2025年11月倒産件数796件、12年ぶり年間1万件超の見込み TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2025年11月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)を集計して分析。倒産件数は796件で6カ月ぶりに前年を下回ったものの、このペースで推移すると、12年ぶりの年間1万件超えが見込まれることを報告した。
調査概要
集計期間:2025年11月1日~2025年11月30日
発表日: 2025年12月8日
集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産
出典元:倒産集計 2025年 11月報(株式会社帝国データバンク)
11月としては前年比減も、年間件数は12年ぶりに1万件を超える可能性
TDBによると、2025年11月の倒産件数は796件。前年同月の834件と比較すると4.6%の減少で、6カ月ぶりに前年を下回っている。しかし、2025年1-11月の累計は9380件と、前年同期の9053件と比較して327件(3.6%)増加した。TDBは「このペースで推移すれば、12年ぶりに年間1万件を超える可能性がある」と分析している。
負債総額は788億8300万円と、前年同月の1522億4400万円から48.2%減少。負債5000万円未満の倒産が増加し小規模な倒産が目立ったことで、3カ月連続で前年を下回った。なお、最多の負債額は土木工事や浚渫工事などを手がけていた「中央建設株式会社」の53億8100万円。
業種別にみると、7業種中3業種で前年を下回っていることがわかる。特に高い割合を示したのは「小売業(前年同期174件→175件、0.6%増)」で、全体の22.0%を占めた。小売業が業種別トップとなるのは約4年ぶり。「サービス業(同221件→172件、22.2%減)」は3カ月ぶりに前年を下回り、減少率が20%を上回ったのは2021年8月以来およそ4年ぶりとなった。
TDBが注目する倒産動向
そのほか、注目の倒産動向である「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は43件と、7カ月連続で前年を下回っており、年間累計も前年を14.7%下回るペースで推移している。一方で「人手不足倒産」は6カ月連続で増加しており、2025年11月は31件判明。年間累計も過去最多を更新しており、集計開始以降初めて通年で400件を超えることが見込まれている。
また「後継者難倒産」は3カ月連続で、「物価高倒産」は4カ月ぶりに前年を下回った。
まとめ
小規模の倒産が目立った2025年11月。月間の件数や負債総額としては前年同月を下回ったものの、年間累計は12年ぶりに1万件を超える見込みと報告された。企業にとって厳しい状況が続いていることには、変わりなさそうだ。
特に増加が顕著な「人手不足倒産」については、6カ月連続での増加となり、年間累計も過去最多だという。企業における人手不足が、いかに深刻な状況となっているかがうかがえる。
健全な経営を持続させていく上でも、賃上げをはじめとする人材の確保・定着に向けた取り組みがより重要度を増していることが、改めて示唆されたとも言える。一方で、賃上げには原資の確保という課題がある。適正な価格転嫁や販路の開拓など、課題解決の優先順位を見定めて1つ1つ積み上げていくことが企業に求められているといえるだろう。









