2025年10月倒産件数、12年ぶり年間1万件超で最多 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2025年10月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)を集計・分析。10月の倒産件数は今年最多の965件で、同月としては2009年(1070件)以降でも最多となったことを報告した。
調査概要
集計期間:2025年10月1日~2025年10月31日
発表日: 2025年11月11日
集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産
出典元:倒産集計 2025年 10月報(株式会社帝国データバンク)
増加傾向続き、12年ぶりに年間1万件を超える見込み
TDBの報告によると、2025年10月の倒産件数は前年同月(925件)を4.3%上回る965件となり、2025年で最多を記録。5カ月連続で前年を上回っており、10月としては2009年(1070件)以降で最多となった。
2025年は緩やかな増加傾向が続いており、1-10月の累計は8584件。前年同期(8219件)を4.4%上回り、年間累計は12年ぶりに1万件超えが見込まれている。
負債総額は前年を下回る
負債総額は前年同月(1755億6800万円)から18.9%減少の1423億2200万円と、2カ月連続で前年を下回った。
業種は「サービス業」、主要因は「販売不振」が最多
業種別にみると、7業種中4業種で前年を上回った。最も多かったのは全体の25.2%を占めた『サービス業(243件/前年同月237件・2.5%増)』で、2000年以降で3番目に多い。『小売業(210件/同188件・11.7%増)』は、10月としては2008年(231件)以来17年ぶりの200件超となった。増加率では『不動産業(38件/同28件・35.7%増)』が最も高く、5カ月連続で前年を超え、過去10年で最多となっている。
主因別の分析では「販売不振(784件/前年同月752件・4.3%増)」が、10月としては過去10年で最多に。また「売掛金回収難(2件/同3件・33.3%減)」などを含めた『不況型倒産(794件/同763件・4.1%増)』が、全体の82.3%を占めた。2025年1-10月の累計は7126件で前年同期(6804件)から増加し、5期連続で前年を上回っている。さらに「経営者の病気、死亡(37件/前年同月39件・5.1%減)」が、10月としては2000年以降最多だった前年に次ぎ、過去2番目に多かった。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計
まとめ
年間累計1万件超えが予想される、2025年の企業倒産。TDBは米関税の影響で日産自動車が2750円の営業赤字となり、本社の土地・建物を売却するといったトピックや、医療機関の倒産が過去最多ペースで推移している点に注目。経営者の病気、死亡による倒産も過去最多ペースで推移しており、その動向にも注目が集まっている。
倒産件数が増加傾向にある中で注意したいのが、取引先の倒産だろう。売掛金や受取手形の回収不能による直接的な影響はもちろん、原材料や部品の供給中止による業務運営の停滞、新たな取引先の確保に要する時間やコストなど、さまざまな問題が発生する可能性がある。与信管理の徹底や、活用できる保険や共済の内容など、改めて確認しておきたい。














