2025年1-10月「人手不足」関連倒産、年間最多を更新 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年1-10月の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した(※後継者難は対象から除く)。
2025年1-10月「人手不足」関連倒産が前年同期比3割増に
TSRの発表によると、2025年1-10月の「人手不足」倒産は前年同期と比較して30.7%増の323件に。年間最多だった2024年の292件を2カ月残して上回った形となり、調査を開始した2013年以降で初めて年間300件を超えた。
内訳についてTSRは「従業員退職:95件(同53.2%増)」「人件費高騰:114件(同37.3%増)」で大きく増加がみられたことを報告している。
また、資本金1000万円未満の小・零細企業が202件(前年同期比31.1%増)と、構成比62.5%を占めることも判明。TSRは人材の流動化が加速する中で、物価高の影響もあり賃上げ原資を確保できない小・零細企業では労働力の閉塞感がより一層強まっていると指摘。「事業の発展や現状維持も難しい企業を中心に、倒産を押し上げる可能性が高まっている」と解説している。
出典元:1-10月の「人手不足」倒産323件、年間最多を更新 労働集約型で倒産が急増、「従業員退職」が1.5倍増(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
2024年1-12月には289件の「人手不足」倒産が判明し、過去最多を更新していた。2025年1-10月は323件と、さらに増加。人手不足の深刻化が改めて示唆された。
また「人件費高騰」の件数も昨年から1.37倍と大幅に増えている点にも注視が必要だろう。人手不足の解消にあたって、待遇改善・賃上げが不可欠とも言える現在、その賃上げが資金繰りを圧迫するという事態が起こっている。
大企業と中小企業では賃金格差も広がっており、TSRは「防衛的賃上げ」についても限界に達したとみている。増勢を示し続けている「人手不足」関連倒産。今後もその動向に注目したい。
参考:2025年度の「賃上げ」 82.0%の企業が実施 産業別トップは運輸業、トランプ関税の影響もジワリ(株式会社東京商工リサーチ)














