freee、医療法人向け「freee for 医療」提供開始 医療バックオフィスの負荷軽減を支援
フリー株式会社(本社:東京都品川区、CEO:佐々木大輔、以下「freee」)は3月9日、医療業界向けの新パッケージ「freee for 医療」の提供を開始した。医療機関では人材不足や業務の複雑化などを背景に、管理部門の業務負荷が高まり、現場の疲弊が指摘されている。こうした課題の解決を目的に開発された本パッケージの機能について、同日開催された記者発表会で説明が行われた。本稿では発表会の内容をレポートする。
医療機関が直面する経営課題
会見ではまず、医療機関が直面する経営課題が示された。厚生労働省のデータによると、医療法人の現預金回転期間は中央値2.5カ月と短く、診療報酬の入金まで約2カ月を要する構造が資金繰りを圧迫している。日本医療法人協会の調査では、医療利益が赤字となる法人が約75%に達しており、2024〜2026年にかけてコロナ時に利用した「ゼロゼロ融資」の返済ピークを迎える点も、課題として挙げられた。
中長期では、2026年以降本格化する「地域医療構想」への対応が求められる。厚労省は人口20〜30万人に急性期病院1つを配置する指針を示しており、病院の機能分化や多角化が進む見通しだ。複数施設を運営する医療法人では、会計基準やシステムが施設ごとに異なるケースが多く、データ分断や再加工の負荷が増大しているという。
登壇した業種戦略グループ⻑の和⽥矩明執行役員は「地域医療構想を進めていけばいくほど、事務員さんの負荷が増えてきます。そしてデータが統一されないまま運用が広がることで資金状況を把握しづらくなり、経営のブラックボックス化が進んできているという声が多く寄せられています」と、実務面での具体的な問題点を指摘した。
「freee for 医療」の概要
こうした背景を踏まえ、freeeは医療法人向けに会計・バックオフィス機能を統合した新パッケージ「freee for 医療」を開発した。パッケージの監修は、医療業界の税理士法人として⽇本最⼤⼿である⽇本経営グループが手がけている。
「freee for 医療」の主な特徴は以下の通り。
・医療法人会計基準・病院会計準則に対応
医療法人会計、病院会計、訪問看護、老健など複数の会計基準に対応。法改正や様式変更にもクラウド上で迅速にアップデートする。
・複数施設の会計処理を一元化
病院、診療所、介護施設など、形態の異なる拠点の会計データを単一のプラットフォームで統合管理。部門別PL・BSも自動生成する。
・行政提出書類をワンクリックで作成
税務署、都道府県、厚労省の各種様式に対応し、必要な帳票をクラウド上で自動作成する。従来は手作業や高額パッケージに依存していた再加工作業を削減する。
これらの機能により、医療法人は管理会計を横断的に進めることができ、会計担当者の作業コストを大幅に削減できるという。また、院長や経営者が知りたい経営状況も、いつでもチェックが可能になる。
和田氏は「必要な数字が見えることで、自転車操業に陥りやすい資金管理から脱却できます。会計処理の標準化と自動アップデートにより、地域医療構想への対応も進めやすくなります。経営やバックオフィスの再構築が求められる今、当社の専門スタッフが導入から運用まで伴走していきます」と語った。
今後の展開
和田氏は今後の展開として、地域医療構想に向けたバックオフィスのシェアード化や、アウトソーシングセンターの構築支援を行う構想について語った。また、医療以外の業種向けにも「freee for ○○」として業界特化型パッケージを展開する計画だ。こうした取り組みがさまざまな業界の業務改善にどのような変化をもたらすのか、引き続き注視していきたい。











