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新入社員がすぐに会社を辞めるワケ。新入社員の抱える悩みの現状とは

2019.05.10

 若者の早期退職は、非常に深刻な問題だ。コストをかけて採用した社員がすぐに退職してしまっては業務を引き継げるものがいなくなり、いずれ業務が成り立たなくなる。そして、退職は会社に対して見切りをつける行為であり、入社してすぐに会社を辞めてしまう新入社員は非常に多いのが実状だ。

 では、現代の新入社員が会社に対して早期に見切りをつける理由は何処にあるのだろうか。ここでは、新入社員が抱く価値観や早期退職の原因と、会社としての対策について解説していく。

新入社員の早期退職の原因

新入社員の早期退職の原因

 入社してから3年以内に会社を辞めることを早期退職という。そして、厚生労働省が発表している早期退職の推移を見てみると、3割ほどの新入社員が3年以内で早期退職を行っている。この傾向は30年ほど変わっていない。

 新入社員としても就活を経て、企業に就職することからある程度の苦労をして就職していることが予想できる。しかし、それでも毎年一定数の新入社員が企業に対して見切りをつけ、1年も経たずに退職しているケースも多い。

・新入社員の意識と価値観について
 新入社員の価値観や意識は、3年以上勤務している社員と乖離があるわけではない。会社に対する不満は誰にでもあるものだ。そのうえで、新入社員は人間関係の構築や仕事とのミスマッチなども含めたうえで会社に対して希望が持てないと早めに見切る傾向にある。

 現状の転職市場(売り手市場)では、会社に対する不満を抱えて仕事を行うよりも早期退職を行い、第2新卒としてリスタートするハードルが低く、転職活動においても大きく不利になることは少ない。そのため、早期退職に対するデメリットは無くなりつつある。

 また、人物評価で採用を行う企業が増加したことから、会社に対する不満が多ければ多いほど早期離職につながると言えるだろう。

 短期間で複数回、転職を繰り返すことは大きなデメリットであることを新任社員も理解はしている。しかし、それ以上に「現状に対する不満を我慢するぐらいであれば、他の企業を選ぶ」という意識が非常に強い。そのため、日本では数十年以上、一定数の新入社員が入社数ヵ月ほどで早期退職するという状況が続いていると言える。

新入社員の早期退職への対策

 新入社員が早期退職を行う理由は、コミュニケーションの不足や達成感の欠如などの複合的な理由で、会社に見切りをつけることが多い。では、企業が行える早期退職への対策はどんなものがあるのだろうか。

1.活発なコミュニケーションを行う
 コミュニケーションが活発であるほど、新入社員であっても職場に馴染みやすくなる。自分が会社の一員であり、仲間であるという意識が芽生えた場合、離職率は大きく下がる。

 また、コミュニケーションに関しては、仕事を教える場合などでもある程度考慮する必要があり、何よりも孤立させないことが重要だ。場合によっては、新入社員の配置転換などもコミュニケーションによって把握し会社側で考慮できる。部下を持つ立場の人間がどのようなコミュニケーションを部下に行うのか、人任せではなく、ある程度方針を決めておく必要がある。

2.メンタルケアに力を入れる
 新入社員の場合、メンタルに負荷が掛かる場合は多い。特に、人間関係などに関しては入社する企業だけでなく、業務を行う部署によっても負担の度合いが異なる。上司が新入社員に対してメンタルケアを行うとともに、よき相談相手となれればベストだと言えるだろう。

 しかし、場合によっては、上司や同僚に相談できない悩みによって早期退職を行うこともある。特に、企業そのものに対する不満などに関しては話しずらいのが一般的だ。そのため、企業によっては産業医などを有効に活用し、新入社員の悩みを少しでも和らげることも必要だ。

3.人員配置によるミスマッチをなくす
 人員配置は、会社が決めるものであり、個人の希望通りの部署や業務で働けるとは限らない。そのため、新入社員が抱く会社への不満は大きくなりやすい。また、労働条件や就業規則等の説明が不十分であり、就活の際の話と実際の労働が異なるなどの問題があった場合は新入社員の早期退職に繋がる場合が多い。

 人員配置については、募集要項や選考の段階で決まっていることが多いため、詳細な業務説明があれば新入社員を納得させることが可能だ。長年勤めている社員の不満でもゼロに近づけることが難しいものの、採用の段階で実務と差異がある場合は実務に合わせた業務説明を行うことが対策の1つとなるだろう。

まとめ

 新入社員が早期退職を行う理由は「会社に対して希望が持てない」と考えてしまうことにある。そう考える理由は、コミュニケーションの不足や業務への不満などのストレスを軽減出来ていないためだ。

 新入社員が抱えるストレスや不満の傾向は会社としても把握できるものだ。そのため、会社が早期離職への効果的な対策を行うことによって、退職率を下げることが可能だと言えるだろう。