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売掛金管理とは。管理の仕方やポイント、未回収の場合はどう対応する?

2021.11.30

 売掛金管理とは、掛取引において将来的に受け取れる代金である「売掛金」を、売掛金台帳や得意先元帳を用いて管理すること。売掛金は回収できないとリスクになるため、きちんと管理し、確実に回収することが重要だ。そこで本記事では、売掛金の概要と管理の方法やポイント、回収できないときの回収方法などについて紹介する。管理するポイントや流れを参考に、売掛金管理に役立ててほしい。

目次

●売掛金とは
●売掛金管理とは
●売掛金管理のポイント
●売掛金の管理の方法
●未回収になった場合の回収方法
●まとめ

売掛金管理とは

 一般的に、企業間取引では、代金を後払いで請求する「掛取引」が多く行われている。この掛取引で使われる「売掛金」を管理するのが、売掛金管理だ。まずは、売掛金の意味や、売掛金管理の概要を押さえよう。

売掛金とは
 売掛金とは、売上の対価として将来的に金銭を受け取れる債権(権利)のこと。経理上では、商品を販売する際、同時に手形や現金での受け入れがない、「掛取引」で使われる勘定項目だ。売掛金を使った取引は、信頼関係を必要とすることから、信用取引に区分される。 
 企業間の取引が掛取引を基本として行われるのは、管理の手間を省きながら、通常より多くのモノやサービスを売り買いできるようにするためだ。掛取引の結果、購入量などに対して値引きなどの対応が可能になり、売り手側はより多くの量を販売でき、買い手は安く商品を購入できるといったメリットがある。一方で、売掛金は企業にとって未収の債権であるため、日常的に管理を行い、確実に回収することが重要だ。

売掛金と買掛金の違い
 売掛金と似た用語に「買掛金」がある。買掛金は購入後に代金を支払わなければいない「債務」を意味する勘定科目だ。同一取引の中で、後に代金を受け取れる債権(権利)が「売掛金」、後に代金を支払わなければならない債務(義務)が「買掛金」となる。

売掛金管理の概要
 売掛金の管理とは、未納の代金である「債権」の残高を管理し、売掛金をもらさず回収することだ。売上がいくら多くても、売掛金の回収ができなければ資金繰りに影響し、最悪の場合には倒産の可能性が生じるため、売掛金の管理は重要な業務となる。

 売掛金の管理には、「売掛金元帳」を使うのが一般的だ。売掛金元帳は、売掛金を管理するための帳簿の1つで、取引先別に取引内容を記録するもの。売掛金元帳の記載項目は、以下の通りだ。

●取引のあった日付
●取引した商品の名称
●商品の個数
●商品の単価
●商品の個数と単価を掛けた売上金額
●売掛金を回収した場合の受入金額
●当該時点での売掛金残高

売掛金管理の流れ

 ここからは、売掛金管理の流れを見ていこう。

【ステップ1】請求書を発行する
 まずは売り上げを確認し、売掛金元帳等の「帳簿への計上」と「請求書の発行」を行う。請求書の発行は、あらかじめ決められた締日に合わせて行うが、新規の取引先に対しては、営業部門と認識を統一することが必要だ。請求書のフォーマットは自社で作成するのが一般的だが、取引先によってはフォーマットを指定される場合もあるだろう。また、契約をもって売上を計上する場合や、取引の度に売上を計上する場合など、取引先に応じた個別の要望をふまえて対処できるとよいだろう。

【ステップ2】代金回収方法を確認する
 売掛金の代金を回収する方法で、最も多いのは、銀行振込だ。自社で複数の振込先を持っている場合は、どの取引先がどの振込口座に入金することになっているのかを確認し、入金に備えよう。また、代金の回収方法にはクレジットカードや手形、小切手などもあるので、得意先ごとの入金方法を把握しておこう。

【ステップ3】入金確認する
 入金をされたかどうかを確認する。確認方法は「預金通帳の記帳」「銀行からのFAX」「インターネットバンキング」があり、その中でも最も早く入金確認ができるのは、インターネットバンキングだ。取引先と取引内容に対して、請求書と入金の金額が一致しているかといったことを確認することが重要となる。

【ステップ4】入金消し込みをする
 入金が確認できたら、取引先社名と振込名義人、売掛金と入金の金額が全て一致していることを確認し、入金消込を行う。ミスが許されない重要な業務なので、間違いがないよう慎重に行おう。万が一、請求金額と入金金額が一致しない場合は、個別に対応する必要がある。その際は社内で情報を共有し、営業担当者と経理担当者のどちらが対応するのかも、事前に決めておくとよいだろう。

