2025年10月の国内景気5カ月連続改善、企業間格差やや縮小 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万5111社を対象とした2025年10月の国内景気動向を調査・集計。景気DIが43.9と前月と比較して0.5pt増加。5カ月連続での改善となったことを報告した。特に中小・小規模企業では2025年で最高水準となり、規模間格差の縮小もみられている。
株高や農・林・水産の改善が後押しし5カ月連続の改善
TDBの発表によると、2025年10月の景気DIは5カ月連続での改善をみせ、前月から0.5pt増加の43.9となっている。5カ月連続での改善は2020年10月以来5年ぶり。「農・林・水産」や「製造」「不動産」など、9業界で改善がみられたという。農産物の価格上昇や、好調な一部自動車メーカーがけん引役となり関連する業種へと波及したようだ。
規模別では中小・小規模企業において改善がみられた一方で、大規模企業が悪化。企業間格差は5.7から4.9へとやや縮小した。
今後の国内景気についてTDBは、高市政権の経済対策に関心が集まっていると解説。実質購買力の回復が焦点になるとみているようだ。一方で「財政拡大にともなう長期金利の上昇や日銀の政策金利の引き上げ、為替レートの変動、トランプ関税の影響には注視が必要だ」と指摘している。
大規模は悪化も中小・小規模で改善 規模間格差が縮小
「大企業」(48.0):前月比0.2ポイント減
6カ月ぶりの悪化をみせた大企業。「不動産」はDI50台後半と高水準を示したが価格の落ち着きがみられたことなどから、景況感を押し下げる要因になった。
「中小企業」(43.1):前月比0.6ポイント増
中小企業は2カ月ぶりの改善となった。大企業の設備投資などが活発化し始めた様子がみられており「製造」では12業種中10業種が上向くなど、全体をけん引している。そこに連動する形で「卸売」も好調だった。
「小規模企業」(41.5):前月比0.7ポイント増
同じく2カ月ぶりの改善となった小規模企業。米や鶏卵の価格上昇を受けた「農・林・水産」が大幅に改善したという。また、設備投資の影響で好調な「建設」も改善の要因として挙げられている。
調査概要
調査期間:2025年10月20日~10月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万5111社、有効回答1万427社、回答率41.5%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2025年10月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
半年ぶりに大企業で悪化がみられたものの、中小企業・小規模企業では2025年で最高水準となる改善がみられ、規模間格差の縮小へとつながった。国内景気全体でも5カ月連続の改善と、徐々に持ち直している。
2025年10月21日、第104代首相に自民党の高市早苗総裁が指名され、新政権が発足した。高市政権への期待などから株価は上昇し、幅広い業種の景況感を押し上げたようだ。今後も経済対策に注目したい。一方で、マイナス要因となり得る金利の引き上げや為替レートの変動、トランプ関税の影響といった要素についても、引き続き注視していきたい。














