「育児・介護休業法に伴う柔軟な働き方」への対応「完了」は6割前後 エフアンドエム調査
株式会社エフアンドエム(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:森中一郎)は、2025年10月に施行された育児・介護休業法改正に伴う「柔軟な働き方」に関する実態調査を実施。制度整備の進捗状況や必要とされる支援について分析した結果、運用面の課題と人事・従業員のニーズのズレが浮き彫りになったことを報告した。
調査概要
調査機関:株式会社エフアンドエム調査
対象エリア:日本全国
対象者:①従業員数100名以上の企業の人事担当者/②従業員数100名以上の企業の従業員
調査期間:2025年10月10日~2025年10月14日
有効回答:①育児・介護休業法改正対応中の企業の人事担当者 206名/②従業員数100名以上の企業に勤める従業員 408名
出典元:株式会社エフアンドエム
法改正対応、10月以降も「準備中」の企業が35%
本調査では、2025年10月時点で、育児・介護休業法改正への対応を「完了している」と回答した企業は65%。35%は「現在準備中」と回答した。企業規模別の対応状況については、中小・大企業とも「対応完了」は6割前後で推移し、規模による大きな差は見られていない。こうした状況を受けて同社は「現場運用の仕組み」が課題の本質にあると指摘した。
また、自由記述の設問では運用段階での課題が多く挙げられており、制度整備が進んでも、要員配置や業務分担の難しさが障壁となっているとみられている。
人事に対して「自社では現実的ではない制度」をたずねた項目では「時間単位・半日単位の休暇取得(17%)」と「テレワークの仕組み(16%)」が上位に。同社によると、準備に手間取っている理由の1つとして「半休などの休暇取得」「テレワーク」が現場の業務状況に合わせにくいという声が挙がっている。また「要員不足」や「業務分担の難しさ」「現場の理解の欠如」なども、制度導入の大きな障壁のひとつであると浮き彫りになっているようだ。
人事担当者と従業員との意識のギャップ
続いて「子育てと仕事の両立に必要な制度」について質問。その結果、人事担当者は「始業時刻等の変更(84%)」「短時間勤務(75%)」に回答が集中した。一方で、従業員は「テレワーク(44%)」「休暇付与(41%)」など幅広く分散している。
また「柔軟な働き方を支える仕組み」をたずねた設問では、人事担当者・従業員ともに「時間単位休暇」「テレワーク」「上司や同僚の理解」など、柔軟な働き方を支える基盤を重視していることが判明した。ただし「残業の免除」では人事担当者(50%)が従業員(25%)の2倍となった。「保育園等の設置」では従業員(25%)が人事(16%)をやや上回っている。また、従業員の回答は項目ごとの票が分散していることから、画一的な制度整備ではニーズの幅に対応しきれない可能性があると推察される。
さらに「柔軟な働き方を実現するために必要と考える施策」について、男女で分析。共通点が多い一方で、女性は「成果型評価制度(60%)」「突発的な休みを取れる職場の雰囲気(66%)」など、評価の公平性や職場の理解に関わる項目が高く、現場での支え合いを重視する傾向にあるようだ。男性では「テレワークの仕組み(42%)」が相対的に高く、場所や時間の柔軟性を求める傾向が見られている。
従業員の多くが「給与が減らない範囲で柔軟な働き方を望む」と回答しているものの、「減収してでも柔軟な働き方を実現したい」という声も一定数見られた。その理由は多岐にわたっており、家庭環境や職場の状況、個人の価値観など、さまざまな要因が影響していると考えられる。
まとめ
本調査では従業員のニーズが幅広く、一人ひとり異なる背景を持つ中で、柔軟な制度設計が重要であることが示唆された。また、法改正対応の進捗をみると、運用体制に関する課題が大きいと考えられ、要員配置や業務分担など、具体的な運用体制の整備についても見直していくことが必要となるだろう。
まずは、自社の従業員がどのような背景を持ち、どのような制度運用を望んでいるか、改めて把握していくことが重要だ。














