ビジネスで応用できる手紙の書き方 使用用途や基本構成を紹介~オフィスのお役立ちコンテンツ

メールでのやり取りが主流になった今、「手紙」は特別なことのように思えるが、個人的なお付き合いはもちろん、ビジネスにおいて、感謝を伝える、謝罪する、お知らせする場合に最も丁寧な方法が手紙だ。社会人として手紙の書き方の基本は身につけておきたい。今回はビジネスで応用できる手紙の書き方について紹介する。
封書とはがきで使う用途を分ける
「手紙は苦手で……」という人は多いだろう。しかし、基本を身につけると用途ごとに書き分けることは難しくない。大切な用件ほどメールだけではなく手紙を送ることで相手に伝えたいことがしっかり届き、信頼度も高まるもの。まず覚えたいのは、用途によって手紙のアイテムを使い分けることだ。
●封書
お礼やお詫び、格式を重んじる場合、目上の人へ送る場合は、便箋にしたため封筒に入れて送るのがマナー。
・目上の人へ送る場合
・結婚や出産などのお祝い
・頼みごとのお礼
・病気、事故、災害などのお見舞い
・催促、お詫び、頼みごと、相談ごと、断り
・お悔み、弔事
ビジネスシーンや特に改まった事柄の場合は、白地の便箋に書くことがマナー。文章は縦書きが基本だが、カタカナや数字、アルファベットなどが多いビジネスシーンでは、読みやすさを考慮して横書きにしたほうが良い場合も多いので臨機応変に対応していきたい。
●はがき
封書の略式として使われる。封筒に入っていないため、差出人以外にも内容が分かってしまうことがあるので、重要な事柄の場合には用いない。身内や友人などとのやりとり、簡単な用件を伝えたいときに適している。
・親しい人へ送る場合
・節句や記念日などの一般的な祝いごと
・贈答などの送り状、お礼
・年賀状、暑中お見舞いなど季節のあいさつ
・転居、結婚、退職、異動などのお知らせ、近況報告
・喪中欠礼、死亡通知
・招待状、案内状
●一筆箋
書類や請求書の送付、商品を送る際の添え状として適している。縦書きのものが基本だが、同封する書類等に合わせて縦書き、横書きをそろえると読みやすい 。

送る相手への心遣いを表す便箋の枚数
封書で送る場合、相手への心配りとして、内容によって便箋の枚数を調整することが大切。弔事の手紙の場合は、“重なる”ことを嫌うため、「不幸が重ならないように」という意味を込めて一枚の便箋におさめるのがマナーだ。これに対して通常の手紙の場合は、用件が一枚におさまる時は白紙の便箋を重ねて二枚にして封筒に入れて送ることが心配りとされている。
なぜ白紙の便箋を重ねて二枚にするのかはいくつか由来がある。昔は果たし状や離縁状など縁起の悪い事柄の場合に一枚の書状を送ったことから、一枚だと縁起が悪いとされた。また、一枚の便箋だと裏側が透けやすく、他人にも内容がわかってしまう理由から白紙の便箋を下に重ねて透けにくくしたなどがある。どちらにしても相手への心遣いを大切にしているからだ。ビジネスシーンでもぜひ活かしたい。
手紙は4つの構成で作ると完成する
相手に伝えたいことをわかりやすくまとめるには、基本構成を覚えるとスムーズだ。ポイントは4つ。
1. 前文―主題に入る前の書き出し部分
2. 主文―用件となる部分
3. 末文―最後のあいさつ
4. 後付―日付、署名、宛名、脇付
1. 前文
「拝啓」「謹啓」「前略」などの頭語、続いて「初春の候」「残暑の候」「厳しい残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか」などの時候の挨拶、相手の安否を尋ねる言葉、健康を喜ぶ言葉、お世話になったことへのお礼、自分の状況を伝える言葉を入れる。
※字下げをせずに頭語を書き、次に一字空けて、句読点を打たずに時候のあいさつを続ける
2. 主文
「このたび」「さて」「先日お話しいたしました○○の件につきまして」などの書き起こしの言葉の後に、本題を続ける。
※前文から改行して、一字下げて書き始める
3. 末文
本題をまとめる言葉、相手の健康、幸せ、活躍などを祈る言葉、今後のお願いの言葉を続ける。最後に、「敬具」「敬白」「草々」などの結語で結ぶ。
※主文から改行して、一字下げて書き始める。結語は改行して行末から一字分下げて書く
4. 後付
日付、署名、宛名、脇付(「机下」などの言葉。一般的な手紙の場合は省略されることが多い)の順番に書く。脇付は特に改まった手紙の場合に、宛名の脇に添える。
頭語と結語は組み合わせが決まっている。よく使われる言葉は以下の通り。
・一般的な手紙の場合は、「拝啓」「敬具」
・改まった手紙の場合は、「謹啓」「敬白」
・緊急の用件の場合は、「急啓」「草々」
・前文を省略した手紙の場合は、「前略」「草々」
・一般的な返信の手紙の場合は、「拝復」「敬具」
※昔から女性がよく用いる言葉として「一筆申し上げます」「かしこ」がある。
●例文

「手紙」は、メールとは違う味わいがあるもの。タイムパフォーマンスにこだわる昨今のビジネスシーンだからこそ、あらためて封書で郵送することで、誠意が伝わりやすく信頼関係もより深まるのではないだろうか。社会人のマナーとして、手紙の基本は身につけたい。