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見積書の作成のマナーと会計ソフトを用いた会計・経理業務を効率化する方法を解説

2022.05.25
オフィスのミカタ編集部

取引を行う上で必要とされる見積書には、法律で定められた様式が存在しないため、初めて作成する場合には勝手に戸惑ってしまうこともあるだろう。本記事では、見積書を作成する上で必要なマナーと、会計ソフトを用いた効率化の方法について解説する。

見積書の目的は仕事の受発注を明確にする「証憑」

見積書は契約前に取引の内容を記録しておくことで、受注発注双方で認識の齟齬がないよう明確にするための証憑として用いる。

ただし、見積書がなくても口頭やメール等で取引を行うことは可能であるため、見積書の作成は法律で義務付けられていない。しかし、作成した場合には証憑書類として7年間の保管義務が発生するため注意が必要である。

見積書作成時に記入しておきたい項目

見積書には法律で定められた様式やフォーマットが存在しない。しかし、一般的に記入しておきたい項目としては下記の11点が挙げられる。ここではそれぞれの項目について詳しく解説する。

1:宛先
2:見積書番号と日付
3:発行者
4:表題・テーマ
5:見積金額
6:品名・提供サービス名
7:数量・単価・金額
8:小計
9:消費税
10:合計金額
11:備考欄

1:宛先
宛先部にはクライアントの企業の所在地(住所など)、企業名、担当者名を記入する。場合によっては担当部署名なども併せて記入しておくと丁寧だろう。

2:見積書番号と日付
見積書番号とは見積書を管理するための番号である。必須ではないが、自社で見積書を多く発行するような場合には付与しておくと良い。日付には見積書を発行した日付を入力する。こちらも管理に使用する項目だが、クライアントとの確認のために必要になることもあるため忘れずに記入しておこう。

3:発行者
クライアントがどこから、誰からの見積書なのか一目で分かるように、発行者の企業名と所在地、担当者名、電話番号を記入する。

4:表題・テーマ
中央上部には表題・テーマとして「お見積書」と記入する。

5:見積金額
見積金額には下部の総額部分と同じ金額を記入する。

6:品名・提供サービス名
品名・提供サービス名には納品する商品やサービス名を記入する。

7:数量・単価・金額
納品する商品ごとに、数量・単価・金額を記入する。このとき、税抜の金額を記入するので注意しよう。

8:小計
小計部分にはそれぞれの項目の金額(税抜)を合計した金額を記入する。

9:消費税
消費税部分には、小計に対して発生する消費税額を記入する。

10:合計金額
合計金額部分には、小計と消費税額を合計した金額を記入する。この数値は「見積金額」の数値と同じになっているかどうかチェックしよう。

11:備考欄
備考欄には支払い方法の指定や振り込み手数料をどちらが負担するのかなどの確認事項を記入する。また、振込先の銀行名や支店名、口座番号、銀行口座名を記入することも多いため覚えておこう。

口頭発注でも契約として成立はするがトラブル防止のため書面に

見積書を作成せず口頭だけで発注しても契約として成立はするが、言った言わないなどのトラブルになってしまう可能性がある。そのため、リスク回避のためにも発注内容については契約書や見積書などの書面で残しておくようにすることが重要である。

見積書を作成する際の注意点

見積書を作成する際には、下記5つの点に注意しよう。

納期や納期設定の条件について記載する
見積書に納期を記載しておくことで、クライアントが取引先を選ぶ際の判断基準を設けることができる。
クライアントの中には納期を優先して取引先を選択するケースがあるが、自社として無理のない納期を設定するよう心がけておくと良いだろう。

相見積もりの内容を確認して内容を反映する
多くのクライアントは複数社から相見積もりを取ることで最適な取引先を選択する。そのため、相見積もりを確認し金額や納期などクライアントのニーズを把握した上で、それを踏まえた内容の見積書を作成しよう。

見積もりに関する問い合わせ先を記載する
見積書に担当者の氏名やメールアドレス、電話番号などの問い合わせ先を記載しておくことで、相手が気軽に疑問点などを確認できるようになるため不安払拭に繋がるだろう。

見積書の有効期限の設定も忘れずに記載する
見積書の有効期限には、期限までの契約を促す効果があるため忘れずに記載しておこう。記載方法の例としては「本見積提出後2週間」のように提出日から起算する方法や、「〇〇年◯月◯日」と直接日程を設定するパターンがある。

支払い期限と支払い方法を必ず明記する
支払い期限と支払い方法が曖昧な状態では、後にトラブルに発展する可能性があるため必ず明記するようにしよう。特に分割での支払いがある場合や振り込み手数料の負担など、複雑な条件は文面に残しておくことで随時確認が取れるというメリットがある。

見積書に押印は必要か?どの社判、個人印鑑を押す?

