リモートワークから出社回帰へ!そのときバックオフィスはどう乗り越える?【バックオフィスのお悩み、freeeではこうして解決した!Vol.1】

皆さんの会社では事業成長や組織拡大に伴う様々なバックオフィスの課題に悩んでいないでしょうか? そんな「バックオフィスのお悩み」に、フリー株式会社がどのように対応し、それを乗り越えたのか、実例とともにご紹介していきます。同様の課題に直面する企業の総務担当者様への実践的なヒントになれば幸いです。
第1回はフリー株式会社が経験したリモートワークから出社回帰への移行についてです。2020年のコロナ禍でのリモートワーク導入後、約2年間でfreeeらしいコミュニケーションや一体感に関する課題が浮き彫りに。この課題に対応するため、freeeでは週3日の出社から最終的に週5日出社への移行を実施しました。本稿では、出社回帰のプロセスとこの移行期間中にバックオフィス部門が行った具体的な取り組みを紹介します。
フリー株式会社のリモートワーク体験
リモートワークへの移行経緯
freeeはもともと、オフィスでの対面でのコミュニケーションや偶発的な出会いが生まれる仕掛けを大切にしていました。背景には「業務はツールで効率化できても、コミュニケーションは効率化できない」という考えがあるためです。
そんな中やってきた、新型コロナウイルスの流行。2020年3月より、freeeでは新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大防止と従業員および関係者の安全確保を目的に、雇用形態にかかわらず全従業員を対象にリモートワークへ移行することを決断しました。もともとペーパーレスで一部のバックオフィスの部署以外は、書類を持たない体制であったことも後押しし、リモートワークへの移行自体はスムーズに進みました。
リモートワークで直面した4つの課題
リモートワーク期間も、freeeの事業や組織はありがたいことに成長を続けました。リモートワーク期間に新しくfreeeに入社した従業員は全体の50%を超える規模にまで成長。リモートワークは移動時間の短縮や全社イベントやミーティングで一斉にコメントやスタンプを送りあうオンラインならではの盛り上がりや楽しさもある一方で、下記のような課題もわかってきました。
「ちょっとした相談のしづらさ」
近くにいれば「ちょっといいですか?」と5分で済むこともリモートワークだと同僚の状況が見えづらく先送りにしたり、30分の会議を設定するなど非効率に。
「偶発的な社内交流の減少」
リモートワークではオフィスで出会うように人と会うことは難しく、関わるメンバーが固定化。他部署が何をしているのかなどの会社全体の動きも不透明に。
「新入社員の会社適応の困難さ」
気軽に相談しづらい、所属するチーム以外、組織にどんな人がいるのかわからずネットワークを築く機会を持ちづらい、など不安要素が増大。
「重要な議論における対面コミュニケーションの必要性」
組織の成長の土台となる抽象的かつ重要な議論の温度感が掴みづらく、難易度が上昇。
出社回帰への決断とその理由
コミュニケーションの質向上と企業カルチャーの醸成と維持を目指して
前述した課題の解消のため、リモートワーク中にもチーム内での雑談時間を奨励したり、他チームのメンバーとのオンラインランチに食事補助の制度を作ったりなど、色々と工夫を行いました。
対面で行っていた新卒の入社式や期初の全社キックオフミーティングもオンラインに移行しましたが、だからといって妥協することなく離れていても体験共有できるよう工夫し、対面時と同等以上にカルチャーを体感できるような企画を実施していました。


このように頑張ればオンラインでもできることがある、と認識した一方で、生産性や体験としては限界があることも見えてきており、やはり対面でしっかり集まれる機会を作ろうという話になっていきました。
出社回帰における具体的な施策
オフィス拡張移転のプロジェクト推進
出社回帰の話が出たものの、すでに当時のオフィスはリモートワーク期間の増員には耐えられず手狭な状態に。そこで拡張移転を決断し、プロジェクトがスタート。リモートワークから出社へと大きな変化であったため、従業員から戸惑いが出るのも当然。だからこそ強制的に出社させるのではなく、従業員一人ひとりが対面コミュニケーションの重要性や、偶発的な出会いから生まれる新たなアイデアや発見を再評価し、自然と「行きたくなるオフィス」にすることが重要でした。具体的な方法は次回以降に詳しくお伝えします。
段階的な出社回帰プランの策定
freeeではフルリモートワークから出社への回帰を行う際、個人の状況や業務の特性などに配慮し、柔軟性をもたせながら、段階的に本来の勤務形態(週5出社)へ戻していくアプローチを取りました。具体的には以下です。
● 第1フェーズ:本社移転を契機とし、原則出社を大前提としたうえで、全社の最低限の出社日数を週3日と設定。
○ 指定曜日を全社の出社日として設定。
○ 集中業務の多いエンジニア組織は指定曜日のうち1日を出社日と設定。
● 第2フェーズ:新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行を契機とし、最低出社日数の設定を廃止(週5出社へと変更)
○ 一方で、子育てや近親者の介護などの理由や、家族の体調不良など突発的な事情に対しては一定の在宅勤務OKとする等の柔軟性を担保。
○ エンジニア組織については部署単位で出社推奨ケースや出社日などを定めたWorking Agreementを策定。
従業員とのコミュニケーションのポイント
出社への回帰を検討している担当者が一番悩むのは従業員とのコミュニケーションではないでしょうか。freeeで経験したことを振り返り、気を付けていたコミュニケーションのポイントを4つ挙げます。
1.透明性を保つ
方針や決定理由を明確に伝え、なぜ出社を再開するのか、その目的や背景を理解してもらうことが従業員の納得感の醸成に。freeeでは、CEOから書面や全社会議で「一緒に出社する」目的を伝えるとともに、バックオフィスからも具体的な出社方針を共有。
2.双方向のコミュニケーションを促進する
従業員からの意見や質問を積極的に受け入れる姿勢を見せ、一方的な説明にならないように配慮する。freeeでは出社方針に対する質問やコメントを受付け、一人ひとりの不安や疑問に愚直に応対。
3.個々の状況に配慮するフレキシビリティを
全員に同じ条件を押し付けず、従業員それぞれの事情を理解し、柔軟な対応を心がけることが重要。freeeでは子育てや近親者の介護などの理由や、家族の体調不良など突発的な事情に対しては一定の在宅勤務OKとする等の柔軟性を担保。
4.フォローアップを怠らない
出社後も定期的にフィードバックを求めたり、アンケートを実施して、従業員が引き続き安心して働ける環境を作ることが重要。freeeでは移転後にアンケートを実施し、環境改善を継続。
昨今freeeと同様の課題感を持ち、出社回帰を検討する企業も増えてきていますが、重要なのは一方的な決定ではなく、双方向のコミュニケーションを通じて、従業員が納得し、安心して働ける環境を整えることだと考えています。
次回はそんな環境構築のため1000名規模のオフィス移転に奮闘したfreeeの実例から、「行きたくなるオフィス」のポイントをお届けします。