掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

給与が「変わらない」は「下がる」と離職リスクは同等 パーソル総研調査

2025.11.14

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田亮)は 「賃上げと就業意識に関する定量調査」を実施。賃上げが進む中で、将来の給与が「変わらない」と感じる層の“働き続ける意欲”は、実質的には「下がる」と同程度の離職リスクとなっていることをまとめた。

調査概要

調査対象:20〜64歳の正社員2500名
調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査期間:2025年6月27日〜7月10日
出典元:賃上げと就業意識に関する定量調査(株式会社パーソル総合研究所)

年収が増えた人は約半数 組織要因の影響が大きい傾向

年収が増えた人は約半数 組織要因の影響が大きい傾向

2024年に「年収が増えた人」は51.9%と、約半数であることがわかった本調査。また、3%以上の増加があった人は約4割。20~30代の若年層では、約4割が「年収が上がっていない」現状が可視化された。

2024年の年収が上がった理由は「賞与・ボーナスの増額(29.6%)」「ベースアップ(29.2%)」「年齢や勤続年数により昇給した(28.2%)」が上位を占めた。組織要因の影響が相対的に大きい傾向が見られている。また、処遇改定後で給与が増えたのは若年層が中心。40代以下の2~3割が部下・後輩との「給与差の縮小」と、この先の「昇給期待の喪失」を感じていることも明らかになった。

さらに、自社でベースアップがあった人のうち、モチベーションが向上したのは約半数にとどまることも報告されている。特に年代が上がるほど、モチベーションが向上した割合は低いという。

将来の見通しが就業意識に影響

将来の見通しが就業意識に影響

49歳以下の「3年後の給与が『変わらない』と感じている層」の継続就業意向が27.0%だった。これは、「下がる」と感じている層(31.5%)と同水準となり、給与の将来見通しが就業意識に影響をもたらしていることがうかがえる。

また、40代以上の約半数が「将来的な昇給に希望を持てない」と回答。「将来の生活に不安を感じる」人は年代が若いほど多く、世代を問わず将来不安が広がっている実態が明らかになった。なお、自身の給与が上がっていても、部下・後輩との給与差が縮まった場合は約4割、この先の昇給が期待できなくなった場合は約5割で育成意欲が低下することもわかっている。

「給与が上がらない」場合、20代の4割が転職を検討すると回答している。給与以外で継続就業意向やワーク・エンゲージメントを高めるものとしては「休みのとりやすさ」「勤務時間の柔軟性」といった「時間とのバランス」や、給与調整方針の明示など「納得性とのバランス」を挙げる回答が目立った。

まとめ

本調査では、給与が「変わらない」人と「今後、下がる」と考えている人と、継続就業意向が同水準であることが可視化された。これは、インフレが進む中で、給与の現状維持を実質的な減給と捉えている人が少なくないためだと推測できる。

従業員の継続就業意向にも関わっていることも、明らかになった本調査。企業としては昇給はもちろん、「働きやすさ」につながる施策など講じていく必要があるといえるだろう。本調査結果を参考にしたい。