「第3の賃上げアクション2026」発表会レポート 3年目の「第3の賃上げ」が示す実質的な手取り向上
物価高が続き、賃上げのニュースが連日紙面をにぎわせる一方で、「生活が楽にならない」という声は後を絶たない。そんな中、企業の間で静かに広がっているのが、福利厚生を活用して実質手取りを増やす「第3の賃上げ」だ。2024年2月にスタートしたこのアクションは、今年で3年目。2月12日に開催された「第3の賃上げアクション2026」発表会では、エデンレッドジャパンを中心に賛同企業や導入企業が登壇し、制度の進化と2026年の展望が語られた。
【進化の軌跡】3年目を迎えた「第3の賃上げ」の現在
「第1」の賃上げが定期昇給、「第2」がべースアップであるとしたら……。エデンレッドジャパンが提唱する「第3の賃上げ」は、福利厚生を活用した実質的な賃上げだ。食事補助や子育て支援といった福利厚生で従業員の負担を軽減し、企業側は税負担が軽減されるというメリットがある。説明会の冒頭では、株式会社エデンレッドジャパンの代表取締役社長・天野総太郎氏がこれまでの展開について語った。
2024年の立ち上げ当初、賛同企業はわずか20社。そこから3年で認知度は37.4%に到達し、メディア露出は前年比5倍、エデンレッドジャパンが展開する福利厚生サービス「チケットレストラン」の新規契約数は2021年比で約13倍に伸びた。
背景には、物価高による実質賃金の目減りがある。食料品、光熱費、家賃が軒並み上昇し、名目賃金が上がっても生活実感は改善しない。企業側もエネルギー・人件費・為替の影響で収益が圧迫されている状況だ。
こうしたなか、「第3の賃上げ」は単なる福利厚生ではなく、生活防衛と経営戦略を両立する新しい賃上げの選択肢として知名度が高まりつつある。天野社長は「物価高の中で、実質手取りと生活の豊かさを守ることが2026年のテーマです。額面の賃上げだけでは届かない部分を福利厚生で補完し、これを日本の新しいスタンダードにしていきます」と語った。
【エデンレッドジャパン】42年ぶりの制度改正と「食事補助の見える化」
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国25万店舗以上で使える食の福利厚生サービスだ。ICカード1枚でコンビニや飲食店を社員食堂のように利用でき、企業が食事補助として半額分を負担する。導入企業は4000社超、利用者は30万人を超える。
説明会では、2026年度中に食事補助の非課税枠が月額3500円から7500円へ引き上げられるというニュースが取り上げられた。これは実に42年ぶりの改定で、天野社長は「第3の賃上げが制度の壁を動かした。これは国家レベルの経済政策としての役割を担い始めている」と、これが偶然ではないことを強調した。
非課税枠が2.1倍になることで、従業員は年間最大9万円の非課税メリットを受けられる。現金で9万円を支給した場合の手取りは約5.7万円にとどまるため、食事補助の方が実感値として圧倒的に高い。
さらに2026年は、デジタル面でも進化が期待される。4月以降、専用アプリにAI-OCR機能が搭載され、レシートを撮影するだけで購入内容を自動判定する。管理者側にもアラートが届く仕組みで、透明性が飛躍的に向上するという。
【新参画:リゾートワークス】あえて福利厚生で「旅」を支援する理由
会場では今年から「第3の賃上げアクション」に賛同しているリゾートワークスの代表取締役・柳田将司氏が登壇し、展開している旅行特化型の福利厚生を紹介した。ホテルの空室を事前に買い上げる独自モデルにより、全国350箇所の宿泊施設が最大80%割引になり、二親等以内の親族まで利用可能と適用範囲が広い。また、社員旅行や合宿の予約手配も代行している。
企業側のメリットとして出張や社員旅行の費用削減効果が大きく、リゾートワークスはサービス開始から3年半で1000社以上に導入されている。
「旅行はどの世代にとっても生活の満足度を高める大切な体験です。物価高で行きづらくなっている今こそ、企業が福利厚生として『旅』を支援する価値があると考えています」と柳田氏。採用難が続く中小企業にとって、旅を支援する福利厚生は、他社と差別化できる強力な武器になり得る。
【まとめ】賃上げ疲れを打破し、持続可能な経営へ
エデンレッドジャパンの天野社長が示した2026年の具体的なアクションは、以下の2つだ。
・導入応援キャンペーン
賛同3社のサービスを期間限定で無料または半額にする。物価高の今、企業にとってはわずかな追加コストでも導入のハードルになるため、一歩踏み出しやすい環境を整える。
・地域グロースアクション
北海道・仙台・福岡で地域限定キャンペーンを行う。昨年は名古屋と大阪で地域限定キャンペーンを実施し、地域団体や地方銀行との連携に発展し、自治体や地元企業から大きな反響を得た。
物価高が続く中、企業は「賃上げしなければ採用できない」という現実に直面している。しかし、現金給与だけで従業員の生活を支えるのは、もはや限界が見え始めている。最近では、経営体力のない中小企業を中心に「賃上げ疲れ」が顕在化し、3社に1社が投資を抑制しているという。
天野社長は「投資を抑える企業が増えることは、将来の成長を妨げ、収益悪化や人材流出、最悪の場合は賃上げ倒産につながりかねません」と警鐘を鳴らし、「だからこそ今、日本に必要なのは、従業員が生活向上を実感し、企業が持続的に賃上げを続けられる新たな選択肢としての『第3の賃上げ』です。企業が従業員の生活に歩み寄ることで安心感と信頼が生まれ、離職率が下がり、戦略的な投資が可能になる。この好循環こそが、事業の安定成長につながると確信しています」と強調した。
【トークセッション・レポート】
発表会の後半では、導入企業3社が登壇し、福利厚生の活用状況や効果について語った。セッションでは、給与と福利厚生の「受け止められ方」の違いが話題に。数千円の賃上げは実感が持ちにくい一方、食事や宿泊など具体的な支援は、会社からのサポートとして認識されやすいという。
また、格安の宿泊プランをきっかけに旅行の計画を立てるなど、制度が社員の行動を後押ししている事例も紹介された。
物価高が続くなか、福利厚生が社員の満足度向上やエンゲージメントの強化につながっている点が共有されるセッションとなった。










