各ソーシャル・スタイルの特徴と効果的な対応_ドライビング(実行型)【なぜ今、対人スキルが求められるのか? Vol.5】
第4回では、対人スキルを高めるために有効なソーシャル・スタイル(4タイプ)の中のエミアブル(温和型)の特徴と効果的な対応について詳しくお伝えしました。
今回は、ドライビング(実行型)です。
ドライビングの特徴
会議の場面を思い浮かべてください。いつも会議の目的やゴールにこだわり、自分の意見を論理的にしっかり伝えた上で、素早く結論を導こうとする人はいませんか?
みなさんの周りにそんな人がいたら、その人はきっとドライビングです。
ドライビングの人は、目標指向が強く、意思決定が迅速かつ結果重視の特徴を持っています。率直で決断力があり、物事を進める力に長けています。以下に、ドライビングの主要な特徴を挙げます。
〇目標指向で結果重視
ドライビングの人は、目標達成意欲が強く、そのために必要な結果を迅速に出すことを重視します。時間やリソースを効率的に使い、業務やプロジェクトを成功に導くことに集中します。ドライビングには、「車を運転する」という意味がありますが、目的地に向かって最短距離で走ることを考えます。結果、誰よりも早く到着することにもこだわります。
〇決断力があり迅速に意思決定
ドライビングの人は決断力があり、必要なときには迅速に意思決定を下すことができます。決断を先延ばしにすることを嫌い、問題を解決するために積極的に行動します。買い物をする際も、購買基準が明確で、その基準を満たすものがあればすぐに買います。例えば、パソコンを買うときも、機能・性能・デザイン・価格などのこだわるポイントが明確なことが多く、それらの条件を満たせば買わない理由がないのです。
〇自己主張が強く率直
ドライビングの人は、自己主張が強く、意見を率直に表現します。自分の考えを明確に伝え、他者にも同じように率直であることを求めます。「2つあって、1つ目は・・・・・・、2つ目は・・・・・・」といった言い方で、はっきりと意見を述べます。歯に衣着せぬ物言いで、「そんないい方しなくても・・・・・・」と、相手の気分を害してしまうこともたまにあります。
〇効率を重視
ドライビングの人は効率を重視し、無駄を嫌います。業務プロセスの改善やリソースの最適化を常に考え、より速く、より良い結果を追求します。冒頭で会議の場面について触れましたが、目的やゴールがあいまいな会議が嫌いで、そのような会議は時間の無駄だと考えます。時間にも厳しく、分刻みでアポイントを設定することも珍しくありませんし、会議を予定時間いっぱいやる必要はないため、早く終わるに越したことはないと思っています。
〇チャレンジ精神が旺盛
ドライビングの人はチャレンジ精神旺盛で、困難な目標や新しいプロジェクトに対して積極的に取り組みます。リスクを負うことを気にしないため、自ら高い目標を設定し、その目標を達成することに喜びを感じるタイプです。
ドライビングの強みと弱み
〇強み
・目標達成意欲が高く、結果にこだわる
・問題解決に向けて、迅速な意思決定ができる
・効率性を追求する姿勢とチャレンジ精神がある
〇弱み
・結果を重視しすぎるあまり、人間関係を疎かにすることがある
・強い自己主張が、他者に対して威圧的に感じられることがある
・迅速な意思決定が時に過剰にリスクを取る結果を招くことがある
ドライビングの人への効果的な対応
ドライビングの人へ効果的に対応するためには、以下のような方法が有効です。
〇明確な目標設定と迅速な対応
ドライビングの人は、目標達成に強い関心を持っているため、明確な目標に向けて迅速に行動したいと考えています。そのため、ドライビングの人には具体的な目標と成果を示すことが重要です。社内イベントの企画をするために、従業員の声を聞くことが必要なら、「いつまでに、〇人にヒアリングを実施する」のように、可能であれば数字で明確に提示するのがよいでしょう。
〇率直で簡潔なコミュニケーション
ドライビングの人は率直で簡潔なコミュニケーションを好むため、無駄のない言葉で要点を伝えることが効果的です。「結論から申し上げますと、・・・・・・です。」のような話し方をするといいでしょう。また、彼らの時間を尊重し、スピーディーな対応を心がけましょう。「15分だけお時間いただけますか?」のように時間を刻んだり、メールの問い合わせなどにもできるだけ早く対応したりするようにしましょう。
〇効率的な問題解決
ドライビングの人は効率を重視するため、問題が発生した場合には、迅速かつ効率的な解決策を提案することが重要です。彼らのニーズに応じて、迅速に対応しましょう。何かの提案が必要な場面などでは、時間をかけて詳細を吟味して提案を考えるより、ポイントを押さえ素早く提案する方が効果的です。そのうえで、指摘のあった点を修正して再提案する進め方がよいでしょう。
〇チャレンジ精神をサポートする
ドライビングの人のチャレンジ精神を尊重し、新しいプロジェクトや高い目標に対して積極的に支援する姿勢を示すことが効果的です。リスクを恐れず、共に挑戦することで、彼らの信頼を得ることができます。「〇〇さんは、・・・・・・を通して何を実現しようとされていますか?」「〇〇さんが・・・・・・という目標を達成するために、私は・・・・・・といったご支援ができます」のような会話ができるといいでしょう。
〇結果重視のフィードバック
ドライビングの人は結果を重視するため、あなたがドライビングの部下にフィードバックを行う際には、具体的な結果や事実をもとに評価を行うと良いでしょう。「目標達成率が120%だから、期待以上に頑張ってくれたね。」「加えて、後輩のA君に対して、週1回、1on1の面談を実施してくれてありがとう。おかげでA君も目標達成ができたと思っているよ」というふうに伝えるといいでしょう。
上記の通り、ドライビングの人との効果的なコミュニケーションや協力関係を築くためには、彼らの目標志向と効率性を尊重し、迅速かつ率直なアプローチを取ることが重要です。
次回(最終回)は、具体的な場面におけるソーシャル・スタイルの活用についてご紹介します。