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全国各地に広がる拠点とのつながり方【バックオフィスのお悩み、freeeではこうして解決した!Vol.6】

皆さんの会社では事業成長や組織拡大に伴う様々なバックオフィスの課題に悩んでいないでしょうか?そんな「バックオフィスのお悩み」に、フリー株式会社がどのように対応し、それを乗り越えたのか、実例とともにご紹介しています。同様の課題に直面する企業の総務担当者様への実践的なヒントになれば幸いです。最終回となる今回は、全国各地に点在する拠点と、どのように“つながり”をつくり出し、カルチャーを届けているのか。その具体的な工夫と仕組みをご紹介します。

【過去のコラムはこちら!第1回/第2回/第3回/第4回/第5回

地方拠点開設の「基準」を整える

事業が拡大するにつれ、新たな拠点が必要になる場面は少なくありません。ただし「何を基準に開設を判断するか?」という点で、拠点開設を希望する事業部とバックオフィスの間にギャップが生まれやすいのも事実です。freeeではその不透明さをなくすため、拠点開設に際して大きく以下5つの判断基準を明文化しました。

①戦略・目的の合致
 全社戦略と開設目的が一致しているか

②コスト要件
 現地の賃料や付帯費用が適正であるか

③採用ポテンシャル
 継続的な採用が可能な地域で、かつ事業計画との整合性が取れているか

④撤退条件の明確化
 物件更新時に①~③の基準を満たしていない場合は撤退も視野に入れることを事前に合意できるか

⑤オフィス長の配置
 現地に本社とのつながり役を担える人物がいるか

このように事前に基準を設けておくことで、突然拠点開設の相談が来た際にも混乱せず、事業部門と連携しながら計画的に開設を進められるようになります。

拠点管理の要は各拠点の”人”

拠点を開設したあとに必要なのは、管理運営体制の構築です。freeeでは地方6拠点のうち総務が常駐しているのは1拠点のみ。その他の拠点は、各拠点のメンバー同士で協力しながら運営を担っています。

その中心を担ってくれているのが、「オフィス長」です。各拠点に1名、現地での代表者をオフィス長として任命し、総務との連携窓口として活躍してもらっています。オフィス長のメンバーには、単なる事務連絡係にとどまらず、「freeeカルチャーの体現者」としての役割も担ってもらいます。

各拠点ごとにオリジナルロゴも制作

拠点間のコミュニケーションを「見える化」する仕組み

オフィス長との連携を深めるため、freeeでは以下のような取り組みを行いました。

・月1回のオンラインミーティング
各拠点のオフィス長と総務メンバーで、全社アナウンスや防災対応、採用状況、備品調整などを情報交換。実務の共有だけでなく、オフィス長同士の横のつながりが生まれる場にもなります。

・オフィス長専用の社内チャットチャンネル
リアルタイムで気づきや困りごとを投稿・共有。クローズドではなく、全員がやりとりを見える状態にすることで、他拠点のナレッジが自然と共有されていきます。

これはfreeeの行動指針である「あえて共有する」に基づいた運用でもあります。

freeeの行動指針の詳細

カルチャーを“届ける”仕掛け

freeeでは、オフィス長の役割として「拠点内のカルチャーの醸成と進化に貢献すること」も期待しています。しかし、ただ「カルチャーを届けてください」と言われても難しいのが実情です。そこで、総務側が以下のような“体験を共有できる仕掛け”を整えることで、オフィス長が自然にカルチャーを推進できるよう働きかけています。

・イベント装飾&交流会のセット提供
全社イベント(ハロウィーン、全社忘年会など)開催時には、地方拠点へ装飾グッズと軽食予算をお渡しします。各拠点で独自の交流会を開催してもらい、社内SNSでその様子を投稿してもらいます。これにより、拠点のメンバーが「freeeの一員」と感じてもらえるきっかけを作りたいと考えています。

各拠点で可愛いハロウィーンの飾り付けをしてくれました

バレンタインのときはチョコレートを用意

・ご当地メニュー&ご当地Sweee(スイー)ステッカーの導入
忘年会では、本社に各拠点のご当地メニューを取り寄せ、freeeの公式キャラクター“Sweee”のご当地ステッカーとともに紹介。拠点の存在を本社からも感じられるように工夫しました。

福岡の明太子おにぎりとご当地ステッカー

リアルをつなぐ「tonari」の導入

freee大崎本社では2022年のオフィス移転にあわせて、距離に左右されない“空気感の共有”にもチャレンジしています。その取り組みのひとつが、大崎本社と関西拠点をリアルタイム映像で相互につなげる等身大モニター「tonari」の導入です。

tonariを使ってミーティングを実施している様子

常時接続することで、「あ、〇〇さん今いそう」と気軽に声をかけられる状態を再現。空気感ごと共有することができるため、ツールを介した会話以上の一体感が生まれています。

総務から“つながりに行く”という姿勢

拠点に総務がいないというだけで、現地の課題把握やカルチャー浸透をあきらめてしまうのはもったいない。だからこそ、freeeでは総務から能動的に“つながりに行く”姿勢を大切にしています。

例えば、ある拠点から「増員による座席不足で移転したい」と相談があった際、まずはオンラインで現場を見せてもらいました。空間に余白があることを確認し、レイアウト変更を提案。移転せずに課題を解決できたことで、コスト削減と社員満足の両立につながりました。

また、2024〜2025年にかけて5拠点を実際に訪問。積極的に現地で話を聞き、空間を見て、課題を一緒に解決するという地道な積み重ねが、関係構築や運営支援の質向上に貢献していくと信じています。

そして何より重要なのが、拠点の運営やカルチャー浸透は、本社だけで完結できるものではなく、拠点側の自発的な協力が欠かせないということです。だからこそ、総務側から積極的にアプローチし、信頼関係を構築していこうとする姿勢が、すべての土台になります。

距離を超えて、ひとつのチームになるために

freeeでは、拠点に総務がいなくても「距離があっても、ひとつのチーム」と感じられるよう、様々な仕掛けや運用を整えてきました。改めて以下にポイントをまとめます。

・拠点開設の判断基準を明文化する

・オフィス長を任命し、“現地のつながり役”を明確にする

・継続的に情報共有ができるツールを使う

・カルチャー体験を各拠点に届ける仕掛けを用意する

・現地に足を運び一次情報を取りに行く


リモートワークが浸透した今だからこそ、物理的な距離にかかわらず、カルチャーでつながることの価値はますます高まっています。

そして、これからも「ひとつのチーム」としてあり続けるために、距離を超えて“人のつながり”を紡いでいきたいと考えています。

最後に

全6回にわたる本コラムでは、フリー株式会社がどのようにバックオフィスの課題に向き合い取り組んできたか、実例を交えてご紹介してきました。

働き方が大きく変化する中で、総務に求められる役割も広がり続けています。私たちもまだ道半ばですが、「人と人がオフィスを通してつながること」を軸に、日々試行錯誤を重ねています。従業員が安心して出社し、出会い、前向きに働ける場所をつくるために、これからも仲間とともに挑戦を続けていきます。

本コラムを通じて少しでも気になること・聞きたいことがあればご気軽にご連絡いただければうれしいです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。