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企業が行うマイナンバーの手続きとは?マイナンバーを扱う注意点

2020.05.15

総務や人事の担当者は、業務で社員のマイナンバーを扱う機会が多いかもしれない。入社の際に、本人からマイナンバーを申告してもらったり、マイナンバーが記載された書類を提出してもらったりすることもあるだろう。マイナンバーはその人の重要な個人情報であるだけに、扱う側も少し不安を覚えることが多い。この記事では、マイナンバー制度の概要や、マイナンバーの具体的な扱い方について解説をする。

マイナンバー制度って?

"2016年からスタートしているマイナンバー制度は、12桁の番号で個人情報を管理するのが特徴だ。この制度では、住民票がある人にマイナンバーと呼ばれる個人番号が割り振られる。制度がスタートしてからは個人情報がマイナンバーで一元管理され、必要な情報が番号からすぐに探せるようになった。マイナンバー制度のひとつの目的は、「公正・公平な社会の実現」だ。情報のチェック漏れなどを減らし、どの住民にも公正・公平な対応ができるようにするのがこの制度の狙いと言える。また、「行政の効率化」や「国民の利便性の向上」も、マイナンバー制度の目的だ。

マイナンバーからすぐに情報が引き出せると、行政での不要な入力作業などを減らせる可能性がある。また、手続きの際に添付書類の提出が免除されるなど、住民の負担も減らすことが可能だ。ちなみに、マイナンバー制度で使われるカードには、紙製の「通知カード」とプラスチック製の「マイナンバーカード」の2種類がある。本人確認書類としても使える「マイナンバーカード」には、顔写真やICチップがついている。"

マイナンバーを使っても良い3つの時

マイナンバーは、行政においても使用できるシーンが限定されている。マイナンバーの使用ができるのが、社会保障や税金の手続き、災害対策の行政手続きの3つだ。具体的には、年金や雇用保険、医療保険の手続き、生活保護や児童手当等の福祉に関する手続きなどが、マイナンバーが使えるシーンに該当する。また、確定申告や災害時の税金の減免申請手続きなどにも、マイナンバーは使用することができる。このほか、市営住宅や改良住宅の手続きといった暮らしに関する行政手続きでもマイナンバーは重要になる。

日常生活のさまざまなシーンで使用する番号であるだけに、一人ひとりが日頃からマイナンバーの取り扱いに注意を払わなければならない。

社員のマイナンバーを収集する必要がある

マイナンバー制度がスタートして以降、総務や人事担当者にとって社員のマイナンバーの収集や保管は半ば欠かせない業務になった。総務や人事の担当者は、給与事務や源泉徴収票などの支払調書作成の際に社員のマイナンバーを集めて使用する必要がある。会社員は、このような状況に備えて、あらかじめ自分のマイナンバーを雇用主に提出しておかなければならない。給与事務では、年末調整などで社員の税金を計算しなければならないこともある。マイナンバーは所得税の確定申告書にも記載が求められており、税務の手続きで広く使用されている番号だ。

社員の健康保険を切り替えたり、厚生年金保険の手続きをしたりするときにも、マイナンバーは必要になる。雇用保険の手続きでも、社員のマイナンバーがわからないと担当者が業務を進められない。ちなみに、マイナンバーは給与事務や法定調書の作成以外の目的に使用することはできず、定められた範囲で使うことが必要だ。

利用目的を確実に周知しなくてはならない

総務や人事の担当者が社員のマイナンバーを集める際には、「何のために使用するか」という目的を本人に明確に伝える必要がある。このときには、以後に想定される目的をすべて伝えておくのがポイントだ。マイナンバーは、本人に伝えた目的でしか使用することができない。保管している間に頻繁に使用する機会があるときは、最初からすべての目的を伝えておいたほうが仕事が進めやすい。会社では、源泉徴収票の作成や健康保険、厚生年金保険の手続き、労災保険の申請業務などの際にマイナンバーが必要になることが考えられる。

