「電話カスハラ被害」経験者の6割が「電話対応にストレス」 トビラシステムズ調査
トビラシステムズ株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:明田篤)は、民間企業や自治体で働く人を対象に、電話によるカスタマーハラスメントに関するアンケート調査を実施した。
調査概要
調査実施会社:トビラシステムズ株式会社
実施期間:2025年10月6日〜10月8日
対象:民間企業および自治体で働く人で、過去に電話によるカスタマーハラスメントを経験したことがある男女
有効回答数:967
(民間企業でのカスハラ経験者 722/自治体でのカスハラ経験者 245)
調査方法:インターネット調査(Surveroidを利用)
出典元:【電話のカスハラに関する調査レポート】自治体での電話カスハラ被害「週1回以上」が半数、民間企業の2倍に(トビラシステムズ株式会社)
電話でのカスハラ 被害者の6割が「電話対応にストレス」
本調査では、民間企業や自治体における電話のカスハラの被害内容は「暴言・罵倒(53.1%)」「過剰な要求(46.2%)」「長時間の拘束(34.5%)」が特に多いことがわかった。また、上位ではないものの「謝罪の強要(30.7%)」や「執拗な繰り返し(25.3%)」「脅迫・威嚇(23.7%)」も決して少ないとはいえない割合であることが浮き彫りになった。
続いて、電話でカスハラを受けたことによる心身への影響についても質問。最も多く挙げられたのは「電話対応にストレスを感じた(60.3%)」だった。
そのほか「不満や怒りを感じた(53.7%)」「不安や恐怖を感じた(38.5%)」「仕事の意欲が減退した(38.2%)」「異動や退職をしたいと感じた(11.8%)」といった声も挙がっている。さらに、このことが仕事へのモチベーションを、著しく下げる要因にもなっている様子がうかがえる。また「睡眠に影響が出た(16.2%)」「通院や服薬をした(7.4%)」など、身体的な影響を挙げる回答も見られた。
カスハラ発生のきっかけと導入すべき対策とは
本調査では、電話によるカスハラが発生するきっかけについて、自治体と民間企業で異なる傾向も明らかになった。自治体では「首長や職員の不祥事・不適切行為の発生時(37.6%)」といった、問題発生時にカスハラが発生しやすい傾向がある。一方、民間企業では「時期やきっかけは関係なく、常に発生している(42.7%)」が最も多く、普段の業務の中でも日常的にカスハラが発生していることがうかがえる。
そうした中で「電話でカスハラを受けたときに、職場で対策が行われていたか」との質問には、自治体では41.2%、民間企業では58.9%の人が「いいえ」と回答。この状況に対して、自治体と民間企業のいずれも「不満」と回答した人が7割を超えた。
また、導入すべきカスハラ対策については「自動通話録音(49.2%)」「通話前の録音告知アナウンス(42.8%)」が上位に。そのほか「迷惑電話防止製品の利用(33.5%)」「ハラスメント相談窓口の設置(31.5%)」「通話の文字起こし(31.3%)」「ハラスメント対応に関するマニュアル(30.3%)」などが3割台で続いた。
まとめ
厚生労働省の調査報告書によると、過去3年間で企業に相談があったハラスメントのうち、パワハラ、セクハラに次ぎ、カスハラは3番目に多い27.9%を占めている。また、過去3年間に相談件数が増加していると回答されたハラスメントは、カスハラが最多でだった。
政府は労働施策総合推進法等の改正にあたり、カスハラ防止対策を事業主の義務と位置付けた。しかし本調査では、カスハラ対策が行われていないとの回答が民間企業では約6割と高い割合を示している。そうした状況に不満を募らせている人も約7割と、早急な対策の実施が求められている様子が見られた。
従業員の心身に深刻な影響をもたらす可能性があるカスハラ被害。企業としてどのように防いでいくか、従業員を守る体制や制度の整備を迅速に進めていく必要があるだろう。本調査結果を参考に、対策を検討したい。
参考:「 職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します(厚生労働省)
参考:令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について(厚生労働省)














