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「副業」は本当に必要なのか!? 「副業」の現状についての考察

2019.05.24

 2018年は、副業元年と呼ばれた年だった。その理由は、厚生労働省が初めて副業に対するガイドラインを作成し公に公表したためだ。また、その内容は注意点を踏まえているものの、副業を推進する内容だった。

 トヨタの終身雇用の終焉の発表なども踏まえたうえで、副業は現代のビジネスパーソンにとってのトレンドとなりつつある。

 では、副業に対する認識や現状はどのようなものになっているのだろうか。ここでは、副業の現状に触れるとともに流行となっている背景を考察していく。

副業が流行る社会的背景

 副業や兼業の促進は、人々の働き方に合わせたものでなければ、トレンドにはなりえない。そのため、厚生労働省が発表したガイドラインに関しては、時代の背景を読んだものであり、多くの企業の実状に関わらず企業の対応を示しているものだといえる。

 副業の解禁は、政府が社会的な流れを汲んだものであり、強制力はないが、世の中の流れを示している。例えば、労働に関する近年の変化としては以下のものがあげられる。

・ライフスタイルの変化と終身雇用の終焉
 ライフスタイルの変化に対して、多様な働き方が可能となった。例えば、育児などをしつつも、会社との雇用形態を継続するなどは、近年になって取り入られるようになった働き方だ。

 また、テレワークやリモートワークなどによって会社に勤めながらも場所を問わず業務が行えるようになり、企業の業務を会社で必ず行わなければならないというスタイルそのものが減少しつつある。

 トヨタの発表以前にも終身雇用の崩壊は副業の解禁の前から指摘されてきたものだ。大企業であっても、業績不振などで大量にリストラをする現代で、コスト削減という観点から人員の削減を行う企業は多い。

・賃金の上昇が見込めずモチベーションが低下
 近年の日本では労働生産性の低下が度々指摘されている。労働生産性の低下により、賃金が大きく上がる事が期待できず、従業員のモチベーションが上がらないという問題もある。正当な評価による賃金改定もないとなれば生産性が向上する要素がない。

・働き方改革関連法案の制定・施行
 多くの企業に関連し、働く時間を実質的に制限する働き方改革関連法案は副業に取り組みやすい環境を作ったと言えるだろう。賃金や多種多様な働き方をふまえたうえで、労働時間に対する規制が出来たことによって、会社員であってもプライベートの時間を確保することができるようになり、自分のやりたいことに専念できる社会が出来つつある。


 副業が流行る背景には、社会的な不安が大きいことがあげられる。働き方改革や勤務形態の変化があったとしても、企業に対する諦めや見切り付ける人が多いといった現状もあるために副業が流行っていると言えるだろう。

副業のメリットとデメリット

 副業は経済的困難からの脱却や、万が一会社がつぶれたときや、辞めたときなどに備えて行う人々も多い。

 企業が副業を認めることによって企業に頼らないスキルアップが可能で、新たなスキルや人脈を本業でも活かせるといったメリットなどもある。また、副業を解禁しているということは、企業のPRに繋がることも多い。

 この章では、副業の対してのメリット・デメリット、注意点について詳しく触れていこう。

・メリットについて
1.自己啓発による多種多様なスキルの取得
 企業によるスキルの取得のあり方は、非常に限られている。特に専門分野であればあるほど専門分野以外の知識やスキルに触れる機会は少ないだろう。会社では決められた業務を行っていれば、問題がないからだ。しかし、副業を行うことによって、人脈を築いたりスキルを習得したりすることが可能となり、本業に対しても新たな気づきやフィードバックが可能となる。

 また、取り組む分野によっては自分の強みを発揮できるものが多く存在しており、企業勤めでは決して味わえない経験を積むことができるだろう。


2.収入源を多数持つことが出来る
 収入源を多数持つことは、多くの人々にとってプラスの要因となり得る。ライフスタイルや働き方の変化があったとしても、人生におけるイベントでは支出が伴うものが多い。そして、その支出を支える収入は本業のみでは足りないというケースが多い。

 理由としては、年収で1000万を超える労働者は人口の5%程度しか居らず、本業においては本人が努力しても年収が上がるとは限らないためだ。副業を行うことによって複数の収入源をもつことが可能となり、あくまでも会社勤めも収入の1つと捉える考え方が定着するだろう。


・デメリットについて
1.本業に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
 副業を行うにあたって、終業後に更に労働を行うことから本業における集中力ややる気が更に低下する可能性がある。本人の時間管理能力にもよるものの、長すぎる労働時間は、本人の体のみでなく精神に対しても悪影響を与える可能性があるため、時間労働を行うとしても限度を考える必要があるだろう。

 また、副業を認めることによって副業の収入ややりがいが所属している会社では得られないものになるため、副業の解禁が退職に繋がるケースも多い。

2.情報漏洩
 副業を行うにあたって、情報漏洩の可能性が高くなる。必ずしも、決められた場所で副業を行う必要がないものの、インターネットを活用した情報のやりとりには非常に気をつける必要があると言えるだろう。例えば、自分が所属する会社名や製品の情報などに対して、自分が知り得る情報をネット上で公開することは情報漏洩に当たり、解雇や懲戒免職となる場合も多い。


・注意点
 副業を行う注意点として、副業と本業の時間のバランスを考えなければならないこと、情報漏洩に対する意識を強くもつことなどがあげられる。例えば、PCなどの取り扱いに対しては会社の規定として持ち込み・持ち出しの禁止などの規定を定めなけらばならない。また、副業を行うとしても、あくまでも企業に所属しつつ行うものであれば、所得ではなく、体力や精神的なケアについても規定を設けておくことで事前の対策を行うことが出来るだろう。

まとめ

 副業が流行っている背景には、社会的な不安がある。正社員などであったとしても終身雇用がすでに難しいと言える状況だ。そのため、自分のスキルを磨く術が必要となるということを多くの人々が感じている。

 そのため、副業によって収入のバランスを取り、精神的な安定を得るといった動きが活発化していると言えるだろう。また、大企業においては副業の解禁を活発に行っている会社もあり、ライフスタイルにあわせた新しい労働の在り方のモデルケースとなり得るだろう。副業がどのような効果を持つのか検討したうえで導入していく必要がある。