今こそ「人」から始める 経理DXのためのアウトソーシング
経理のデジタル化、業務の属人化解消、月次締めで続く残業の削減。そうした課題の解決策として注目されるのが経理のアウトソーシングだ。中でもあらゆる経理業務をオンラインで代行するサービスを展開するメリービズ株式会社はコロナ禍で契約が増えているという。その背景や実態について代表取締役社長の山室佑太郎氏に話を伺った。
つまずく経理DX、技術の進化に追い付かないという課題
―経理の人材に関する悩みや課題について企業からどんな声が聞かれますか。
人材が採用できない、残業が多い、派遣社員や契約社員が定着しない。そうした人手不足と忙しさに加えて、マネジメントやエンゲージメント(働きがい)の大変さを口にされる方が多いです。経理社員の社内でのキャリア形成の難しさや、派遣社員や契約社員への指導やコミュニケーションに結構な労力がいるとの悩みですね。また、経理は同じ社員が長く担当することも多く、属人化しやすい領域です。属人化自体は一概に悪いことではありませんが、その人にしか分からない状態、いわゆるブラックボックス化を招きかねない。それもよく聞く経理の課題ですね。
―中途採用は難しい状況にあるのでしょうか。
経理をはじめとするバックオフィス領域では、社内で活躍している人の中には、その会社でしっかりと働いていきたいと考える方も多いように感じます。なので、優秀な経理人材の流動性が高くなく、中途採用は難しい状況にあると思います。
―企業におけるDXや経理業務のデジタル化が話題ですが、実情をどうみていますか。
クラウド会計などの良いツールやサービスが増えたことは、生産性を高める良い流れだと思います。問題はそれらをうまく活用できているかどうか。DXの流れでシステムを導入したものの、使いこなせず従来の方が早く処理できたとか、全ての業務を移行できず、以前の会計ソフトと二重管理しているなどの声も聞きます。技術の進化に人の経験・スキルが追い付かないために起きる問題かと思います。それを解決するには専門性の高い人材が必要ですが、自社で育てるには時間もコストも必要。そこで、課題解決のための選択肢の一つとして、当社では経理のプロによるアウトソーシングサービスを提供しています。
全国の経理経験豊富な人材がリモートで業務をサポート
―そのサービス内容を教えていただけますか。
オンライン経理アウトソーシングの「バーチャル経理アシスタント」です。経費精算、帳票・仕訳入力、請求書発行、月次決算などの業務を、全国に約1100名いる経理経験豊富なリモートスタッフが、顧客ごとに2名以上の専属チームを組んで進めます。また、サービス導入時には業務設計も行います。一例を挙げると、経費精算ならば、申請→上長の承認→経理チェック→勘定科目での仕訳といった業務プロセスを「見える化」しながら、基準があいまいな箇所のマニュアル化や、プロセスが複雑すぎる部分の効率化などを行い、弊社のリモート経理スタッフが滞りなく業務できる状況をつくります。
―1100名もの経理人材がスタッフとして登録しているのですか。
この数も今の世の中を現しているのかもしれません。経理のスキルがあること、を共通項に、幅広く多様な働き方のスタッフさんにご登録いただいています。育児や介護などと両立するため自由度が高く働きやすい環境を必要としている方、経理フリーランスとしてさまざまな企業で活躍している方、本業で活躍しながら副業としてスキルを生かしている方、本当にさまざまです。
―どのような企業から依頼がありますか。
2017年のサービスリリース当初は、スタートアップ・ベンチャー企業、業務改革やDXに積極的な中小企業のお客様が多くいらっしゃいました。現在もそのようなフェーズ、課題感をお持ちの企業からの依頼は多いですが、コロナ禍を契機に、大企業や中堅企業からの依頼も増えていますね。新型コロナウイルス感染拡大によりリモート化やDXを余儀なくされる中で、それまでは社内規定などの制限があり検討の俎上に載せにくかったアウトソーシングやクラウドツールといった選択肢を模索できるようになったのかもしれません。