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コンピテンシーのメリットとは?導入方法や気をつけたいポイント

2020.05.15

会社で「コンピテンシー」という言葉を使う場面は年々増えてきているでしょう。しかし、コンピテンシーとはそもそもどんなものなのでしょうか。また、コンピテンシーを日本の企業ではどのように活用しているのでしょうか。そこで、この記事ではコンピテンシーとは何か、コンピテンシーはどのように活用されているかなどについて解説していきます。

「コンピテンシー」とは

まずはコンピテンシーとはどんなものなのか、どんな場面で活用されるものなのかを理解しておきましょう。そこでこの段落ではコンピテンシーの意味や日本の企業においてどんな用途でコンピテンシーが活用されているのか解説していきます。

コンピテンシーとは成果を発揮する行動特性

コンピテンシーとは「結果に繋がる要因」のことを言います。結果を出すためには努力することは必須ですが、その際、現状を分析して具体的にどんな努力が必要なのかを把握し、それに則って努力をする必要があるでしょう。「どんなことが結果に繋がったのか」という理由にあたる部分がコンピテンシーに当てはまります。ちなみに日本においてはコンピテンシーのことをその人が持っている「能力」と捉える傾向があります。

採用・評価・人材育成で活用

コンピテンシーは企業活動の様々な場面で活用されています。まず挙げられるのが採用場面です。採用の場面でコンピテンシーを意識した面接を行えば、受験者の本質的な部分を見抜くことができます。例えば、面接の際に受験者が「学生時代に学校の組織運営に携わっていた」と話していても、どれくらい組織に貢献していたかはわかりません。そこでコンピテンシーを面接に取り入れることで、組織運営にどれくらい携わり、具体的にどのくらいの結果を出してきた人なのかがわかるでしょう。そのため、個々の面接官の判断の偏りも軽減することができます。

また、人事評価にもコンピテンシーは活用されています。これまでの人事評価は評価基準が結果だけだったので、具体的にどんな行動が評価に繋がるのかわからず、社員のモチベーション維持が難しかったでしょう。そこで評価される行動基準が明確化されることで、社員が普段、どのようなことを意識して業務に取り組めば良いかがわかりやすくなります。評価に対しても納得できるようになるので、社員が高いモチベーションを持って業務に取り組めるようになるでしょう。

それに加え、人材育成でもコンピテンシーを活用することができます。普段から結果を出している社員がどのような過程で成功しているのかなどを研修で取り扱い、新入社員もそれを真似するシステムを作れば、高い結果を出せる「ハイパフォーマー社員」をスムーズに育成できるでしょう。人材育成にコンピテンシーを活用するにあたっては、人材育成計画を立てる際に、自社のコンピテンシーモデルを事前に作っておくのがおすすめです。

なぜ注目されている?コンピテンシーを活用するメリット

コンピテンシーを活用することには様々なメリットがあります。先ほど解説したように、かつての日本の企業では、「何をすれば評価してもらえるのかわからない」と不満を持っている人が少なくありませんでした。そこでコンピテンシーを活用し、「この行動がどこまでできたか」などといった内容の評価項目や評価基準を定めることで、社員が評価されるためにどんなことをすれば良いかがわかりやすくなります。

また、従来の日本では結果だけを重視し、結果のための過程を軽視する傾向がありました。しかし、この仕組みだと結果を出している人だけでなく、結果を出した人のサポートに回っていた人は評価されなくなってしまいます。リーダータイプの人材ももちろん大切ですが、組織を円滑に運営するためには、サポートができる人材もとても大切です。したがって、コンピテンシーを導入することで、サポートタイプの人の評価もしっかりできるようになり、優秀な人材を逃してしまうことも避けられるでしょう。

そして、コンピテンシーを活用した評価制度は全社員の行動の質を高めることに繋がります。したがって、会社全体の意識改革にも繋がり、組織の雰囲気も変わるでしょう。それに加え、結果を出している人が持っている仕事のノウハウやコツを共有化し、ナレッジマネジメントを実践することにより、新事業のアイデアが浮かんだり、業務の効率化に繋がったりすることも期待できます。

コンピテンシーモデルの設計

会社でコンピテンシーを導入する際にはコンピテンシーモデルをしっかり設計することが大切です。そこでコンピテンシーモデルの設計手法や、モデル化の際のポイントを見ていきましょう。

コンピテンシーモデルの3パターン

コンピテンシーモデルには理想型モデル・実在型モデル・ハイブリッド型モデルの3種類が存在します。まず理想型モデルは、企業ホームページの「求める人物像」の欄で掲げているような、会社が求める理想の人物像をもとにモデルを設計したものを言います。理想型モデルのメリットは会社が求める通りの人物を育成することができる点ですが、目標が高すぎて達成できないモデルになってしまいがちなので、現実的に考えて無理なく達成できる目標を設定することが大切です。

