2025年11月飲食料品値上げ143品目、年内最少に TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2025年11月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析。2025年11月の飲食料品値上げは合計143品目となり、単月の値上げ品目数としては6カ月ぶりに1千品目を下回り、2025年内では最少となった。
2025年11月の値上げは143品目 年内最少で11カ月ぶりの減少
TDBの報告によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした11月の飲食料品値上げは143品目。また、1回あたりの値上げ率平均は17%だった。前年11月(344品目)からマイナス201品目・マイナス58.4%と、11カ月ぶりに前年を下回り、単月の値上げ品目数としては6カ月ぶりに1千品目を下回った。2025年内では最少で、統計を開始した2022年以降では2024年12月(109品目)、2023年11月(139品目)に次ぐ3番目の低水準となった。
通年の値上げは累計2万580品目。前年の実績(1万2520品目)を64.4%上回り、2023年(3万2396品目)以来、2年ぶりの2万品目超えとなった。1回あたりの値上げ率平均は15%と、前年(17%)をやや下回る水準である。
値上げ要因「物流費」「人件費」が前年から大幅増
食品分野別では「調味料(6221品目)」が最も多く、前年(1715品目)からプラス4506品目・プラス262.7%と大幅に増加。年間では2022年以降で2番目に多い水準となった。また「酒類・飲料(4901品目)」は、清涼飲料水のほか、ビール、清酒、焼酎、ワインといった洋酒など広範囲での値上げがみられ、前年比で8割を超える大幅増であった。
値上げ要因としては、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なったとTDBは分析している。特に「物流費」「人件費」はともに前年から大幅に増加したという。一方で「円安(12.4%)」を要因とする値上げは前年から大幅に低下。飲食料品の値上げは内的要因による物価上昇にシフトしていることがわかった。
10月31日まで判明している2026年の値上げ予定品目数は500品目を超えたものの、前年同時期時点で判明した2025年実施予定の値上げ品目を下回る水準だという。TDBは2026年の値上げペースについて、今年に比べて鈍化する可能性があると現時点ではみているようだ。
出典元:「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年11月(株式会社帝国データバンク)
※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント。
※値上げ率は発表時点における最大値を採用。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。
まとめ
2025年の飲食料品値上げは、前年実績比1.7倍程度で着地する見通しと報告されている。輸入インフレの圧力は和らぎつつも、国内の経済情勢に起因した持続的な値上げ圧力が強まっているようだ。TDBは値上げラッシュが本格化した2022年当時に比べ、値上げへの理解も消極的ながら進んだと解説。その影響もあり、抜本的な価格体系の再編を行う企業・商品が多くみられたことも、2025年の値上げ品目数を増加させた要因となっている。
2026年は鈍化するとの予測も出ているが、その一方で、食用油や原料米などの価格高騰が続き、局所的な原材料高がみられている。来年以降にもう一段の値上げに踏み切るケースも、想定されているという。値下げや据え置きへの好材料は乏しい状況となっており、今後の動向も注視が必要だ。














