正社員の約2割「職場で尊厳が損なわれている」と回答 リクルートMS調査
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 )は、20代から50代の会社勤務正社員を対象に「職場の尊厳に関する意識調査」を実施した。本調査は、相対的に雇用環境が保護されている正社員であっても、職場において尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)が損なわれ得ることを鑑み、その実態を明らかにしたいとの考えから実施されたもの。同社は今回の調査を通して「尊厳が保たれている状態だけでなく、損なわれている要素を排除することの重要性が見えてきた」と報告している。
調査概要
調査対象:20〜50代の会社勤務正社員(経営者・役員を除く)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年8月22〜26日
有効回答数:1338名
出典元:社員の尊厳を保つ・損なう職場とは(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)
職場で尊厳が損なわれていると感じる人が2割超
本調査では、Thomas & Lucas(2019)によるWorkplace Dignity Scaleを道谷・正木(2024)が日本語訳した「職場の尊厳尺度」の項目を用いて、職場の尊厳について測定。その結果「尊厳」に関する5つの尺度で「職場では尊厳が保たれている」と回答したのは約6割。「侮辱」の尺度では2割以上が「職場で尊厳が損なわれている」と回答した。
また、尊厳が損なわれた際の対応として「特に何もしなかった」と回答した人が約3割に及ぶことが判明。その理由には「何をしても解決にならないと思ったから」という回答が約7割を占めた。
続いて、ハラスメントを受けた経験と職場の尊厳に関する意識との関係性について分析。ハラスメント経験がない職場では「尊厳」の得点が高く、逆にハラスメント経験がある職場では「侮辱」の点数が高いことから、同社は「被ハラスメント経験は「尊厳」の棄損につながる」と解説した。
「尊厳」と「侮辱」に関係する制度や職場環境
同社は職場の尊厳に関係する人事制度として、働き方やキャリアに関して主体的に選択する機会を提供する個人選択型人事制度(リクルートマネジメントソリューションズ, 2022)を想定。会社での導入の有無について質問した結果、導入されていると認識している人の方が尊厳が保たれていると感じていることが明らかになったという。
次に、職場環境として直属上司の倫理的態度、周囲のサポート、評価の手続きの公正さ、職務特性(自律性、相互依存性、重要性)を挙げ、「尊厳」「侮辱」との関係について確認。その結果「尊厳」の得点が高い人は「上司の倫理的態度」「周囲のサポート」「評価の手続きの公正さ」の得点も高い傾向にあることがわかっている。一方で「侮辱」の得点が高い人では「上司の不正放置」「ソーシャルサポート十分度」が低い得点を示す傾向がみられたという。
さらに「尊厳」が高くても「侮辱」も高い状態の人が32.4%存在。その状態にある人は、職場で期待される成果を上げていても「情緒的消耗感」や「孤独感」を感じやすく、離職意向が高い傾向にあるとの結果が報告された。
まとめ
職場での尊厳を保つためには、ハラスメントの防止、職場ぐるみの不正につながる上司の態度の改善、働き方に関する人事制度の整備・周知などが有効であることが示唆された。また「尊厳」と「侮辱」が共に高い状態が存在することから、尊厳を高めることだけでなく、尊厳を損なう要素を取り除くことにも注力する必要があると言えるだろう。
本調査では職場での尊厳が損なわれると、職場への適応感の低下や孤独感を感じやすく離職意向も高くなりがちとの結果も報告されている。このような状況を引き起こさないよう、尊厳を保つ職場環境の整備に取り組んでいきたい。













