経営者の「病気・死亡による倒産」過去最多ペースで推移 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は「経営者の病気・死亡」を主因とする倒産動向について調査・分析を実施。 経営者の病気・死亡を主因とする倒産が、過去最多ペースで推移していることを報告した。
調査概要
集計期間:2000年1月1日~2025年10月31日まで
集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産
出典元:「経営者の病気・死亡」倒産動向調査(2025年1-10月)(株式会社帝国データバンク)
「経営者の病気・死亡」による倒産 過去最多を更新
TDBの報告によると、2025年1-10月に発生した経営者の病気、死亡を主因とする倒産件数は286件(負債1000万円以上、法的整理)。過去最多だった前年同期(272件)を上回ったことが、明らかになった。「このままのペースで推移すれば、前年の316件を上回って過去最多を更新する可能性が高い」とTDBはコメントしている。
1社あたりの負債額は7300万円となり、過去最少を記録。5億円以上は3件にとどまり、1億円未満の小規模倒産が大半を占めた。5000万円未満が170件(59.4%)と、全体の6割だった。
小規模企業の「後継者不在」が倒産に直結する傾向
2006年時点では5000万円未満の比率は44.3%で、1社あたりの負債額は1億1300万円。TDBは経営者の病気・死亡を要因として倒産に至る企業の小規模化が進んでいると分析している。事業規模が小さい企業ほど後継者の選定などの準備が整わず、経営者の病気・死亡はより倒産に直結すると指摘し、事業継続のための対策の重要性を示した。
TDBの「全国『社長年齢』分析調査(2024年)」では、全国の社長の平均年齢は前年を0.2歳上回る60.7歳だった。統計としてさかのぼることができる1990年から平均年齢は毎年上昇が続き、34年連続で過去最高を更新している。
参考:全国「社長年齢」分析調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)
まとめ
過去最多となった2025年1-10月の「経営者の病気・死亡」を要因とする倒産。1社あたりの負債額は過去最少となっており、小規模企業を中心に件数が増加している。経営者の高齢化と後継者不在の課題を抱えやすい小規模事業者において、経営リスクがより高まっていると言えるだろう。
事業承継には後継者の決定や育成や資金の確保、法的手続きの準備など、取り組まなければならないことが多い。しかしながら、すべての企業に「不測の事態」は起こりうる。中小企業基盤整備機構や商工会議所などの外部機関の支援を受けながら、万が一のに備えた準備を進めておきたい。
参考:事業承継・引継ぎポータルサイト(独立行政法人中小企業基盤整備機構)