売掛金管理のポイント

売掛金管理を行うために押さえておきたいポイントを紹介する。

顧客情報を一本化しわかりやすくする
 取引先の名前で顧客管理を行うことはよくあるが、入力間違いなどにより2社以上の取引先として扱われてしまうことがある。また、部署によって管理する取引先名が異なり、正確な情報を共有できないことも考えられるだろう。このような事態を回避するためには、顧客IDを発行するなどして、社内で情報を統一しておくことが望ましい。共通のIDを使って顧客情報を管理することで、与信管理にも役立つだろう。

顧客ごとに締め日を管理する
 掛取引は、月末を締め日にするのが一般的だが、「15日」や「20日」を締め日にしている企業もある。月の半ばを締め日としている場合は、締め日以降に取引が発生した場合、翌月の請求で漏れが発生しないように、管理方法にも注意が必要だ。

売掛金の管理の方法

 売掛金の管理には「エクセル」や「会計ソフト」を活用するのが一般的だ。それぞれの特徴やメリットを見ていこう。

エクセルを活用する
 エクセルなどの表計算ソフトを活用して「売掛金管理表」を作り、全ての得意先を一括で管理する方法だ。個々の売掛金を手入力で行うか、効率的に済ませるなら今あるシステムからデータとして取り込むこともできる。

 売掛金管理表に必要な項目には、「請求年月日」「取引先会社名」「売上金」「入金方法」「入金期日」などがある。得意先の数が多い場合は、社内の共通コードを決め、コードを入れれば得意先名などが表示されるよう関数を組むとよい。また、独自の管理台帳を作ると、その会社にあった売上などの状況が把握がしやすくなるだろう。


会計ソフトを活用する
 より効率的に売掛金を管理する方法として、会計システムを利用する方法もある。一般的な会計システムには、「得意先元帳」が多く搭載されている。得意先元帳を利用すれば、取引先ごとの入金、出金を把握することができる。

 近年企業への導入が進んでいる各種の会計クラウドシステムでは、売掛金と入金のマッチング機能まで備えたものもある。ただし「会計ソフト」は売掛金管理のみを目的としたものではないため、会計ソフトの機能を活かしつつ、エクセルなども補完的に利用する方法がよいだろう。

売掛金が未回収になったら?回収方法や負債を軽減する方法

 万が一売掛金が未入金になった場合は、まず取引先がなぜ入金できなかったのかを把握することが大切だ。取引先が未払いに気づいていないこともあるため、まずはそれを伝えるとよいだろう。その上でなお入金されない場合には、以下のような対応を検討しよう。

内容証明郵送する
 取引先への電話や督促状を送っても連絡がつかず、売掛金の回収が難しいと感じたときは、はじめに内容証明郵便を送る。内容証明自体に支払いを遂行させる法的な効力はないものの、受け取った相手が早く支払わなければと感じるきっかけになるとともに、時効による売掛金の消滅を防ぐことにもつながりる。万が一訴訟に発展してしまった場合も、証拠として利用できる。

買掛金と相殺し、負債を軽減する
 売掛金の支払いが滞っている取引先に対して、自社の買掛金がある場合は、売掛金と買掛金を相殺することで未回収の売掛金の負担を軽減する方法がある。また、買掛金との差し引き額で、未払いの売掛金を減額する方法もあるだろう。

第三者に債権譲渡してもらう
 第三者に債権を譲渡してもらう方法は、「取引先が第三者に対して売掛金を持っている場合」に利用できる回収方法だ。取引先が将来受け取れる売掛金を「第三者に買い上げてもらう」場合と、「債権を自社に移転させることで回収する」場合がある。第三者が支払うことで、取引先からの直接の入金がない場合でも債権を回収することができる。しかし、債権譲渡は簡単にはできないため、弁護士などの専門家に相談することが望ましい。

法的手段に出る
 これらの手段を講じても、なお未払金を回収できない場合には、裁判所に介入してもらうことも検討しよう。具体的には、「支払督促」「少額訴訟」「通常訴訟」などの対応が行える。取引先との関係を崩さないためにも、なるべくこのような状況にならないように、売掛金を管理することが重要だ。

まとめ

 未回収の売掛金の全貌を把握し、確実な回収を行う売掛金管理は、企業の資金繰りを管理する上で重要なポイントとなる。売掛金をきちんと管理していないと、回収が遅くなってしまったなどの事態に気付くのが遅れ、経営の危機に陥ってしまうことも考えられる。売掛金の管理の流れやポイントをおさえ、適切な管理を心がけよう。

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