こういった業務が発生した際にその都度目的を通知していては、担当者の負担が大きくなる。複数の社員に一度に周知できる方法を考えておくと、担当者の業務の負担も減るだろう。社員に配布する就業規則にマイナンバーの目的を記載したり、利用目的を列挙した書類を社員が閲覧できるようにしたりすれば、法律のルールに則った形で業務が進めやすくなる。

本人確認は必須

個人が特定できるマイナンバーは、第三者によるなりすましに注意をしなければならない。なりすましを防ぐうえでは、徹底した本人確認をするのがひとつの方法になる。顔写真つきの「マイナンバーカード」がある場合は、このカードだけで本人であるかどうかがすぐに確認できる。「通知カード」のみの場合は、免許証やパスポートと一緒に提出してもらうことで、住所や生年月日などが一致しているかをチェックすることが可能だ。「通知カード」もないときには、マイナンバーが記載されている住民票と免許証、もしくはパスポートで本人確認ができる。

ちなみに、扶養家族の本人確認は必須ではない。ただし、国民年金の第3号保険者の届出をするときには、扶養家族のマイナンバーと本人確認が必要だ。

保管の決まり

マイナンバーは、保管をする必要がなくなったときには速やかに破棄をしなければならない。マイナンバーの保管は、社員を継続雇用する場合や、所管法令で保管期間が定められている場合などに必要になる。実際、社員に関する書類には、退職後も数年間の保管が義務付けられているものがある。こういった書類にマイナンバーが記載されている場合、保管期間中の管理に注意が必要だ。退職した社員のマイナンバーを長期間保管することは、「管理が行き届かなくなる」などの危険が伴う。

だいたい7年を目安に破棄をして、必要以上に書類を長く保管するのは避けよう。保管をする際には、書類を鍵がついた引き出しや戸棚などに入れ、ほかの社員の目に留まらないように注意を払うことが大切だ。情報が流出することがないよう、社内のルールを決めて徹底した管理を行おう。

入社・退職時の処理

総務や人事の担当者は、社員の入社や退職のときにマイナンバーを扱うケースが多い。以下では、入社、退職の際のマイナンバーの処理方法についてそれぞれ説明をする。

入社時のマイナンバー

社員が入社をしたときには、最初に扶養控除等申告書などの書類を総務や人事に提出してもらうことになる。このような書類にはマイナンバーが記載されていることが多いため、預かった担当者は番号の厳重な管理をすぐに始めなければならない。社員にマイナンバーが記載された書類を提出してもらう際には、あらかじめ利用する目的を本人に伝えておくことが必要だ。情報流出のリスクをできる限り減らすためにも、内定した社員のマイナンバーは、入社が確実になったときに提出してもらうようにしよう。

退職時のマイナンバー

社員が退職をすると、社会保険や源泉所得税などの手続きが不要になる。マイナンバーが必要ないときには、退職のタイミングですぐに記録を削除しよう。マイナンバーが記載されている書類を一定期間保管する必要があるときは、保管期間が過ぎた時点で書類を破棄する必要がある。ただし、マイナンバーが記載されている部分の記録を消去すれば、書類を残してもとくに問題はない。マイナンバーを記載する書類のうち、保管期間が長いのは「給与所得者の扶養控除申告書」や「給与所得者の配偶者特別控除申告書」などだ。

これらの書類は、記載されている日付の翌年の1月11日から数えて7年間は保管をする必要がある。入社時に書類を提出してもらっている場合には、退職をしてから少なくとも7年間は社内にマイナンバーが保管されることになるだろう。

マイナンバーは重要な個人情報!

マイナンバーは、個人情報でもとくに厳重な管理が必要になる。重要度が高いこのような情報は、情報流出などのトラブルが起こらないように、定められたルールを守って取り扱わなければならない。入社時や退職時はもちろんのこと、社員が在職している間の管理も徹底して行おう。マイナンバーを扱うことが多い場合は、早めに社内ルールを決めておくと安心だ。

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