「企業理念の浸透」経営層と一般社員に温度差 TCD調査
ブランディング会社TCD(東京・銀座/兵庫・芦屋)の調査研究ユニット「Culture Insight Labo(所長:山崎晴司)」は、企業理念(パーパス・ビジョン・価値観など)が、働く人々の日々の仕事や意識にどのような影響を与えているのかを明らかにするための調査を実施。2025年5月、全国の企業に勤める696名(従業員数21名以上/理念策定済み企業所属)を対象に行った調査結果を公表した。
調査概要
調査対象:従業員数21名以上の会社・団体に属し、且つ企業理念が策定されていると回答した22歳〜65歳
・男性414名、女性282名 計696名
・経営者/役員、管理職(部長以上)、正社員、契約/派遣社員
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年5月10日〜2025年5月20日
出典元:企業理念に強く共感する社員「1桁」が示す、社内ブランド浸透の難しさ!(株式会社TCD)
理念を「はっきり覚えている」のは14% 現場と管理職以上の認知ギャップ
企業理念の浸透度について、職位間で格差が見られた。経営層・管理職の40.3%が「はっきり覚えている」と回答したのに対し、正社員で確実に認知している層は14.3%まで低下。さらに、正社員と契約/派遣社員の中で、理念に「とても共感している」と回答した人、日常業務で理念を「よく意識している」と回答した人は、いずれも7.6%と1桁台にとどまった。同社は「企業理念を実践へと結びつけるためには『共感』のスコアアップが重要」と指摘している。
また、本調査では理念を「判断基準になる」「モチベーションが上がる」など、ポジティブに受け止めている人は約6割だった。ネガティブな印象を持たない人が、約8割にのぼることも可視化された。
理念に求める要素としては“シンプル・具体的・進化”が挙げられており「新人でも理解できる平易な言葉」「実践できる内容」「時代に応じたアップデート」を求める声が多かった。
まとめ
同社は本調査結果を受けて、理念を社内により浸透させるためには「シンプルさ」と、自分ごととして捉えられるような「ストーリー化」が必要だと指摘。さらに、具体的な行動指針として機能させる仕組みづくりに取り組むことが重要だと提言している。
企業理念は、従業員にとって日々の業務を遂行する際の「軸」や「指針」となるものだ。自社が目指している方向を明確にすることは、モチベーションはもちろん業績にもつながってくる。企業理念の在り方について、検討する際には本調査結果を参考にしたい。














