退職代行利用者「チームワーク志向が強い傾向」 パーソル総研調査
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田亮)は「離職の変化と退職代行に関する定量調査」の結果を発表。本調査は、近年の就業者の離職行動の変化や退職代行利用の実態とその要因を明らかにすることで、リテンション・マネジメント(離職を防ぎ、定着を促す人事戦略)に資する知見を提供することを目的に実施したもの。
調査概要
調査対象:20代〜50代、全国の男女1829名(一般離職者977名/退職代行利用者52名/就業継続者800名)
調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期:2025年8月21日〜9月1日
調査主体:株式会社パーソル総合研究所
出典元:離職の変化と退職代行に関する定量調査(株式会社パーソル総合研究所)
※構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合がある
退職代行を利用した人の不満「直属上司との関係」が最多
本調査結果によると、正社員離職者のうち退職代行を利用した人は5.1%(約20人に1人)。また、利用者の約半数は20〜30代の若年層で、前職の在籍期間が「1年未満」の割合は約4割だった。
さらに、退職代行利用者の前職への不満で最も多いのは「直属上司との関係(71.2%)」で、一般離職者と比較すると20pt近くの差があることも判明した。「直属上司からのハラスメントを受けた」と回答した人も約4割にのぼる。
退職代行利用者は協調的な働き方を望む傾向
続いて、キャリア観について分析。退職代行利用者は、一般離職者に比べチームワーク志向が強い傾向が見られた。前職に対して「申し訳なさ」を感じる人や、自分を「裏切りもの」だと感じている人も、一般離職者より多い割合を示している。
また本調査では「退職代行利用者は、協調的に働きたいという理想を持ちながら実際の職場では孤立し、相談できる相手がいない」というギャップがあることも可視化されている。退職代行利用者に相談相手を聞くと「直属の上司」が多く「自部門の同僚」や「家族・親類」「友人」の相談相手がいない、という傾向が見られている。
まとめ
退職代行の利用者には、若年層や在籍1年未満の人が多い傾向にあることがわかった、本調査。また、職場における人間関係の悪化やハラスメントが、退職代行利用の大きな要因となっている様子もうかがえる。本調査では、退職代行利用者ほどチームワーク志向が強く、協調的に働きたいという理想を抱いていることも判明している。その一方で、実際の職場では相談できる人が少なく家族や友人にも相談できずに、不満を抱えたまま退職代行を利用しているケースが多いようだ。
職場に対して何の不満も抱かないという人は、そう多くないだろう。大半の人は何かしらの不満を抱きながらも、折り合いをつけながら働いているというのが正直なところではないだろうか。そうした中、相談相手がいないことで職場内での孤立を感じ、最終的に退職代行を使わざるを得ない状況に陥ったのだとすれば、離職を防げた可能性もある。社内の環境整備や制度設計を検討する際の参考にしたい。










