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人事総務担当者必見 採用活動を成功に導く「ペルソナ」とは?設定方法やメリットを解説

2020.01.14

 近年、採用活動を成功に導く鍵として重視されている「ペルソナ」。マーケティングにおいて多く活用されている一方、採用においても「求める人物像」を明確にするために取り入れられている。採用時にペルソナを設定することは、企業の間でも一般的になりつつあるが、中でも「採用したい人材」と「採用できる人材」との間にギャップを抱えている企業にとって有効に働くことが期待できるだろう。

 そのような中、自社の採用活動に役立つペルソナをどのように設定したらよいのかなど、課題に感じている人事総務担当者も多いのではないだろうか。今回の記事では、求める人物像にマッチした人材を採用するためのペルソナの設定方法や活用方法、ペルソナを設定するメリットについて見ていく。

目次

●ペルソナとは?
●採用活動でペルソナを設定するメリット
●採用活動に役立つペルソナの設定方法と活用方法

ペルソナとは?

 自社の採用活動でペルソナを取り入れていない場合、ペルソナとはどのようなものなのかなど疑問を持つ人事総務担当者もいるだろう。まずは、ペルソナ設定の目的や同じような意味で使われるターゲットとの違いについて見ていこう。

ペルソナ設定の目的
 「人格」という意味を持つペルソナ。具体的な生活がイメージできるよう詳細まで描かれた人格を設定することで、さまざまな場面で活用できる。例えば、「名前」や「年齢」「性別」「居住地域」に加えて、「職業」「年収」「趣味」「家族構成」「生活・行動習慣」など、その人物が実在しているかのようにリアリティのある情報を設定すると良いだろう。

 マーケティングの分野においては、ペルソナ設定により商品の顧客像を描くことで効果的なアプローチを行うことを目的とするのが一般的だ。一方、採用活動におけるペルソナとは、企業にマッチした人材を採用するために活用される。「採用したい人物像を明確化したもの」と考えると良いだろう。入社してほしい人物像を描く上で重要なことは、理想ばかりを並べるのではなく、どのような仕事で、どのように活躍してほしいのかをイメージできていることだ。さらに、それに見合う性格や必要なスキルなどの検討が必要になるだろう。

ターゲットとの違い
 ターゲットとは、商品マーケティング上で対象となる特定のユーザーを指しており、ペルソナほど細かく人物像を想定しないことが特徴と言える。ある程度幅を持たせた人物像を設定するため、年代や性別、趣味趣向、消費傾向程度の情報で留めておくことが一般的だろう。

 一方、ペルソナはユーザー像を考えるという点ではターゲットと同じだが、より詳細に人物像を設定する。趣味や価値観、パーソナリティーを備えた架空の人物像が現れることで、ユーザーのより深い理解につながるだろう。

採用活動でペルソナを設定するメリット

 採用時のミスマッチや社員の定着率などに課題を抱える人事総務担当者もいるかもしれない。実際に、採用活動においてペルソナ設定をすることは、企業にとってどのような効果があるのだろうか。ここでは、採用活動でペルソナを設定するメリットについて見ていく。

メリット①求める人材について採用部門と現場のズレを減らす
 求める人物像は、経営戦略と事業戦略を考慮した上で決定される場合が多いだろう。ペルソナ設定をすることによって、人物像がより明確にイメージできるため、採用部門と現場間のズレを認識しやすくなる。ズレが生じている点があれば、両者が納得できるようなペルソナに修正しよう。そうすることで、効率的な採用活動につながることが期待できる。経営・人事・現場の三者間でペルソナの内容を十分にすり合わせ、認識を揃えるよう意識することも忘れずにしたい。

メリット②採用戦略のブレを最小限に抑える
 現在、複数の採用手法を組み合わせて採用活動を行うのが一般的となっており、適切な採用手法の選択や予算の配分などに苦労するケースもあるだろう。ペルソナが明確に設定されていることで、採用に必要な施策の判断軸ができる。迷う場面があればペルソナに立ち返ることで、採用戦略のブレを最小限に抑えることも期待できそうだ。採用戦略を立案する際の視点を統一できることも大きなメリットとなるだろう。

メリット③求職者の視点で情報発信ができる
 企業側が発信する情報の多くは自社がアピールしたい内容が多くなりがちで、求職者が知りたい情報が必ずしも発信できているとは限らない。ペルソナを設定しておくことで、どのような情報が求職者にヒットするのかなど、発信すべき情報がイメージしやすくなるだろう。ペルソナの抱えている問題や課題、転職後のキャリアプランなどに合わせることで、求職者に発信すべき内容をより明確にすることができそうだ。

採用活動に役立つペルソナの設定方法と活用方法

 自社にマッチした優秀な人材を採用するためには、適切な方法でペルソナを設定し活用する必要がある。ここでは、採用活動において効果的に働くペルソナ設定の方法について具体的な手順を解説する。

ステップ①人員計画や求める人材をヒアリングし人材要件を決定する
 会社が必要とする人材は経営戦略によって変化する。そのため、経営陣と自社の戦略についてすり合わせた後に社内の人員計画や求める人材をヒアリングすることが重要だ。求める人材像を明確に描くためには、ヒアリング前の勝手な思い込みや先入観を反映しないよう注意したい。経営戦略を遂行するために必要なスキルや人数、さらに性格や属性などを加味して人材要件を決定すると良いだろう。

ステップ②具体的な人物像を作成するための情報を収集する
 人材要件が明確になったら、具体的な人物像を作成するための情報収集をしよう。リサーチ対象として有効なのは、実際に社内で活躍している社員だ。求める人物像と重なる優秀な社員からの意見は、採用戦略を立てる際にも有益な情報となるだろう。「どのような媒体を好むのか」「やりがいを感じること」「価値観」などについて重点的にヒアリングすることがポイントになりそうだ。

ステップ③たたき台となるペルソナを設定して関係者とすり合わせる
 ペルソナ設定をするにあたり十分な情報を収集できたら、まずはたたき台となるペルソナを設定する。より人物像をイメージしやすいように、エピソード欄や将来のゴール設定欄などを設けた「ペルソナ設計シート」などを活用するのも良いだろう。スキルや経験だけを重視するのではなく、企業風土や自社の働き方に合う人物像であるかなどの確認も必要だ。非現実的なペルソナになっていないか、経営陣や現場とイメージがズレていないかといった人事総務担当者の冷静な判断も欠かせない。

ステップ④ペルソナを採用戦略や選考に活用する
 ペルソナ設定で求める人物像を明確にしたら、採用戦略や選考方法の検討に活用しよう。例えば、面接の適正回数や面接時に見極めるための判断材料としても活かすことができる。ペルソナに基づき判断基準を設けることで、判断時のブレを最小限に留めることもできるだろう。同時に、最終段階で決め手となるポイントも見えてきそうだ。ペルソナを効果的に活用するためには「一度作成したら終わり」ではなく、定期的な見直しを行いブラッシュアップにも努めたい。

まとめ

 採用手法が多様化している昨今、採用する側とされる側のマッチングは簡単とは言えない。「欠員が出たから採用する」「毎年同じ基準で採用している」など、求める人物像を明確にしないまま採用活動を行っていると、入社後の早期退職につながるリスクも考えられるだろう。

 経営陣と現場を巻き込んでペルソナを設定することは、採用する側の意識改革にもつながるのではないだろうか。自社に効果的なペルソナを設定し採用を行うことは、採用を成功に導くだけではなく、経営陣と現場が共に納得できる採用体制の構築にも役立つと考えられる。求める社員像を明確にするペルソナを設定し、自社の採用活動に役立ててみてはどうだろうか。