次に実在型モデルは、会社に実際にいる仕事ができる人をモデルにして設計する方法を言います。この方法だと、身近にいる人をモデルとしているので、社員も納得しやすいでしょう。ただし、ごく稀に元々記憶力などがずば抜けて優れており、仕事でも結果を出している人もいます。このような人は素質の部分で一般の社員と差があり、もデルにしても一般の社員だと実現できないこともあるのでモデルにする人はしっかり話し合って決めることが大切です。

そしてハイブリッド型モデルは、理想型と実在型の良いとこ取りをしたモデルのことを言います。ハイパフォーマー社員に対して結果を出すためにどのような行動をとったのかヒアリングを行い、その背景に目を向けてコンピテンシーを明確にし、コンピテンシーモデルを設計するので、社員も納得して取り組めるコンピテンシーモデルを確立させられるでしょう。ただし、この方法だと自社の経営方針とかけ離れたモデルができあがってしまうこともあるので、経営ビジョンと照らし合わせてモデルを設計することが大切です。

モデル化する際のポイント

それでは、コンピテンシーモデルを設計する際のポイントを見ていきましょう。まず、コンピテンシーモデルは階級や職種に合ったものであることが重要です。部署・階級によって業務内容が異なるので、会社全体で共通のコンピテンシーモデルを設置するのはあまりおすすめしません。そこで部署ごとにコンピテンシーモデルを作成すれば、実際の行動モデルとして参考にしやすいものになるでしょう。

コンピテンシーモデルを設計する際には、「この状況の際にはこの行動を取れば良い結果が期待できる」というように設計します。これを実現するために、ハイパフォーマー社員からヒアリングして状況に応じた行動データを集め、高い業績に繋がる行動・思考を解明しましょう。そして、このようにコンピテンシーモデルを設計すれば、高評価に繋がる行動がモデル化されることによって明確化されるので、社員も結果のためにどのように努力すれば良いのか理解しやすくなります。それに加え、コンピテンシーモデルを導入することで評価のために社員がどんなことに対して努力をしているのかもわかるので、人材が持っている能力を活かせる場所がわかり、適材適所の人材配置も実現できるでしょう。

コンピテンシーを採用・評価に活かすポイント

コンピテンシーを採用活動・評価に活かすためには、企業側はどのような取り組みを行えば良いのでしょうか。まず、採用活動の場面においては、結果を出すためにどんな行動をとったのか、どんな考えを持って生活しているのかを聞いてみるのが良いでしょう。そうすることによって、応募者の人間性や、仕事への取り組み方などが見えてくるので、ハイパフォーマーになれる素質がある人材かどうかが判断できます。

そして、人材評価にコンピテンシーモデルを活用するためには、組織内にコンピテンシーモデルを浸透させることが重要です。ただ、ずっと同じコンピテンシーモデルだと、時代に追いつかず古い価値観のままで評価を行うので、社員も実践しにくくなってしまいます。そのため、定期的にコンピテンシーモデルを再検討し、時代に合った人物像を掲げるようにしましょう。コンピテンシーモデルを社内に浸透させるにあたっては、目標設定の基準にコンピテンシーの考え方を導入することが挙げられます。そうすることにより、社員も日頃からコンピテンシーを意識した振る舞いができるでしょう。

ただ、コンピテンシーモデルと現場のレベルに差が出てくることもあります。そんな時もコンピテンシーモデルを再度検討し直し、社員が実現できるレベルの内容に変えましょう。

コンピテンシーの課題

コンピテンシーには課題も存在します。そのため、課題も理解したうえで導入することが重要です。まず、コンピテンシーモデルを設計する際に、ハイパフォーマーをモデルにすると、一般社員に対する業務の難易度が上昇することになってしまいます。それに、自分なりに効率良く業務を進める方法を確立している人もおり、仕事への取り組み方を変えることで逆に効率が悪くなってしまうかもしれません。それに、社員の意識や価値観に対する多様性が求められる時代となりましたが、特に上の世代は時代に逆行している考え方を持っている人も多いです。そこで会社の上層部がコンピテンシーを導入しても、時代にそぐわないものになってしまう可能性もあります。

それに加え、コンピテンシーモデルは定期的に再検討する必要がありますが、実際はコンピテンシー評価者への負担が大きく、ヒアリングの時間を確保できないなど、再検討するのが難しい企業も多いです。それ故に、コンピテンシー導入後のメンテナンスが難しいことも理解しておく必要があるでしょう。

これらの課題が発生する原因としては、コンピテンシーによる評価が目的となってしまいがちであることが挙げられます。あくまで成果を出せる人間になるための指標として活用するものであることを理解し、導入後の運用方法も考えてから導入するようにしましょう。

負担はあるがリターンも大きいコンピテンシー

コンピテンシーに関しては、企業側への負担が大きく、導入後に課題を抱える企業も多いですが、導入するメリットも大きいです。コンピテンシーを導入する際には、仕事で結果を出すことに繋がる内容であるだけでなく、社員が実現できる程度の内容であることも重要でしょう。したがって、コンピテンシーを導入する際には、社員目線に立ってじっくり時間をかけてコンピテンシーモデルを設計しましょう。

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