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【必見】職場で起こるハラスメントとは?定義から対策まで徹底解説!

2020.09.15

ハラスメントは社会問題としてよく取り上げられるようになっている。企業内でもハラスメントの発生が大きな問題になることがあるため、対策が求められているのが現状だ。ただ、聞いたことはあっても、ハラスメントが具体的にどういったものなのかよくわかっていない人も多い。この記事では、ハラスメントの定義から対応の方法まで広く紹介する。

1.ハラスメントとは

まず、ハラスメントとは何かを正しく理解しておこう。ハラスメントとは相手を不快な気分にさせる行為を全般的に指す言葉で、英語の「harassment」に由来している。「harassment」はいじめや嫌がらせと訳されることも多い。相手の意に反する行為によって、相手が身体的あるいは精神的に不快だと感じたら、行為者の意図がどうであろうとハラスメントになるのが特徴だ。暴力行為に対する抵抗など客観的に正当性が認められる場合はハラスメントとはならないが、何気なく相手に触れただけでもハラスメントになるリスクがあるので注意が必要である。

有名なハラスメントとして知られているのがパワハラ(パワーハラスメント)、モラハラ(モラルハラスメント)、セクハラ(セクシャルハラスメント)だ。詳しくは後述するが、このようなハラスメントが多発している影響で法整備も行われており、男女雇用機会均等法や育児介護休業法、パワハラ防止法がそれに該当する。このように、社会問題となっていることを意識して、個人としても組織としても対策をすることが必要になっているのが現状だ。

2.職場で気をつけたいハラスメント

ハラスメントの中でも、職場で起こり得る代表的なハラスメントが5つある。それぞれについてどのような特徴があるのかを詳細に解説していく。

2-1.①セクシャルハラスメント
セクシャルハラスメントは体に触れたり、不愉快な発言をすることで性的な嫌がらせをする行為である。対価型セクハラと環境型セクハラの2つに分けることができ、職場ではどちらも起こり得る。対価型セクハラは上下関係を利用する場合が多いのが特徴で、性的な行為や言動を強要する対価として評価を上げる、あるいはそれを受け入れないと評価を下げるといったやり方をするのが一般的だ。一方、環境型セクハラの場合には労働環境を悪化させることにつながるセクハラとして知られている。対価型セクハラと違って直接的な不利益は発生しないものの、繰り返し性的な言動や行為にさらされることで不快な環境が作られてしまうのが特徴だ。

2-2.②パワーハラスメント
パワーハラスメントは地位などの優位性を背景として、必要な範囲を超えた言動や行為により精神的または身体的苦痛を与えることである。部下に対する理不尽な命令や暴力行為などが典型的なものと言える。細かく分類すると、パワーハラスメントは「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」に分けられる。それぞれの具体例としては、「胸ぐらをつかまれる」「人前で叱られる」「周囲に悪評を広められる」「理不尽な量のタスクを課される」「業務がほとんど渡されずやることに困る」「有給休暇の申請理由を説明させられる」といったものだ。

2-3.③モラルハラスメント
モラルハラスメントは肉体的な侵害行為はないが、精神的な嫌がらせや暴力、いじめのような行為を指す。パワーハラスメントと違うのは上下関係や優越性は関係なく、単純に相手のことを卑下する言動や行為によって貶めるのが特徴だ。「大人のいじめ」と言われることもあって判断が難しく、直接的に取り締まることができる法律も存在していない。規模の大小も様々で、一人の上司や同僚から人格否定をされるケースもあるが、ひどいケースでは職場全体から無視されるといったことも起こっている。モラルハラスメントは行為者の自覚がないことが多いため、状況が悪化しやすい。しかし、企業には労働環境配慮義務が課されており、従業員から訴えられてしまうリスクもあるため、特に注意が必要と言えるだろう。

2-4.④ジェンダーハラスメント
ジェンダーハラスメントは男性、女性という性別に基づいて不平等な扱いをしたり、男女の違いによる不当な評価をすることを指す。ジェンダーハラスメントは性別による差別に相当するもので、本人の能力や実績、性格や個性などに基づいた公平な判断がなされていないのが問題点である。男女雇用機会均等法ではジェンダーハラスメントを禁止していて、同じ職種でありながら男女で異なる雇用条件を適用する、特別な理由がないのに男性のみまたは女性のみ採用の対象とするといったことは禁止されている。男らしさや女らしさを強要する言動や行為もジェンダーハラスメントで、男なのに、女なのにという発言はジェンダーハラスメントになる可能性が高いので注意したい。

2-5.⑤マタニティハラスメント
マタニティハラスメントは、妊娠や出産に関わる言動や行為によって不快な仕打ちを受けることや妊娠を理由に不利な処遇を強要されることを指す。精神的あるいは肉体的な嫌がらせはセクシャルハラスメントやジェンダーハラスメントと重なる場合があるが、妊娠中で動くのがつらいのに普段よりも移動が多い仕事を任させるといった形のマタニティハラスメントもある。状態への嫌がらせ型と呼ばれるパターンで、他にも辞職を迫られたり、こんなに忙しいタイミングで妊娠しないで欲しいと嫌味を言われたりする例も少なくない。また、制度等利用への嫌がらせ型と呼ばれるマタニティハラスメントも多い。育児休暇を申請をしても認めてもらえない、育児休暇は取得できたが異動になった、男性が育休を取る必要はないと叱責されたなどといったハラスメントが典型的だ。

3.職場でのハラスメント対策

このように様々な種類のハラスメントがあるが、対策としてはどのようなことをしたら良いのだろうか。まず、予防策としては従業員の教育が最も重要だ。ハラスメントとは何かを自覚させなければ、自分ではハラスメントだと思っていないのに多くの人を不快にしてしまっている可能性がある。どのような言動や行為がハラスメントになり得るのかを具体的に例示し、教育する機会を定期的に作ることが必要だ。また、ハラスメントが発生したときの対処方針を策定して周知するのも効果的と言える。相談窓口を設けて気軽に話せるようにすれば被害者をすぐに快方に向かわせられるだけでなく、再発防止にもつながる。このような視点で社内体制を整えるのを重視すると良いだろう。

また、発生してしまったときの対応策もフローにしておくのが良い方法だ。相談窓口でヒアリングをしたら事実関係を確認し、関連する人たちに事情聴取をすることがまず必要になる。そして、その結果に基づいて関係者の処置とフォローをするというフローが基本だ。この際に気を付けなければならないのがプライバシー保護の徹底である。信用に関わるだけでなく、損害賠償にも影響する部分になるため、気を付けなければならない。理想としては、損害賠償請求の手続きもフォローして被害者を手厚く守るようにしたい。被害に遭ってしまったときも、完璧なフォロー体制があるとわかると従業員も安心できるようになるだろう。やや手厚すぎると思うくらいな対応策を立てておくのが賢明な判断と言える。

十分な対策でハラスメントを防止しよう

ハラスメントはどの職場でも起こり得るものだという認識をして対策をすることが必要だ。組織として十分な防止策を進め、ハラスメントのない職場環境を目指すことが重要になる。また、起こったときの対処法も想定しておきたい。ハラスメントに対する認識を持たせることを前提として、個人への意識向上や相談窓口の設置など進めていくことが重要と言える。

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