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エンゲージメント向上事例 ① :エンゲージメント向上に重要な「ビジネスモデルと組織のリンク」とは【今さら聞けない「エンゲージメント」とは? Vol.5】

2025.02.20

離職防止を図るためにも、事業成果を創出するためにも、エンゲージメントを高めることが不可欠です。本連載ではこれまで、エンゲージメント向上を図るうえで陥りがちな誤解や、エンゲージメント向上のポイントなどについてお伝えしてきました。第5回は実践編として、第2回でお伝えした「4P」を基に、「エンゲージメントを高めるために、企業はどの要素で魅力付けを行うべきか」について詳しく解説します。

【過去のコラムはこちら!第1回第2回第3回第4回

「従業員の不満を解消すればエンゲージメントは上がる」という誤解

これまでお伝えしてきたように、エンゲージメントとは「会社と従業員の相互理解・相思相愛度合い」を表す言葉です。エンゲージメントが高い組織では、従業員が会社に対して愛着や貢献意欲を持ち、「この会社をもっと良くしたい」「こんなことを実現したい」と主体的に仕事をします。

エンゲージメント向上を図るうえで、特に多いのが、第2回でお伝えした「従業員の不満を解消すればエンゲージメントは上がる」という誤解です。従業員の不満を解消するだけでは、会社に対する愛着や貢献意欲は醸成されにくいため、より良い条件の会社があれば容易に転職してしまうリスクがあります。そのため、不満の解消だけでなく、従業員が「この会社で働きたい」と思えるような「組織の魅力」をどのように高めるかが重要です。当社では、エンゲージメントの要素、言い換えれば「人材がその会社を選ぶ理由」を以下の4つのPに分類しています。

・Philosophy(目標の魅力):企業の理念や経営計画、成長性など
・Profession(活動の魅力):事業優位性や仕事の面白さ、成長、商品・サービスなど
・People(組織の魅力):経営陣や仲間、組織風土など
・Privilege(待遇の魅力):給与や福利厚生、労働環境など

各魅力に注力している企業事例

●Philosophy
▼ディズニー
Philosophy(理念・方針)で束ねている組織の代表例とも言えるのがディズニーです。ディズニーランドのキャストの方々を見ると、「テーマパークで働きたい」ではなく「ディズニーで働きたい」と思っている人が大半だと感じます。「ファミリー・エンターテイメント」「ハピネス」などのコンセプトや世界観に惹かれて、ディズニーで働けるなら施設や職種なども問わない人もいるように感じます。
ディズニーのようにエンターテイメントを提供する企業は、従業員がいかに世界観に共感し、高い品質のサービスを提供できるかが重要であるため、Philosophyの魅力を高めることがエンゲージメント向上のポイントとなります。

●Profession
▼マッキンゼー
Professionで束ねている組織の代表例が、マッキンゼーです。
多くの社員が「若いうちから難易度が高く、影響範囲が大きくて新しい仕事がしたい」という動機で働いています。「誰と働くか」よりも「自分がどの案件を担当するか」を大切だと考える社員が多い印象です。
コンサルタントなどの高い専門性が必要な企業では、いかに優秀な社員を定着させられるかが重要であるため、Professhionの魅力を高めることがエンゲージメント向上のポイントとなります。

●People
▼リクルート
Peopleで束ねている組織の代表例とも言えるのがリクルートです。社員の多くは、「情報メディアの仕事」ではなく「圧倒的な当事者意識や過去慣性にとらわれず、新たな価値を創造する起業家マインドを持った社員がいること」に魅力を感じているように感じます。
リクルートなど、事業領域が多岐にわたる企業の場合、組織への帰属意識が高く、事業推進できる人材を多く輩出できるかが重要であるため、Peopleの魅力を高めることがエンゲージメント向上のポイントとなります。

●Privilege
▼キーエンス
給与や労働環境などは「衛生要因」に分類されるため、注力しすぎてもエンゲージメントは高まりません。そのためPrivilegeに注力している企業はあまり見られませんが、キーエンスはビジネスモデル上、利益率が高いため従業員に提供できる給与が多く、Privilegeの魅力に注目されることが多い企業です。しかし、原資には限りがあるので、無限に給与を高めることはできません。Privilegeの魅力だけで、組織を束ねることは難しいため、他の要素で注力することが大切です。

おわりに

エンゲージメントの向上は、従業員の不満を解消するだけでは実現できません。ぜひ、自社のビジネスモデルに応じて訴求する魅力を見極め、取り組み続けていただきたいと思います。