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備品購入の計上時に使用する「消耗品」「備品」とは?違いや会計処理方法を解説

2022.04.22
オフィスのミカタ編集部

備品購入をした際、どの勘定科目で仕訳すればよいのか悩む経理担当者も多いのではないだろうか。会計処理を正確に行うためには、混同されやすい勘定科目である「消耗品費」と「備品」の違いを理解しておく必要があるだろう。本記事では、経理担当者が押さえるべき消耗品と備品の意味、双方の違いや会計処理方法などを解説していく。

目次

●備品購入時に押さえるべき「消耗品」「備品」の意味や違いとは?
●消耗品と備品の会計処理方法
●30万円未満の備品代等を経費計上できる「少額減価償却資産」とは
●まとめ

備品購入時に押さえるべき「消耗品」「備品」の意味や違いとは?

業務で使用する備品を購入した際、どのように会計処理をすればよいのか判断基準が知りたい経理担当者もいるだろう。まずは、「消耗品」と「備品」の定義や違いなど概要について整理していこう。

消耗品の定義
国税庁では、消耗品費を次のように定義している。

・帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
・使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費

消耗品は、業務で使用する備品の中でも消費サイクルが短く、比較的金額が安いものを指す。以下のようなものが消耗品に該当する。

【消耗品の例】
事務用品:文房具・封筒・コピー用紙・印鑑など
日用品:ティッシュペーパー・タオル・掃除用具・電球など
機器・什器:机・椅子・黒板・電話・パソコン・カメラなど
その他:ガソリン・観葉植物・切手など

例えばパソコンの場合、使用期間が1年以上のケースでも取得価額が10万円未満の場合は、消耗品として計上できる。取得価額が10万円未満か否かについては、会社が物品を税抜きで計算しているのか税込みで計算しているのかで異なる。取得価額の計算方法は、会社ごとに異なる点を把握しておこう。

参考:国税庁『確定申告書等作成コーナーよくある質問 消耗品費』

備品の定義
備品とは、上記で述べた消耗品に該当しない「使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上」の物品のことを指す。

【備品の例】
備品:家具・家電用品・OA機器など

消耗品と備品の違い
消耗品と備品の違いは、物品の取得価額と耐用年数だ。消耗品が比較的使用期間の短い少額のものを指すのに対し、備品は一定期間使用できるある程度金額のかかるものを指す。また、物品を消耗品費として計上した場合は「経費」、備品として計上した場合は「資産」となることも理解しておこう。

消耗品費と混同されやすい「事務用品費」「雑費」とは
消耗品費と混同されやすい科目に「事務用品」と「雑費」があるが、この2つについても理解しておきたい。

企業によっては「消耗品費」とは別に、「事務用品費」を設けている企業もある。なぜなら、文房具など事務関連の購入費用を把握しやすくするためだ。少額で使用頻度が低いなど一時的な費用を会計処理する場合は、消耗品を「雑費」として計上するケースもある。備品は内訳を書く必要がないことから会計作業の手間が軽減されるため、消耗品を雑費として計上している企業も少なくない。

消耗品と備品の会計処理方法

ここからは、消耗品と備品の会計処理方法について詳しく見ていきたい。

消耗品で計上する場合
消耗品を仕訳する場合、2つの計上方法がある。購入時に「費用」計上して決算時に「資産」計上する方法と、購入時に「資産」計上して決算時に「費用」計上する方法だ。ここからは、双方の仕訳例を紹介しよう。

【消耗品の仕訳例】

・購入時に「費用」計上し、決算時に未使用分を「資産」計上する場合

物品購入時に経費として計上する場合、勘定科目は「消耗品費」となる。未使用分については、決算時に「貯蔵品」に振替え、資産として計上する。

・購入時に「資産」計上し、決算時に使用分を「費用」へ振替計上する場合

物品購入時に資産として計上する場合、勘定科目は「貯蔵品」となる。決算時は、使用した分について「消耗品費」に振替え、経費として計上する。

備品として計上する場合
備品は、先述したように固定資産となるため、耐用年数に応じて減価償却を行うのが一般的だ。ただし、取得価額など要件に合えば、「一括償却資産」「少額減価償却資産」の特例が適用される。

また、備品は、「会計」と「税務」で計上方法が異なる点にも注意したい。会計は、決算書・財務諸表といった会計書類を作成し、企業の当期収益や費用を計算することを目的としている。それに対し税務は、法人税の申告書を作成し、企業が納めるべき税金を計算することが目的となる。会計と税務双方の計上方法の違いをしっかり把握していない場合、税務での処理にミスが生じ、申告書提出後に「延滞税」や「過少申告加算税」が課せられるリスクもある。そのため多くの企業では、備品の計上方法を税務に統一している。ここでは、一般的な備品の仕訳例を解説していく。

【備品の仕訳例】

・購入時に「資産」計上する場合
購入時に資産として計上するケースでは、決算時にその年の経費となる金額を「減価償却費」という費用に振り替える。処理方法は「直接法」と「間接法」の2パターンある。それぞれの会計処理方法は以下の通りだ。

直接法では、減価償却費を固定資産から直接差し引く。固定資産の価値が減っていくのを把握しやすい仕訳方法だ。間接法では、固定資産を直接減額するのではなく、「減価償却累計額」という勘定科目を使用する。毎期の減価償却費を累積していく仕訳方法だ。間接法の場合、購入した当初の固定資産総額や決算時点の減価償却費の累計額が分かる点が特徴。減価償却累計額は、資産勘定でありながらもマイナスをあらわす特殊な勘定科目である。

・「一括償却資産」計上する場合
備品のうち10万円以上20万円未満までの物品は、耐用年数に関係なく3年間で均等に償却ができる「一括償却資産」として計上できる。例えば、150,000円の備品の耐用年数が5年だった場合、減価償却費として本来計上できる額は取得価額の5分の1である30,000円だが、一括償却資産の特例を使えば、取得価額の3分の1である50,000円で計上可能だ。具体例は次の通り。

一括償却資産として計上すれば経費計上できる額が増えるため、その分の節税ができるというメリットが生まれる。

30万円未満の備品代等を経費計上できる「少額減価償却資産」とは

青色申告法人であり従業員数が1,000人以下など一定要件に該当する中小企業の場合、「少額減価償却資産」の特例が適用される。この特例を使えば、備品の取得価額30万円未満までを全額償却し、消耗品費として経費計上することが可能だ。ただし、全額償却できるのは年間300万円までと上限が定められている点に注意しよう。

まとめ

消耗品と備品は、物品の取得価額と耐用年数に違いがある。消耗品費は「経費」、備品は「資産」となるため、仕訳方法も異なる。備品は、一括償却資産や少額変化償却資産の特例を受けられるケースもある。バックオフィス業務を効率化するためにも、勘定科目ごとの意味や違い、ケースごとの会計処理方法について、しっかりと理解しておこう。