「人手不足」倒産1-9月累計が過去最多、初の年間300件超か TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年1-9月の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。なお後継者難は対象から除いている。
月間最多の46件で累計も過去最多に
TSRの報告によると、2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は46件(前年同月比109.0%増)を記録し、調査を開始した2013年以降では月間最多であった。また、2025年の1-9月累計についても、285件(前年同期比31.3%増)で過去最多を記録。人手不足の深刻さがより一層増していることが浮き彫りとなった。
1-9月の傾向としてTSRは「従業員退職」が前年同期の1.6倍に急増した点に注目。人材の流動化が鮮明になり物価高で企業収益が圧迫される中で、賃上げ原資を確保できない企業では新たな採用も難しく、特に深刻な状況となっている様子がみられたという。「人件費高騰」の影響も深刻さを増し、TSRは「今後も人手不足による倒産が加速する可能性が高い」とみている。
TSRは要因別の集計結果についても報告しており「求人難(105件/前年同期比16.6%増)」「人件費高騰(92件/同26.0%増)」「従業員退職(88件/同62.9%増)」が過去最多になったという。
出典元:2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
TSRは「今後、コストアップで収益確保が難しい中小企業を中心に『人手不足』倒産は増加が続く」と予測。年間300件の壁を初めて超えることは確実だという。
従業員の採用や離職防止において避けられない賃上げ。今年10月から、最低賃金は全国平均1121円に引き上げられた。物価高による仕入れ価格の高騰も続いており、価格転嫁しづらい中小企業にとってはますます厳しい状況となることだろう。賃上げ原資を確保や離職防止の施策など、これまで以上に優先度が高くなてきているといえる。














