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決算とは?目的や手続きの流れ、おすすめ会計ソフトなどを紹介

2021.11.30

 企業の財務状態や経営状況を把握するための重要な手続きである「決算」。企業の年間収益と費用をまとめた「決算書」は、資金の調達方法や運用方法、利益の生み出し方、実際の現金の流れなどを読み取れる重要な書類だ。決算は日々の経理業務の積み重ねであり、その正確性が求められる。

 本記事では、決算の概要をはじめ、決算書を構成する主な書類や決算手続きの流れなどを解説する。法人決算でおすすめの会計ソフトも紹介しているので、決算手続きの効率化に役立ててほしい。

目次

●決算とは
●決算書を構成する主な書類
●決算手続きの流れ
●決算手続きを効率的に行うポイント
●法人決算でおすすめの会計ソフト2選
●まとめ

決算とは

 決算とは、企業の1年間の収益と費用を計算し、利益や損失を書類にまとめること。この書類を「決算書」といい、取引先の企業や金融機関、株主に自社の経営状況を示す役割を担う。ここでは、決算を行う理由や目的、決算を行う時期について解説する。

決算を行う目的
 決算を行う目的は、取引先の企業や金融機関、株主に経営状態を報告するとともに、経営者自身が財務状態や経営成績を把握することだ。決算の内容は「新規事業に着手する」「事業規模を拡大・縮小する」「主力事業を切り替える」といった経営判断の根拠となるため、企業を健全に経営していくために欠かせない手続きといえる。

 日本の法人には、事業規模にかかわらず1年に1度必ず決算を行い、「決算書」と「税務申告書」を税務署などに提出することが義務付けられている。

決算を行う時期
 決算を行う日を「決算日」といい、法人の場合は企業ごとに決算日を設定できる。日本では「税法改正が4月1日に適用されることが多い」「公的機関の会計期間が4月から翌年の3月と決まっている」などの理由により、3月決算とする企業が多い。

 また、決算を行うタイミングは、法人と個人事業主とで異なる。個人事業主の会計期間は1月から12月で、決算日は12月31日と決められている。

決算書を構成する主な書類

 決算書は、「財務三表」と呼ばれる「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」や、純資産の変動についてより詳しく記載する「株主資本等変動計算書」などで構成される。各書類の特徴を見ていこう。

損益計算書
 損益計算書とは、企業の純粋な利益を知るための書類のこと。次の5つの利益が算出される。

●企業の粗利である「売上総利益」
●売上総利益から費用を差し引いた「営業利益」
●本業以外の収益・費用をまとめた「経常利益」
●臨時で発生した損益を含めて全ての事業活動の利益となる「税引前当期利益」
●法人税などを差し引いて残る「当期利益(純利益)」

 一定期間における企業の経営成績が確認できるのが特徴だ。経営状態を把握したり、前年のデータや同業他社と比較して自社の状況を判断したりする際に役立つ書類といえる。

貸借対照表
 賃借対照表は、企業の財政状態(資産、負債)を示す書類のこと。「企業が保有する資産」「企業に返済義務がある負債」「返済義務のない純資産」などを把握でき、企業の資産と負債のバランスを確認できる。

キャッシュフロー計算書
 キャッシュフロー計算書は、入出金を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに区分し、企業の「資金の流れ」を示す書類だ。会計期間の初めにいくらの資金が手元にあり、会計期間の終わりにはいくらの資金が手元に残っているのかを算出できる。それをもとに、会計期間中にどのような理由でどの程度の資金が増減したのかの確認が可能だ。

株主資本等変動計算書
 株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の部一会計期間における変動額のうち、主に株主に帰属する部分である「株主資本」の各項目の変動事由を報告するために作成される書類のこと。会社法により、計算書類として設定されている。「新株発行」「剰余金の配当」「自己株式の処分」といった事由が発生した際に、どのように資産が変動したのかをまとめたものだ。

決算手続きの流れ

 ここからは、決算手続きの内容と流れを確認していこう。

1. 決算残高の確定
 まずは、決算残高を確定する。決算日時点での「現金・預金」「売掛金」「買掛金」「借入金」「固定資産」「棚卸資産」など全ての勘定科目の残高と、実際の残高が一致しているかを確認しよう。「固定資産の償却処理」や「棚卸資産の計上」などは、決算整理仕訳として追加で仕訳を行う。

2. 税金の計算
 決算残高の確定後は、「法人税」「法人事業税」「法人住民税」「消費税」といった税金を計算する。計算した税額は、決算仕訳の整理の最後に計上する。

3. 決算書の作成
 次に、法令に定められた書式にもとづき決算書を作成する。作成した決算書は監査役などの確認を経て、株主総会に提出される。

4. 法人税申告書を作成
 決算書をもとに、法人税などの申告書も作成しよう。「法人税」と「消費税」は所轄の税務署に、「法人事業税」「法人住民税」は各都道府県および市町村の税務事務所に提出する。原則として、期末日から2カ月以内に申告書の提出および税金の納付が必要だ。

 また、株主総会は決算日から3カ月以内に実施する必要があるため、決算手続きは効率的に進めよう。

決算手続きを効率的に行うポイント

 決算手続きを効率的に行うためには、「決算に向けて定期的に取引の記録をつける」「提出する書類や納税の期限から逆算して作業する」という2点が重要だ。

 決算では、1年度分の取引を集計して整理しなければならない。日々の経理業務を正確に行うとともに会計業務の流れを明確にし、余裕を持ったスケジュールを組み立てることが効率化につながる。

法人決算でおすすめの会計ソフト2選

 最後に、法人決算でおすすめの会計ソフトを2つ紹介する。クラウド会計ソフトを活用することで、決算手続きの効率化を図れるだろう。

freee会計(freee株式会社)
 「freee会計」は、わかりやすいガイドが表示されるため経理が初めてでも使いやすく、ミスなく正確に経理業務を行えるクラウド会計ソフト。定型業務はもちろん、支払依頼や稟議ワークフロー、証憑(しょうひょう)書類の管理など、まとめて効率化を図れるのが特徴だ。

参考/関連記事:『クラウド型販売管理システム「楽楽販売」が「freee会計」と連携開始』

マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)
 「マネーフォワード クラウド会計」は、データをクラウドに集約し、経営の見える化を実現する会計ソフト。日々の仕訳データをもとに決算書が自動で作成され、経営に役立つ幅広い帳票やレポートの作成にも対応している。リアルタイムで経営情報を把握できる他、取引の入力などの自動化によって業務効率を大幅に改善してくれるだろう。

参考/関連記事:『マネーフォワードとChatworkが業務提携』

まとめ

 決算は、経営者自身の財務状態や経営成績の把握はもちろん、株主や取引先、金融機関に経営状態を報告するためにも必要となる。企業を健全に経営していくために欠かせない手続きであるため、決算の流れを理解し、正しい知識をもって進めよう。本記事で紹介しているクラウド会計ソフトを導入するなど、自社の決算手続きの効率化にも取り組んでみてほしい。

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