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新たな賃上げの一手に freeeとエデンレッドジャパンが第3の賃上げアクションの立ち上げへ

2024.02.08
オフィスのミカタ編集部

福利厚生の食事補助サービス「チケットレストラン」を展開する株式会社エデンレッドジャパン、借上げ社宅の導入を効率的に行えるクラウドサービス「freee福利厚生」を展開するフリー株式会社は、 “実質手取りを増やす”ことができる福利厚生サービスの活用を通してより働きやすく、高いエンゲージメントで社員と繋がる企業が社会に広がることを目指す「 # 第3の賃上げアクション」を2024年2月6日に立ち上げた。
オフィスのミカタでは、第3の賃上げアクションに関するメリットや効果について紹介していく。

未曾有の採用難に、実質賃金は20カ月連続でマイナス

労働人口の減少、雇用形態の変化による人材不足やコロナ禍によるエンゲージメントの低下、円安による原材料費の高騰など企業が直面する経営課題は後を立たない。賃上げに関して、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると実質賃金の前年比は23年12月時点で21カ月連続でマイナスとなっている(※1)。これを受けて政府は昨年を上回る賃上の水準を要請するなど、賃上げは人材確保のためにも喫緊の課題となっている。

出典元:東京商工リサーチ

しかし、東京商工リサーチの調査によれば2024年の賃上げについて「値上げ幅が2023年を超えそうだ」と回答した企業はわずか1割。そもそも賃上げできそうにない中小企業は、大企業の約2倍となっており厳しい現状がうかがえる(※2)。

※1出典元:毎月勤労統計調査 令和5年12月分結果速報(厚生労働省)
※2出典元:来春の賃上げ 「2023年超え」は 1割にとどまる 原資の確保には 「価格転嫁」「人材開発」を重視(東京商工リサーチ)

第3の賃上げとは?

賃上げが厳しい現状に、フリー株式会社(以下、フリー)と株式会社エデンレッドジャパン(以下、エデンレッドジャパン)は、新たな賃上げの方法として「第3の賃上げ」アクションを立ち上げた。第3の賃上げを含む賃上げの定義は下記の通り。

第1の賃上げ
勤続年数、年齢、従業員の成績など企業が定めた基準で行われる定期昇給。

第2の賃上げ
基本給が引き上げられるベースアップ

第3の賃上げ
実質手取りを増やすことができる、福利厚生サービスを活用した賃上げ

フリーとエデンレッドジャパンが提案した第3の賃上げは、一定の要件を満たせば、福利厚生費用を経費として計上できるため、年間利益で見ると企業側は節税効果が得られる。また従業員にとっても福利厚生分は所得税が非課税となるため、実質手取りが増える仕組みだ。

出典元:賃上げ実態調査2024(「#第3の賃上げアクション」プロジェクト)

福利厚生による賃上げについて「#第3の賃上げアクション」プロジェクトによれば、約50%が存在を知らなかったと回答しているという。この結果から、フリーとエデンレッドジャパンは新たな賃上げの方法を認知してもらい、福利厚生を通じた働きやすい社会の実現を目指すとしている。

第3の賃上げによる効果

福利厚生を活用した第3の賃上げによる効果は企業側の節税、従業員側の実質手取りUPだけではない。

「#第3の賃上げアクション」プロジェクトが行った調査によれば、第3の賃上げ導入後に感じた効果について「従業員の満足度やエンゲージメントの向上(60.2%)」「人材確保・採用時のアピール(58.4%)」「人材定着・離職率の改善(38.9%)」が上位にあげられている。

出典元:賃上げ実態調査2024(「#第3の賃上げアクション」プロジェクト)

また実際に第3の賃上げを導入する企業へ導入後の継続率や効果などを3社にうかがった。

「第3の賃上げを面接や採用の際に活用しています。エデンレッドジャパンの食事補助を活用していますが、継続率は100%です。これにより、人材確保のみならず離職率の低下にも繋がっていると感じています」。(アイシーティーリンク株式会社 取締役副社長 吉野真吾氏)

「エデンレッドジャパンの食事補助を活用していますが、導入によって現場から喜びの声が届いています。継続率は100%です。弊社では職員紹介による採用にも力を入れているため、紹介の際に福利厚生が入職のきっかけになってくれるといいなと思っています。また弊社は介護報酬によって職員の給与が決まる介護事業を行っている関係で、賃上げを積極的にできない業界です。そんな賃上げが難しい業界でも取り入れられて、人材の定着に大きく貢献するのではと期待しています」(株式会社ハートコーポレーション 常務取締役 岡嵜将志氏)。

「フリーの借上社宅制度を活用していますが、新卒の方や若い年齢層の方に非常に喜ばれています。弊社はスタートアップ企業のため、人材確保が事業の成長に直結すると考えています。そのため第3の賃上を活用して引き続き、エンゲージメントの強化や採用も強化していきたいと考えています」(株式会社YOUTRUST 経営企画部 人事労務G リーダー 加藤マキ氏)。

左から吉野氏、岡嵜氏、加藤氏

通常賃上げと第3の賃上げ、どちらが効果的か

第3の賃上げはスタートアップや業界的に賃上げが難しい企業でも取り入れやすく、人材確保につながる取組だと分かったが、通常の賃上げと第3の賃上げはどちらが効果的だろうか。#第3の賃上げアクションプロジェクトによれば「通常の賃上げ(34.5%)」「通常の賃上げと第3の賃上げ両方(33.8%)」「第3の賃上げのみ(31.8%」とほぼ同数の結果になったという。

出典元:賃上げ実態調査2024(「#第3の賃上げアクション」プロジェクト)

定期昇給や基本給のベースアップ等の通常の賃上げは、目に見えて実感できるため、モチベーションアップや全員が自由に使える公平性の高さが支持されているようだ。第3の賃上げに関しては、福利厚生を活用するため人件費の総額が維持できることや賃金アップが難しい時の対応として支持されていた。

また賃上げと福利厚生の両方が効果的だと回答した声としては、給与も福利厚生も両方大切なのでそれぞれのメリットを上手く活かしたいという意見が多く見られたという。

この結果を受けて、フリー株式会社 HR事業部 社宅事業責任者 相澤茂氏は「どの賃上げが良い悪いではなくて、各会社の現状や経営課題によって最適な賃上げ方法を選んでほしい。そのためには第3の賃上げという新たな選択肢を知ってほしい」と締めた。