賃料や物件価格の高騰により「不動産」では改善がみられている。
調査概要
調査期間:2025年9月16日~9月30日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万5546社、有効回答1万554社、回答率41.3%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2025年9月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
2025年8月には11カ月ぶりに全規模でそろって改善がみられたものの、中小企業・小規模企業においては再び悪化傾向となった2025年9月の景気動向。企業規模間格差は再び拡大し、過去最大を記録した。
原材料・物流コストの高止まりは続いており、仕入単価の上昇の販売単価への転嫁が再び遅れはじめ、企業収益への下押し圧力が増しているという。最低賃金の引き上げや人手不足、日銀の利上げや米国の利下げ、さらにトランプ関税の影響など、今後も厳しさは続くと考えられる。
個人消費の底上げや旅行需要、AI関連の設備投資といった上向き要因がどこまで下支えするか、引き続き動向に注目したい。