見積書に押印は義務付けられていない。ただし、押印をすることで見積書を会社として正式なものであるとし、信用性を高めることができるため押印をするケースが一般的だ。

見積書で使用する印鑑は社判である角印と、担当者の認印を押印することが多い。また、取引先によっては実印を使用することもあるため覚えておこう。

見積書をofficeソフトの活用で無料にて作成する方法

見積書はofficeソフトを活用することで、テンプレートを用いて手軽に無料で作成することが可能だ。ここでは2パターンの作成方法について解説する。

ExcelやWordをなどのofficeソフトのテンプレートから作成
ExcelやWordなどのofficeソフトには様々なテンプレートが用意されている。Excelの見積書テンプレートにはあらかじめセルに数式が入力されているので、該当欄に記入するだけで作成することが可能だ。

Webから無料の見積書テンプレートをダウンロードして作成
Web上では多種多様なデザイン及び様式の見積書テンプレートを公開しているサイトが多いため、目的に沿ったものを選びダウンロードすることで作成が可能である。

見積書は法人であれば原則7年の保管が必要

見積書を作成した場合には、証憑書類として保管の義務が発生する。法人の場合は原則7年の保管が必要で、見積書発行日ではなく次の確定申告期限の翌日から7年のため注意しよう。ただし、例外として赤字決算の場合には10年の保管が必要になることも併せて覚えておこう。

対して個人事業主の場合は通常5年の保管が必要だが、消費税の課税対象事業者になると法人同様に7年の保管が必要だ。

このように、見積書は長期間の保管が必要になる。そのほかにも請求書などの書類も同様に保管が必要になるので、電子化してデータ保存しておくほうが良いだろう。ただし、電子化する場合には電子帳簿保存法の必要項目を満たす必要があるため、下記記事を参考にしてほしい。
2022年1月に改正される電子帳簿保存法とは?概要と改正内容のポイント

見積書作成から受発注管理・経理業務を効率化できるおすすめ会計ソフト

ここでは、見積書作成から受発注管理・経理業務を効率化できるおすすめの会計ソフトを5つ紹介する。

マネーフォワード クラウド請求書
「マネーフォワード クラウド請求書」は、見積書・納品書・請求書・領収書をテンプレートで簡単に作成できるクラウドサービスだ。毎月自動で定期発行も可能なので、発行漏れを防ぐことができるなど、さまざまな機能が設けられている。また、クラウド会計と連携することで、自動で仕訳計上が完了できる。
https://biz.moneyforward.com/invoice/

会計freee 受発注管理
「会計freee 受発注管理」は個人事業主・法人にかかわらず無料で利用でき、見積依頼から発注承認までを一元管理できる。さらに両者合意のもとであれば支払通知書を自動送信できるので請求業務を省略可能。スマホにも対応しているので、外出時に確認できるのも利点の一つだ。
https://www.freee.co.jp/deals/

弥生会計Misoca
「弥生会計Misoca」は最短一分で見積書・納品書・請求書を作成できる。カスタマーサポートやセキュリティ機能が充実しており、弥生会計など対象のサービスと連携できるためミスの削減にも繋がるだろう。
https://www.yayoi-kk.co.jp/products/misoca/index.html

MakeLeaps
「MakeLeaps」は見積書作成から請求書までクラウド上で作成し相手に共有できる。請求日から入金日まで可視化しているため一目でステータスが把握でき、書類は全てクラウド上で管理可能だ。
https://www.makeleaps.jp/

BtoBプラットフォーム 請求書
「BtoBプラットフォーム 請求書」は国内シェアNo.1(※2021年6月現在 東京商工リサーチ調べ)のクラウド請求書サービスだ。請求書の受取・発行どちらもデジタル化できるほか、多くの会計システム・販売管理システムと連携できるという利点があり、利用企業社数は70万社を超えている。
https://www.infomart.co.jp/seikyu/

見積書だけでなく、さまざまな契約書の管理ができるシステムを以下の記事で紹介している。
契約書管理システムおすすめ11選。種類や選び方のポイントを解説!

まとめ

見積書の作成は一度フォーマットを決めてしまえばそこまで難しいものではない。ただし、書類での保管は管理が困難になるケースが多いため、会計ソフトを導入してペーパーレス化をオススメしたい。中には他のソフトと連携することで見積書の作成だけでなく、発注から納品までに関わる書類を一元管理できるものもあるので、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。