見た目が9割!ビジネスパーソンの身だしなみとは【中間管理職のビジネスマナー10の基本 Vol.1】
コラムのタイトル「中間管理職のビジネスマナー10の基本」をご覧になって、中間管理職なのにマナーの基本!? と思った方がいるかもしれません。社会人経験10数年以上、役職もつき、部下もいる。そんな中間管理職のあなただからこそ知っておきたい「基本」を、アナウンサー社長の樋田かおりがお教えします。マナー研修は新人のとき以来受けていない、自己流なので自信がない、という方はぜひお読みください。
中間管理職だからこそ、学んでほしい「基本」
はじめまして、株式会社トークナビ代表取締役・アナウンサーの樋田かおり(といだ・かおり)と申します。
私は幼いころからあがり症で、人前に出ることも、話すことも大の苦手でした。ところが10代でスピーチのトレーニングと出会い、声が変わり、性格も前向きになったのです。ついにはテレビ局に就職し、局アナとして話す仕事に就きました。
そして、もっとたくさんの方の“伝える力”向上に貢献したいと、会社を設立し、現在はビジネスパーソンの方たちに「伝わる話し方」や「コミュニケーション」の研修を行ったり、マンツーマン指導を行ったりしています。
企業からこうした研修のご依頼をいただく際、よく耳にするのが「社内ではだれも〇〇に注意できる人がいないんです」という声です。〇〇は社長や役員の方であることが多いのですが、トップらの場合は総務や広報担当者など気にかけてくれる人が周りにいます。
しかし、中間管理職には注意してくれる人がいません。
なのに、部下たちのお手本となる必要があるのです。
そこで、本コラムでは、私が日ごろ接する中間管理職世代の方たちの気になる点を踏まえながら、アナウンサーや経営者として意識してきたビジネスマナーや立ち居振る舞いの基本をお伝えします。
テレワークからオフィス出社へ。スーツで気を付けること
第1回は身だしなみです。「人は見た目が9割」と言われるように第一印象の大部分を占める“見た目”は重要なポイントです。
テレワークからオフィス出社回帰の流れがあり、取引先と対面で会うことも増えたのではないでしょうか。そんな今、改めて、身だしなみで気を付けたいポイントは「全身」「足元」「顔」です。
そろそろ秋ものに衣替えをと、久々にスーツを着てみたら、ウエストが合わない、ジャケットの腕や肩回りがきついということはありませんか?「つるして保管していたから、シワもないし大丈夫」と状態だけで判断せず、事前に着用して全身を鏡で見てみましょう。できれば靴も履き、スラックスの丈は適正か(裾が靴の甲に当たって少したわむくらいが一般的)、今の髪形や体型に合っているか、などをチェックします。
テレワーク時は、自分の全身を見る機会は非常に少なかったと思います。家に全身の映る鏡がない場合はスマホで自撮りしてみましょう。
靴の選び方は?慣れによる「思い込み」に注意!
続いて、足元です。
生活のゆとりも乱れも、靴に表れるといいます。テレワークと出社を併用することの多い方は、特に気がゆるみがちです。必ず、手入れをしてから履きましょう。
靴の種類は、TPO(時間、場所、機会)に合わせて適切なものを選びます。ビジネスシーン用の靴は、男性は内羽根式で靴紐タイプの革靴、女性はパンプスが一般的なマナーとされています。靴下は、男性は肌が透けたり見えたりしない厚さや丈の黒・紺・グレーの靴下(白色はNGです)、女性はベージュのストッキングが基本マナーです。
最近ではオフィスカジュアルを推奨していたり、健康のため自転車で通勤する人もいたりして、スニーカーOKの会社もたくさんあります。また、女性が職場でパンプスの着用を義務付けられることに抗議する運動も起き、足元にも多様性が生まれています。その場にふさわしいかという視点で選びましょう。
服装や足元の身だしなみで中間管理職世代が気を付けたいのが、慣れによる「思い込み」です。「いつもの場所だからいつもの格好で大丈夫」という思い込みが、落とし穴になることがあります。実は私も、これで失敗しました。
野球関係の番組でMCを務めるとき、いつも行く撮影スタジオだと思い込んでヒールを履いて行ったら、その日の収録場所はバッティングセンターだったのです。慣れたときこそ確認を、と思い知らされた出来事でした。
脱マスク時代に忘れがちな「メイク」と「表情」
次は、顔回りです。
マスクをしているときは、化粧は眉毛だけ描いて済ませる女性も多かったかもしれません。化粧品の補充をお忘れなく。ただ、久しぶりにばっちり顔をつくろうと力を入れすぎないようにしてください。濃いメイクでは、相手がそこにばかり目が行って話に集中できないこともあるからです。
そして、もう1つ、脱マスク時代に忘れがちなのが表情です。マスク時代に無表情でいることに慣れてしまったのか、マスクを外した今も表情をつくることを忘れてしまっているのです。頬がたるんで下がりほうれい線(鼻の両側から唇の両端にかけて八の字に伸びる2本の線)が目立つ人や、口が「への字」になっている人が、特に男性に多い印象です。怒っているように見えてしまいますので、口元をキュッと上向きに上げることを意識してみてください。
メイクや表情など、顔まわりの身だしなみは、他者目線を意識することが大切です。家でパートナーの方やお子さんに見てもらうのも良いかもしれません。
両手パッパッはNG!ハンカチ複数持ちのすすめ
ビジネスパーソンが忘れないでほしい持ち物の1つがハンカチです。
ビジネスシーンでは綿生地ハンカチを使うのがマナーですが、用途によってはガーゼやタオル素材のものも良いでしょう。夏の暑い時期が終わっても、手拭き用、予備用と複数枚持つことをおすすめします。机の水滴を拭くときなど、人前で使う機会もあるからです。ちなみに、スーツのポケットにハンカチを入れるのは、シルエットを崩してしまうためマナー違反です。ハンカチはかばんに入れておきます。また、汗を拭くときには四つ折りのまま使います。
実はハンカチを持たない人が意外と多いと聞きます。トイレから出たあと、両手をパッパッと振って自然乾燥させたり、髪や洋服を触って乾かしたりする人も見かけますよね。心当たりのある方は、ぜひ、明日からハンカチを1枚かばんに入れてみてください。ハンカチは持っているだけで清潔感をアップさせるアイテムです。
会議室でどこに置く?ビジネスバッグのマナー
最後にかばんについてです。
素材や形の異なるさまざまなタイプが使われています。靴と同様、TPOに合わせて使い分けましょう。
マナーとして、訪問先ではリュック形のビジネスバッグは背負ったままにせず、受付に行く前に手持ちに変えておきます。また、会議室では必ず足元に置きます。机や椅子の上にかばんを置くのはマナー違反です。
かばんから資料やパソコンを取り出すときは、一度、膝の上にのせます。足元をのぞきこんでかばんの中をゴソゴソと探すのは、スマートではありません。すぐに使う資料は取り出しやすい位置に入れておきます。帰り際にも、相手を待たせないよう、荷物をまとめやすくしておくのがマナー上手です。
最後に、身だしなみのチェックリストを付けています。チェックしてみてくださいね。
次回は(2)忘れていませんか?「笑顔」と「声」のトレーニング
のテーマでお届けします。気軽にやってみようと思っていただけるようなお役立ち情報をお伝えしていきますので、ぜひご愛読ください。