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日本企業「ジョブ型雇用」導入率は約2割、前年から微増傾向 JAC調査

2025.12.26

株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役会長兼社長:田崎ひろみ)は、大転職時代における転職・雇用への意識や実態を人材紹介会社として調査・発信する「JACリサーチ」にて、2024年に実施した調査「ジョブ型雇用の今」の第2弾を実施。採用される側の従業員、採用する側の中途採用権者、ジョブ型雇用経験者を対象に調査を行った。

調査概要

「ジョブ型雇用の今 2025 日本のジョブ型雇用の実態調査」
実施時期:2025年11月7日〜11月10日
調査方法:インターネット調査
調査対象:会社員として働く5508人
従業員:20~60代の経営者・役員、管理職、正社員の男女1000人
中途採用権者:経営者・役員・管理職・正社員で中途採用の人事権のある男女600人
ジョブ型雇用経験者:経営者・役員・管理職・正社員で、現在または過去にジョブ型雇用として働いた経験がある100人  
出典元:ジョブ型雇用の今 2025 / 日本のジョブ型雇用の実態調査(株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント)
※本調査は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある

日本企業では約2割がジョブ型雇用を導入 4人に1人が経験あり

日本企業では約2割がジョブ型雇用を導入 4人に1人が経験あり

本調査では採用側の中途採用権者600人に、勤務先のジョブ型雇用の導入状況を質問。「すでに導入(21.8%)」が約2割となった。従業員規模別に見ると1000人以上の企業は36.0%、100人未満では11.0%と規模により差がみられている。なお「導入の予定はない」は1000人以上の企業では19.5%となった一方で、100人未満では54.4%と半数を超えた。

続いて2024年の調査結果との比較を実施。全体の導入率は19.8%から21.8%と2.0ptの増加だが、従業員規模1000人以上の企業では29.5%から36.0%と6.5pt増加。ジョブ型雇用の導入が一層、進んでいる様子がみられた。また「すでに導入」「導入を検討」と答えた297人の採用側の中途採用権者に導入理由を質問。「戦略的に人材を採用したいから(44.4%)」「従業員のスキルや専門力を高めたいから(43.4%)」「より成果に即した評価をしたいから(41.8%)」という結果となった。

さらに、経営者・役員、一般社員など会社員として働く5508人を対象に、ジョブ型雇用として働いた経験について質問。「現在、ジョブ型雇用として働いている(18.7%)」「過去にジョブ型雇用として採用・就職または転職した(6.3%)」という結果となった。4人に1人がジョブ型雇用経験者であることも判明した。

従業員の6割以上が「ジョブ型雇用」に自身の雇用を不安視

従業員の6割以上が「ジョブ型雇用」に自身の雇用を不安視

次に本調査では「ジョブ型雇用についての意見」を採用される側の従業員1000人と、採用する側の中途採用権者600人にそれぞれたずねた。回答は4段階(そう思う、まあそう思う、あまりそう思わない、そう思わない)で集計。その結果、「そう思う」「まあそう思う」の合計値が高い回答は、両者とも「日本においてはジョブ型雇用へシフトという号令だけで、実態が伴っていない(従業員65.2%、中途採用権者72.7%)」「ジョブ型雇用を適用する場合、人材育成方針を見直す必要がある(従業員62.2%、中途採用権者71.3%)」が上位に挙がった。

従業員側では「自分の能力やスキルでは雇用してもらえるか不安(61.0%)」「ジョブ型雇用は能力のない社員には不利(60.2%)」が挙がっており、不安が高い様子がうかがえる。一方で、中途採用権者側は「ジョブ型雇用は雇用の流動性に寄与(67.5%)」「ジョブ型雇用の推進がグローバル社会では必要(67.3%)」と、前向きに評価する声が多く寄せられた。

従業員に自身がジョブ型雇用の対象になると思うかをたずねる項目では「自分はジョブ型雇用の対象にならない(48.2%)」「どちらかというと自分はジョブ型雇用の対象にならない(17.1%)」という結果に。合わせて65.3%が「対象にならない」と感じていることがわかった。

従業員と中途採用権者で「ジョブ型雇用」への賛否にギャップ

さらに、日本でのジョブ型雇用が普及することについて賛成か反対かを質問。従業員は52.8%が「賛成(賛成6.5%+どちらかというと賛成46.3%)」、47.2%が「反対(反対7.9%+どちらかというと反対39.3%)」と回答した。「反対」は前回(36.2%)と比べ、11.0pt増加している。中途採用権者は「賛成」が72.5%(賛成17.2%+どちらかというと賛成55.3%)で、前回(73.7%)と同様、賛成意見が主流となった。

まとめ

本調査では採用権者側と従業員側との間で、ジョブ型雇用に対する意識にギャップがある様子がみられている。従業員の不安を無視したままジョブ型雇用の導入を推し進めることには、ややリスクがあるといえるだろう。

しかし、ジョブ型雇用に肯定的な採用権者が多いことからも、その有用性には期待が寄せられる。事業規模や経営フェーズなど自社の現状に応じた段階的な導入が、現時点での最適解なのかも知れない。