アルコール検査もチャット上で完結 「スリーゼロ」と「direct」の連携が建設現場のDXを加速
建設業界で高い導入実績を持つビジネスチャット「direct/ダイレクト」が、アルコールチェック管理サービス「スリーゼロ」との連携を発表した。これにより、アルコール検査結果を共有できるようになり、管理者の業務負担が大幅に軽減される。現場作業に欠かせないさまざまなツールと連携を進める「direct」は、“現場DX”のプラットフォームとしてどのような未来を描くのか。「direct」を提供する株式会社L is B(エルイズビー)の熊谷菜々氏と、「スリーゼロ」を手がけるシャープ株式会社の宇徳浩二氏に、建設業界の現状やサービス連携の背景、今後の展望などについて話を聞いた。
アルコールチェック管理サービス「スリーゼロ」
建設業界の構造的課題がDXの遅れの原因に
──お二人は今の建設業界が抱える課題について、その現状をどのように捉えていますか。
シャープ株式会社 スマートビジネスソリューション事業本部 SaaS事業統轄部 事業企画部 部長 宇徳浩二氏(以下、シャープ宇徳) 建設業界では人手不足と高齢化が深刻化しており、大きな構造的課題となっています。若手の参入が進まず世代交代が滞ることで、担い手の減少や技術継承の難しさも目立つようになりました。また、他業界と比べてDXの取り組みが遅れている点も指摘され、労働環境の改善や生産性向上に向けた仕組み作りが急務です。
株式会社L is B(エルイズビー) 営業本部 営業企画部 部長 熊谷菜々氏(以下、L is B熊谷) DXの遅れには業界特有の事情があります。現場ごとに作業内容や関わる人が日々変わり、作るものも異なるため業務の定型化が難しいのです。その結果、使用するツールも現場ごとにばらばらで、その都度操作を覚え直す必要があることも少なくありません。システム間の連携が十分でないことも、効率化を阻む要因です。ただ、近年は業界全体で危機感が高まり、DX推進の動きが徐々に広がっています。
──現場では煩雑な管理が求められる一方、2022年には道路交通法の改正でアルコールチェックと記録保持が義務化されました。建設業界にも変化はありましたか。
シャープ宇徳 法改正により、従来は対象外だった白ナンバー事業者も運転前後のアルコールチェックと結果の記録が義務化されました。建設業界でも点呼と確認が日常業務に組み込まれていますが、対象となる運転者の記録を毎日残すのは現場・管理側とも大きな負担です。紙によるアナログ管理では、実際にチェックが行われたのか確認しにくく、記録の漏れや誤りも生じやすいという課題があります。
L is B熊谷 当社は「スリーゼロ」の販売代理を行っていますが、アナログ管理を続けている企業もまだ多く、そうした不便さからニーズは増加傾向にあります。また、建設現場では業務ソリューションが乱立し、情報が分散している状況です。そこで、現場のコミュニケーションツールとして認知を得ている「direct」を活用し、複数ツールの情報を一元化する環境を整えることが重要だと考えています。
今回のスリーゼロとdirectの連携によって、この煩雑さを解消し、両ソリューションを組み合わせることでより効率的な運用が可能になることをご提案いたします。
作業現場で必要なさまざまなサービスと連携
──両社の製品は建設業界のDXに貢献するサービスです。まずはL is B様のdirectの概要について教えてください。
L is B熊谷 directは文字のやり取りだけでなく、現場で撮影した写真や図面も共有できるフィールドワーカー向けビジネスチャットです。タスク管理やスケジュール共有、チャットボットによる日報・報告書作成など、現場に即した機能が評価されています。導入企業は5500社を超え、建設、インフラ、製造、金融などさまざまな現場で利用されています。
誰でも直感的に操作できる点が大きな特長で、特に協力会社が多く、人の入れ替わりが激しい建設業界で高いシェアを誇ります。大手ゼネコントップ20社すべてに導入されており、最近では企業ごとにカスタマイズしたアプリ開発を進めるなど、長期利用につながる仕組みを構築しています。
──シャープ様のスリーゼロの特長についても教えてください。
シャープ宇徳 スリーゼロはクラウド型のアルコールチェック管理サービスです。運転者はスマートフォンアプリと検知器で測定を行い、管理者はWeb画面で結果をリアルタイムに確認できます。顔写真と測定結果が自動で紐づくため、なりすまし防止や遠隔地での管理にも有効です。日報・月報も自動作成でき、管理業務の負担を大幅に軽減します。対応検知器は130機種以上で、メーカーや種類の異なる検知器が混在していても一元管理できる点が特長です。
──9月には両サービスの機能連携が発表されました。これにより何ができるようになるのですか。
シャープ宇徳 連携により、スリーゼロで計測したアルコールチェックの検査記録や車両情報、計測日時などがdirectのトークで受け取れるようになります。現場で多く使われるdirectに通知されるため、管理者は他の業務と並行しながら、運転者の本人確認や検査結果の把握を効率的に行えます。
L is B熊谷 directはこれまで図面共有や施工管理、帳票作成、気象情報配信など多様なサービスと連携し、現場情報を一元的に集約できる環境を築いてきました。今回のスリーゼロとの連携もその延長線上にあり、アルコールチェックをdirect上で行えるようにすることで、業務効率化や生産性向上につながると考えています。
directを現場コミュニケーションのハブに
──directが各社のソリューションと直接つながることで、“現場DX”が加速しそうですね。
L is B熊谷 建設現場ではさまざまなソリューションが導入されていますが、利用者や利用シーンが限定されるため定着しにくい面があります。DXの本質は単なるデジタル化ではなく、業務改革と円滑なコミュニケーションの実現です。建設業界で広く利用されているdirectをハブとして各社のサービスをつなげれば、日常的に使うチャット上で情報を一元管理でき、現場に根付くDXの推進につながるでしょう。
──それぞれのツールについて、将来の展望や今後の計画・目標などがあればお聞かせください。
L is B熊谷 当社はdirectを現場DXプラットフォームとして進化させる「現場AI × direct」構想を推進しています。10月には生成AIを搭載した「directアシスタント」のベータ版をリリースしました。これは、directに蓄積された膨大なやり取りをAIで解析し、知識や経験を体系化・共有する仕組みです。属人的だったナレッジやノウハウを現場全体で活用できるようにすることで、安全性や品質の確保とともに生産性向上を実現していきます。
シャープ宇徳 スリーゼロでは、まず今回の連携を確実にお客様に届けることを優先します。そのうえで、アルコールチェック管理にとどまらず、車両管理や安全運転管理など現場課題解決につながる領域への展開を考えています。自動化できる業務はAIでどんどん効率化し、人が注力すべき作業に時間を割ける環境を整えていきます。directとの連携もさらに強化し、現場業務の中心として利便性を高めたいと考えています。
アルコールチェック管理サービス「スリーゼロ」
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