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中堅社員のその動き、あなた次第でもっとよくなる! 人材育成の今【中小企業の組織づくり~いまこそ階層別育成の時代 Vol.6】

皆さんの組織にはどのような役職の方がいらっしゃるでしょうか。最近は「係長、主任といった役職がない」あるいは「部長も課長もない」というケースもあるでしょう。スタートアップ企業だと、階層が3階層程度……ということも珍しくありません。そもそもピラミット構造ではなく、フラット化している企業もあり、それが肯とされるような気運があります。ところが、いざ組織運営をしてみるとフラットな組織の運営難度は非常に高く、あらためて階層別組織の良さが見直されているように感じています。そこで本連載では中小企業の組織づくりをテーマに、階層別育成の考え方について解説していきます。ぜひ、自社の組織づくりに生かしていただければ幸いです。
第6回は、中堅社員の中でもリーダークラスとして期待される層の役割と実践へのつなげ方のヒントをお伝えできればと思います。

【過去のコラムはこちら!第1回第2回第3回第4回第5回

目次

(1)中堅社員(リーダークラス)の特徴
(2)期待役割
(3)こんなことは起きていませんか?

中堅社員(リーダークラス)の特徴

「中堅社員」というと、対象となる社員の幅が大変広いことが特徴です。早ければ入社2年目から、マネジャーに昇進していない50歳台までも中堅社員に含まれます。

年齢、経験などを考えても「中堅社員」を一括りで考えることは難しく、第5回でご紹介した、弊社で中堅社員の成長を整理する際に使用するトランジションモデルでも中堅社員は「Player=プレイヤー」「Main Player=メインプレイヤー」「Leading Player=リーディングプレイヤー」と3つのステージに区分、定義しています。

「Player=プレイヤー」は新人から中堅社員になりたての方を指し、その後一定の経験を積んだ方が「Main Player=メインプレイヤー」となり、やがて「Leading Player=リーディングプレイヤー」になっていきます。「Leading Player=リーディングプレイヤー」は、課のような組織でNo.2と目され業績をけん引し、マネジャーの組織づくりの補佐なども行う、次のマネジャー候補とされるような人材です。

今回は中堅の中でも上位層にあたる、「Leading Player=リーディングプレイヤー」に焦点を当てていきたいと思います。

期待役割

「Leading Player=リーディングプレイヤー」にはどのような期待役割があるのでしょうか。
弊社トランジションモデルでは以下の通り定義しています。
……………………………………………………………………………………………………
組織業績と周囲のメンバーを牽引するステージ(主力)
●組織の運営方針や取り組みについて、上司に現場の情報を伝え、意見を交わす
●組織の運営方針や取り組み内容の意図をつかみ、メンバー目線から周囲に伝え、浸透させる
●指示や指導を通じて、メンバーの力を高めながら仕事を前に進める
●業務の効率や効果を高めるために、メンバー同士の交流をはかることで関係性を強化する
……………………………………………………………………………………………………
【出典:リクルートマネジメントソリューションズ『トランジションデザインブック2.0』】

第4回/第5回では1つ下のステージ、「Main Player=メインプレイヤー」についてご説明しました。メインプレイヤーは “一人前”として自分で業績を作る、一定の専門性を発揮する、経験が浅いメンバーの相談にのる……といったことが求められますが、リーディングプレイヤーは、貢献度高く業績をけん引する高い専門性を持っていることはもちろん、上司の意図を組んでメンバーに浸透させたり、メンバーの力が高まるよう関わったり、つまり一部、部下マネジメントのようなことも担うようになります。メンバーの中ではリーディングプレイヤーの組織影響力が最も高くなるため、活き活きと働いてくれると、その組織に良いムードが生まれます。一方で、組織影響力が大きい分、期待通りに活躍をしてくれないと、チームワークが悪くなり、ひいては業績に悪影響を及ぼすこともあります。リーディングプレイヤーに活躍してもらうためには、周囲はどのように関わるのが良いのでしょうか。
ケースをもとに考えてみましょう。

こんなことは起きていませんか?

ここからはケーススタディです。皆さんのまわりにこんな中堅社員(「Leading Player=リーディングプレイヤー」)はいないでしょうか。またそんな中堅社員がいた場合、上司として、どのようにかかわるのがよいでしょうか。

ケース①
直属上司Aさんに、中堅社員(リーディングプレイヤー)Bさんに対する印象を聞きました。Bさんは、さすが、リーディングプレイヤーなだけあって、業績は圧倒的です。今期我が営業1課は目標の120%の売上を達成することができましたが、これはひとえにBさんが業績を作ってくれたおかげです。なので、業績という側面でとても感謝しています。結果目標が達成できるので、まあ、いいかな、と思いつつ、気になっていることもあります。実は先日後輩のCさんが、Bさんに、業績の作り方を教えて欲しい、とお願いしてみたそうなのです。
すると、Bさんからは「私は自分でたくさん失敗したし、つらい思いや、経験を乗り越えて、今業績をつくれるようになったんだ。あなたも経験を積めば売れるようになるよ。それに、後輩といってもライバルだし、そう簡単にノウハウは教えられないな」と言われたそうなのです。
それに、Bさんはいつも、営業先に直行・直帰してしまうので、正直、どんな風に営業しているのか、私もよくわからないのです。マネジャーの私としてはBさんの他にも売れるメンバーが増え、1課全体で営業力がつくといいなと思っているのですが……。

ケース②
直属上司Dさんに中堅社員Eさんに対する印象を聞きました。
Eさんは私の右腕です。課の運営にも協力的で、大変助かっています。課運営や業績づくりについても、いろいろなアイディアを出してくれます。まわりのことも良く見えていて、細かな仕事まで巻き取ってくれて、有難い存在だなと思っています。後輩との関係もとてもよさそうで、安心していたのですが……。
先日課会で後輩FさんにそれとなくEさんのことを聞いてみました。「Eさんは本当に頼れる先輩です。Eさんとは同じプロジェクトで動いています。先日企画ミーティングがあったのですが、Eさんは事前にアイデアをまとめて持ってきてくれていたのでミーティングが短時間でスムーズに進みました。なので、私はEさんに従おうと思います」と言っていました。
実はEさんに、「Fさんはメインプレイヤーなので、企画案づくりもどんどんFさんに任せて主体的にやらせてみてあげて欲しい」と、企画ミーティングの前にお願いをしていました。プロジェクトは前に進んでいるようですが、私の期待とは少し違うなと感じています。

次回はこのケースの対応策についてご一緒に考えてみたいと思います。