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管理業務を“丸投げ”できるDX「BPaaS」が中小企業の救世主に

2025.12.26
オフィスのミカタ編集部
株式会社kubellパートナー 代表取締役 岡田亮一氏

少子高齢化による人手不足が深刻化する日本において、中小企業の生産性向上は待ったなしの課題だ。しかし、現場では「IT人材がいない」「何から手をつければいいかわからない」という壁に阻まれ、DX(デジタルトランスフォーメーション)が遅々として進まない。

大企業との格差が広がる中、中小企業が取るべき戦略とは何か。

いま、単なるツール導入(SaaS)や従来のアウトソーシング(BPO)を超え、「IT活用」と「実務」をセットで解決する新概念「BPaaS(ビーパース)」が注目されている。本稿では、労働人口の約7割を支える中小企業の未来を拓く、バックオフィス部門必見の解決策をレポートする。

なぜ、中小企業の生産性は低いままなのか…「IT担当者不在」の深刻な現実

人材不足と採用難が常態化する中小企業において、最大のボトルネックは「IT・システムの専任者がいない」ことだ。

株式会社kubellが中小企業を対象に実施した調査でも、その実態は浮き彫りになっている。「社内にも、社外・兼務を含めてもシステム担当者はいない」と回答した企業は、全体で27.5%。従業員数10~29人の企業に限れば48.2%、30~49人の企業でも29.8%に達する。

大企業では当たり前の生成AIやSaaS(Software as a Service)BPO(Business Process Outsourcing)も、導入・運用できる旗振り役がいなければ定着しない。結果として、受発注や情報管理の多くで、口頭・電話・FAX・紙といったアナログなルーティンが温存されてしまう。

多くの企業が「人材不足」「ITリテラシー不足」「アナログ業務の残存」という課題を認識している。それにもかかわらずデジタル化が進まない背景には、「中小企業にフィットするサービスが少ない」という構造的な問題がある。

コストが高すぎる、導入プロセスが複雑すぎる、サポートが手薄……。これでは、管理部門が「生産性向上」を目指しても、具体的な解決手段を選べないのも無理はない。

この膠着状態を一気通貫で解消する切り札として登場したのが、「BPaaS(Business Process as a Service)」である。

業務プロセスの「DX化」と「代行」を両立するBPaaS

業務プロセスの「DX化」と「代行」を両立するBPaaS

BPaaSとは、一言でいえば「クラウドサービス経由で、業務プロセスそのものをアウトソーシング(BPO)する」サービスだ。

中小企業のDX推進・生産性向上に取り組むkubellグループにおいて、BPaaS事業の中核を担う株式会社kubellパートナー 代表取締役の岡田亮一氏は、その革新性をこう語る。

「クラウドの進化に伴う次の潮流として、『業務のレイヤー化』が世界的に注目されており、日本でも2024年から急速に認知され始めました。その中心にあるのがBPaaSです。最大のメリットは、DX(生産性向上)と管理コスト低減の両立にあります」(岡田氏)

従来、DX人材や業務オペレーションまで含めて管理を任せるBPOは、リソース豊富な大企業向けが主流であり、コストも高額だった。一方で安価なSaaSは、自社でツールを選定し、全従業員に定着させる「自走力」が求められるため、中小企業にはハードルが高い。

この大企業向けBPOと、自力運用のSaaSの間にある取り残された領域(ホワイトスペース)を埋めるのが、中小企業向け領域のBPaaSだ。

「これまでの『システム領域』では、スクラッチ開発からSaaSへの進化が進みました。しかし『オペレーション領域』では、業務管理や指示出しの負荷が高いクラウドソーシングなどが中心で、中小企業には活用が難しい課題が残っていました。 私たちは、この未開拓の領域こそ、BPaaSが真価を発揮する場所だと考えています。SaaSは『自社で使う』ものですが、BPaaSは『業務そのものを依頼する』だけで、社内にDX人材がいなくてもDXが実現するからです」(岡田氏)

つまり、ツールを使いこなすのが難しいなら、プロが最適なSaaSを使って業務を代行・推進すればいい──これがBPaaSの答えである。

チャットで依頼するだけで実現する「ヒト×AI」の新しい業務体験

kubellが提供するBPaaSには、他社にはない圧倒的な優位性がある。それは、国内利用者数No.1(※)のビジネスチャット「Chatwork」を基盤にしている点だ。

「ユーザーは、普段使い慣れているChatworkのチャット画面から、話しかけるように業務を依頼できます。その裏側では、専任サポートチーム、AIエージェント、SaaS連携などを最適に組み合わせて実行し、完了すれば結果をチャットで返却します」(岡田氏)

例えば、管理部門の増員ができず請求業務が滞っていたある運輸会社では、同社のサービスを導入。短期間で業務改善とスタッフへの浸透を完結させ、現在ではバックオフィス業務全般へと適用範囲を拡大している。「可視化」と「アシスト」への信頼が生まれ、安心して任せられるようになった好例だ。

(※)Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2024年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む41サービスを株式会社kubellにて選定

チャットは今や単なる連絡ツールではなく、「ヒトとAIが協働するインターフェース」へと進化している。

kubellのBPaaSは、オンラインアシスタントサービス「タクシタ」(非専門領域)と、BPOサービス「MINAGINE」(人事労務領域)の両輪で展開される。これらは、リソース不足に悩む中小企業のDXを、総合的かつ高効率に支援する強力なプラットフォームとなるだろう。

DXの進め方に迷う管理部門にとって、まずは「チャットで相談・依頼する」ことから始まるBPaaSは、最も現実的かつ効果的な一手となるはずだ。