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管理部必見 自社への影響を把握し早急な対策を。今すぐ始める軽減税率対策

2019.09.19

 10月1日から消費税が10%に引き上げられる。それに併せ、消費者への影響を最小限にすることを目的に、飲食料品など一部商品の税率を8%に据え置く「軽減税率制度」の導入が決まった。

 軽減税率制度の下では、対象品目の区分や価格表示の検討、請求書等の記載事項、適用税率ごとの区分経理の実施など、経理担当の事務負担が増加し、企業にとって大きな負担がかかることが予想される。

 直前に慌てないためにも、軽減税率導入に向けた準備を担当部署毎に計画的に進める必要がある。

 本記事では特に準備・対策が必要な5つの項目を紹介する。

商品の税率の確認

 今回、軽減税率の対象になるのは、「酒や外食以外の飲食料品」と「週2回以上発行されている定期購読の新聞」だ。とはいえ、商品の状態や販売環境によっては対象となるかどうかの判断が難しいものもある。軽減税率対象品目と標準税率対象品目を両方取り扱っている事業者は、軽減税率が適用される条件を正確に理解することが求められる。

経理事務業務の変更

 軽減税率が導入されることで、帳簿や請求書発行などの経理事務を大幅に変更する必要がある。経理担当者が知っておきたい主要な変更点2つを紹介する。

区分記載請求書への変更
 取引先への請求業務においては、軽減税率(8%)対象のものと、標準税率(10%)対象のものを、別々に記載した「区分記載請求書」を交付する必要がある。
 従来の項目に加え、軽減税率の対象品目であることの明記や、税率ごとに合計した対価の額の記載が新たに求められる。

帳簿の区分経理
 帳簿への記録においても、軽減税率(8%)対象のものと、標準税率(10%)対象のものを分けて記載しなければならない。また、消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、原則としてこの「区分経理」をした帳簿の保存が必須だ。 
 軽減税率対象品目の取扱い(販売)がない事業者も、仕入れや経費に軽減税率(8%)対象品目があれば、仕入れを税率ごとに区分する「区分経理」を行わなくてはいけない。つまり、作業現場で飲み物を購入したり、会議の際のお弁当を発注したりするなど、飲食料品を提供しない事業者にも影響が及ぶこととなるので注意が必要だ。

軽減税率対応レジ・システムの導入

 軽減税率対象商品を扱う可能のある店舗などでは、複数税率に対応するため、レジの設定変更や改修が必須となる。
 同様に受発注システムについても、「複数の税率で売上を登録することができるのか」「区分記載請求書の発行ができるのか」などを確認しよう。

レジを購入する場合は補助金の利用が可能
 新しいレジを購入する場合、いくつかの条件に当てはまれば補助金を受け取ることが可能となる。1台につき最大20万円が助成されるなど充実した内容であり、ぜひ活用したい制度だ。
 ただし、2016年3月29日~2019年9月30日の間に契約したもののみ対象となるので、レジの購入を検討している場合は結論を急ぐ必要がありそうだ。

メーカーへの問い合わせは早めに
 レジの種類や運用方法によって、設定内容は大幅に異なるため、レジメーカー等に問い合わせ、「軽減税率に対応しているタイプか」「非対応タイプの場合は改修できるのか」「改修費用・期間はどの程度か」などを確認しよう。
 2019年10月1日が近づくと、レジメーカーやシステム会社が混雑することが予想されるため、早めの対応が求められる。

従業員教育の実施

 軽減税率制度導入により、顧客が税率を判断できないケースが想定される。顧客の質問や苦情に適切に対応できるよう、従業員教育を行おう。

必要な教育内容
 ①軽減税率制度について(対象品目や持ち帰り・イートイン)の理解
 ②レジ操作の確認
 ③接客対応 (問い合わせへの対応と説明の仕方)を共有

準備すること
 ①テキストやマニュアル作成
 ②顧客への説明資料の作成
 ③勉強会の実施 

価格設定の見直し

 税率の引き上げで価格があがると、消費者の購買意欲が減退するかもしれない。
そこで、一律の税率価格を上げただけでなく、売れ筋や利益率、消費者の購買意欲を考えたメリハリある価格戦略を考えよう。
 事業全体で利益を確保するため、原価やコストの見直しも必要のようだ。
「適正な原価か?」「無駄なコストはないか」などこの機会に見直しをし、利益率が確保できる価格設定を考えてみてはどうだろうか。

価格表示の変更

 価格表示の変更を2019年9月30日の夜に一斉に行うという事業者も多いのではないだろうか?作業量によっては、アルバイトなどの確保が必要になる。各社が同じような動きをとることで、人材確保が難しい可能性もあるため、早めに準備しよう。
 変更漏れによる顧客とのトラブルなどが発生しないようすることも重要だ。

まとめ

 軽減税率は対象品目などの線引きが難しく、誰もが正しく理解するには時間がかかりそうだ。そのため、導入直後は様々な混乱が生じることが考えられる。
 現場の混乱を防ぐためには、軽減税率の対象になる商品の把握のほか、システムや経理業務への対応、補助金の手続き、従業員や店員への教育など事前の準備が必要となってくる。
 自社にどのような影響があるのか把握し、早急に具体的な対策を進めてみてはどうだろうか。