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倒産企業の3割「設立10年未満」10年間で6.4pt上昇 TSR調査

2025.11.17

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、025年1-10月の全国企業倒産8594件のうち個人企業を除く7162件を対象に、法人設立から設立10年未満と全倒産を比較・分析した。

設立10年未満の企業倒産が2086件 要因は「販売不振」が最多

設立10年未満の企業倒産が2086件 要因は「販売不振」が最多

TSRの発表によると、2025年1-10月の企業倒産は8594件(前年同期比3.2%増)だった。このうち個人企業を除く7162件のうち「設立10年未満」の企業は2086件(構成比29.1%)で、構成比は10年前の2016年(22.7%)から6.4ポイント上昇した。
 
原因別では「販売不振:1467件(構成比70.3%)」が最も多く、次いで「放漫経営:230件(同11.0%)」「他社倒産の余波:154件(同7.3%)」「赤字累積:105件(同5.0%)」が続いている。なお、不況型倒産「既往のしわ寄せ(赤字累積)+販売不振+売掛金等回収難」の構成比は設立10年未満が76.0%であったのに対し、倒産全体では84.2%と8.2ポイントの差が生じている。

TSRは設立10年未満の企業について 「事業基盤がぜい弱で競争力も弱い企業が多い」と分析。加えて「事業上の失敗」を含む放漫経営の構成比は、全倒産の2倍以上に達するという特徴があることを解説している。

産業別では、設立10年未満の倒産が占める割合が高いのは「農・林・漁・鉱業」や「サービス業他」などが目立った。地区別の分析結果については、最高が「関東:構成比32.1%(2986社中、961社)」で、唯一30%台に乗せたことが報告された。

出典元:「設立10年未満」の企業 倒産の3割を占める 販売不振、放漫経営が8割超、課題が浮き彫りに(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

政府が2014年に、産業の新陳代謝とベンチャーの加速を目標に掲げた「アベノミクス」では、成長戦略として開業率の倍増を目標に掲げていた。株式会社帝国データバンクの調査では、2024年に全国で新設された法人は、前年と比べて0.6%増の15万3789社。新たに市場へ参入する企業の増加は続いている。

一方でTSRの本調査では、倒産企業の3割が設立10年未満の企業であることが判明。事業や資金の計画が不十分な企業が、決して少ないことが示唆された。放漫経営を要因とする倒産件数が、全倒産の2倍以上となったことからTSRは「経営者の経験不足や見通しの甘さから倒産に至るケースが多いことを裏付けた格好となった」と解説している。

政府は2022年「スタートアップ育成5カ年計画」に取り組むことを決め、第二の創業ブームを実現するとしている。資金面のみにとどまらず、人材やノウハウ、事業拡大など多岐にわたる支援策が提供されている。その効果や活用企業の動向にも注目したい。

参考:スタートアップ政策(経済産業省)