災害・有事に備えたBCP、策定済・策定予定の企業は半数以下 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は10月1~8日、 台風や地震などの自然災害や感染症、テロなど、不測の事態に備えたBCP(事業継続計画)についてアンケート調査を実施。BCPを「策定済み」の企業は28.4%にとどまり「策定する予定」21.4%を含めても、49.8%だったことを報告した。
調査概要
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2025年10月1日〜8日
有効回答:6084社
出典元:「BCP」企業の49.9%が策定意向、伸び率は1%台 形骸化の懸念も、人材とノウハウ不足への支援が急務(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義
スキル・ノウハウ不足から未策定の企業が半数に
TSRによると台風や地震などの自然災害や感染症、テロなど、不測の事態に備えたBCP(事業継続計画)を策定している企業は28.4%。また、BCPの策定を予定している企業は21.4%で、策定済みと合わせても49.8%であった。一方で「策定したいができない(16.0%)」「策定の予定はない(34.0%)」と、およそ半数の企業で、BCP策定への取り組みが進んでいない現状が明らかになった。
策定していない理由としては「策定に必要なスキル・ノウハウがない(52.2%)」が最も多く、5割を超えた。次いで「人材がいない(43.8%)」が挙げられており、BCPの策定に必要なスキル・人手・時間の確保が、企業の規模を問わず大きな壁となっている現状が浮き彫りとなった。
またTSRは、規模別に前回調査との比較を実施。「策定済み」は大企業が61.8%で前回(60.5%)より1.3ポイント上昇。中小企業は25.6%で、前回(24.5%)より1.1ポイント上昇したことがわかった。「策定済み」は大企業が中小企業の2.4倍に達するが、伸び率は同水準だ。
まとめ
地震や台風、自然災害が相次ぐ中で、BCPの重要性を認識する企業は少なくないだろう。しかし、未策定の企業も多く、策定済みの企業は3割未満にとどまっている。策定が進まない要因として挙げられたのはスキル・人手・時間の不足。策定済みの割合が大企業の半数以下となった中小企業においては、特に厳しさがうかがえる。
TSRはこうした状況下において、策定済みの企業であっても想定を超える影響で十分に対応できなかったケースがあるとして、形骸化への懸念を示している。まずは策定に向けて取り組むということはもちろんだが、運用における継続的な見直しについても実施していく必要があるだろう。
BCPの策定については、支援を行っている自治体や商工会も多い。また、中小企業基盤整備機構では、中小企業向けに「事業継続力強化計画」の認定制度を設けて、策定支援に取り組んでいる。こうした支援を受けることも含め、不測の事態への備えについて、改めて見直したい。
参考:BCPはじめの一歩 事業継続力強化計画をつくろう!(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)
参考:事業継続計画(BCP)策定支援制度(大阪府商工会連合会)














