治療と仕事の両立支援、定着の壁は「プライバシー」「周囲の理解」 WHI調査
株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表者:安斎富太郎)は、同社の統合人事システム「COMPANY」を利用する国内大手法人を対象に、治療と仕事の両立支援に関する実態調査を実施した。
調査概要
調査名:健康に不安を抱える従業員への個別配慮の現場運用実態調査
調査期間:2026年2月12日~4月17日
調査機関:株式会社Works Human Intelligence調べ
調査対象:「COMPANY」ユーザーである国内大手法人39法人41名
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:39法人41名
出典元:株式会社Works Human Intelligence
個別対応は進むも、全社的なルール整備は道半ば
2026年4月「治療と仕事の両立支援」が企業の努力義務となったことを受け、本調査では疾病や健康上の不安を抱える従業員への両立支援について質問。その結果「産業医・保健スタッフとの連携(75.6%)」「業務内容等の個別調整(65.9%)」が上位に挙げられた。
一方で、全社的なルールづくりについては、半数以上が「これから・検討中」と回答。法改正直前に新たに取り組む予定の施策をたずねた設問でも「特になし(68.3%)」が最多だった。
また、支援を進める上での課題としては「必要な配慮や対応内容の判断が難しい(65.9%)」「代替要員の確保が難しい(56.1%)」という結果に。個別の事情に応じた対応が求められる一方、人員や業務の調整が支援の実施を難しくしている実態がうかがえる。
プライバシーへの配慮が周囲の誤解に、支える従業員の負担も懸念
さらに、従業員のプライバシーを守るため、病名などの詳細を伏せて「残業不可」といった制限事項のみを現場に伝えた結果、26.8%の企業担当者が「理由不明で特別扱いと誤解され、雰囲気が悪化した」と回答した。
また、人事担当者が現場マネジメントで不安に感じている点については「現場の負担が限界に達し、支える従業員が疲弊していないか」と「現場がどこまで踏み込んで聞いてよいか迷い、コミュニケーションが滞っていないか」が、ともに41.5%で最多だった。
一方、各社の取り組みでは、コアタイムのないフレックスタイム制を活用した中抜けや早退の容認、追加の有給休暇付与、長期障害所得補償保険への団体加入などが挙げられている。人事情報管理システムで閲覧権限を適切に設定し、必要な情報を関係者に限定して共有する工夫も見られたという。
まとめ
健康に不安を抱える従業員の、治療と仕事の両立支援を定着させるには、支援対象者への個別配慮だけでなく、周囲の従業員が納得して業務を支えられる環境づくりが欠かせない。今回の調査では、代替要員の確保や配慮内容の判断に加え、プライバシー保護と周囲の理解の両立が課題として浮かび上がった。
病名などの機微な情報を必要以上に共有せず、業務上必要な配慮や役割分担を伝える方法を整理する必要があるといえるだろう。また、支援を個人の善意や現場の努力だけに頼らず、柔軟な働き方や情報管理システムの活用を進め、組織全体で継続できる運用体制を整えたい。














