「福利厚生の充実」約半数の企業が採用・定着率向上を目的に前向き TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万5546社を対象に、福利厚生に関する企業の実態についてアンケート調査を実施。前向きな意向を示す企業が半数近くに及ぶ一方で、中小企業では資金的余裕が乏しく厳しい状況にあることなどを報告した。
調査概要
調査期間:2025年9月16日~9月30日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国2万5546社
有効回答企業数:1万554社(回答率41.3%)
出典元:福利厚生に関する企業の実態調査(株式会社帝国データバンク)
福利厚生の充実を予定する企業が約半数 中小企業は資金面が課題
TDBによると今後、法定福利を除く福利厚生を充実させる予定について次のような結果となった。「内容を充実させる予定(17.4%)」「金額を充実させる予定(4.6%)」「内容・金額の両方を充実させる予定(25.6%)」と、合計すると『福利厚生を充実させる予定』の企業は47.6%と5割近くにのぼった。なお『福利厚生を充実させる予定』の企業は目的として、採用対策や定着率の向上を挙げる企業が多くみられた。
続いて、規模別に『福利厚生を充実させる予定』の割合を分析。その結果「大企業」は57.9%と全体(47.6%)を10.3ポイント上回った一方で「中小企業」は45.8%、うち「小規模企業」は38.5%だった。企業規模が小さいほど、割合が低くなる傾向がみられている。
TDBは「中小企業から、最低賃金の引き上げなどによるコストアップが続くなか資金的余裕がないといった声が寄せられた」ことも報告。大企業との格差を課題にあげる回答も挙がっているという。業界別では「建設:58.7%」「運輸・倉庫:55.1%」が高い割合を示した。
取り入れている福利厚生は「従来型の制度」が上位に
続いて、自社で取り入れている法定福利を除く福利厚生について質問。「通勤手当(85.5%)」「慶弔休暇(85.4%)」「慶弔見舞金(76.1%)」「退職金(76.0%)」「傷病休暇(65.9%)」「その他特別休暇(55.7%)」「家族手当(52.5%)」など、従来型の福利厚生が上位にランクインした。
「短時間勤務(37.5%)」「時差出勤(28.9%)」「在宅勤務(28.5%)」「フレックスタイム(19.5%)」などの働き方改革関連や「人間ドック(36.6%)」「メンタルヘルス相談(28.1%)」など健康支援に関する制度は、比較的低い導入率となっている。
なお「中小企業」では「メンタルヘルス相談」「社宅・寮」「永年勤続表彰」が「大企業」より30ポイント以上低い結果に。また「短時間勤務」「在宅勤務」「時差出勤」など、働き方改革に関する制度も柔軟な人員配置がより困難であるほか、IT環境の整備に必要な資金力に限りがある中小企業では、導入割合が大企業を大幅に下回ったことが明らかになった。
まとめ
福利厚生に関する企業規模による格差が明らかになった、本調査。人材獲得・定着のため、福利厚生の充実は欠かせない取り組みとも言える。資金面などの課題を抱える中小企業では、より工夫した取り組みが必要となるだろう。TDBはこうした調査結果を受け、政策的支援や簡易モデルの整備の必要性を指摘する。
他社での取り組みなども含め、自社の福利厚生の課題解決や改善の参考にしたい。














