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「後継者不在率」50.1%、「脱ファミリー」経営が加速 TDB調査

2025.11.25

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、信用調査報告書ファイル「CCR(200万社収録)」など自社データベースを基に、事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継について分析を実施した。対象期間は2023年10月-2025年10月。なお、同様の調査は2024年11月に続き通算12回目となる。

調査概要

後継者の決定状況と事業承継について
調査方法:信用調査報告書ファイル「CCR」(200万社収録)など自社データベースを基に、2023年10月-2025年10月の期間を対象に、事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継について分析
調査元:株式会社帝国データバンク
出典元:日本企業の「後継者不在率」過去最低の50.1%「脱ファミリー」経営が加速 新任社長、「同族承継」と「内部昇格」が拮抗「M&A」は僅かに低下(株式会社帝国データバンク)

後継者不在率の動向 過去最低の50.1%に

後継者不在率の動向 過去最低の50.1%に

TDBは全国の全業種約27万社を対象とした2025年の後継者動向を調査。後継者が「いない」または「未定」の企業は13.8万社となり、全国の後継者不在率は50.1%と前年(2024年)から2.0pt低下した。2016年調査以降の過去10年間では、7年連続で前年の水準を下回っており最高だった2017年から16.4pt低下。日本企業の後継者問題は、全体的に改善傾向が続いていることがわかった。

しなしながら、「企業規模によっては依然として高い後継者不在率で推移している」とTDBは指摘。中小企業基本法に基づく企業規模別でみると「大企業」では24.9%にとどまった一方で「中小企業」では51.2%、中小企業のうち「小規模企業」では全国全業種平均を大きく上回る57.3%となっている。比較可能な2023年調査からの改善幅についても「大企業」では5.5pt低下したのに対し「中小企業:3.7pt低下」「小規模企業:2.9pt」と、小規模企業ほど小幅の低下となっている。

8業種すべて「後継者不在率」が60%を下回る

8業種すべて「後継者不在率」が60%を下回る

なお、業種別では2011年以降の調査期間で初めて、8業種すべてで不在率が60%を下回った。2025年の不在率が最も高かったのは「建設業(57.3%)」だが、過去最も高かった18年(71.4%)に比べると14.1ptと大幅に低下、前年比でも2.0pt低下している。反対に最も低いのは「製造業(42.4%)」。TDBは「現状のペースで改善が進んだ場合、2020年代に不在率40%を下回る可能性がある」と予測している。

さらにTDBは2025年に代表者交代が行われた企業について、前代表者との関係性(就任経緯別)を分析。2025年(速報値)の事業承継は、血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格(36.1%)」が、これまで事業承継の形式として最も多かった「同族承継(32.3%)」を速報値段階で上回った。日本企業における事業承継は、「脱ファミリー」の動きが加速していることが可視化された。

まとめ

後継者問題が全体的に改善へ向かう一方で、小規模企業では依然として後継者不在率が高水準で推移している実態が明らかになった。またTDBは、地方においては高齢の経営者を中心に「そもそも事業承継を望まない」層が一定数存在していることを指摘。「『後継者を決めて事業を続ける』企業と、『後継者を決めず事業を畳む』企業で二分される形で、後継者不在率は急激な低下は見込めず、当面は50%前後で推移するとみられる」とコメントした。

一定の成果をあげているとみられる後継者問題への取り組みだが、今後も引き続き支援策の充実が求められるだろう。特にTDBは「事業承継に携わる当事者の間で「認識の差=ミスマッチ」に端を発した、いわゆる「あきらめ」防止が課題となる」と解説している。脱ファミリーの動きが加速する中で、よりていねいなマッチングが重要になりそうだ。