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アスクルがソフトバンク協力の下、新事業「ビズらく」で中小企業のDX推進

2022.11.11
「アスクル新事業発表会」に登壇したアスクル株式会社事業開発室室長の成毛一行氏(左)、同代表取締役社長CEO吉岡晃氏(中央)、ソフトバンク株式会社の代表取締役副社長執行役員兼COOの今井康之氏(右)

アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡晃、以下「アスクル」)は、ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)の協力の下、2022年10月31日に新事業「ビズらく」を開始。「アスクル新事業発表会」を行った。

「お困りごと」は「オフィス用品」から「DX推進サービス」へ

「お困りごと」は「オフィス用品」から「DX推進サービス」へ

「ビズらく」は企業が抱える業務に関する「お困りごと」をデジタルの力で解決する、アスクルの新たなソリューション事業。DX推進に必要なSaaS・通信商品およびサービスを販売するウェブサイトを展開する。

商品およびサービスは同社が厳選したものに加え、オリジナル商品もラインアップ。DXが課題でありながら何から始めたらいいか模索する企業からの相談を、電話もしくはオンラインにて無料で受け付け、相談内容に応じて商品の導入からアフターサービスまでをワンストップでサポートするという。

「ビズらく」には3つのサービスあり、まず無料のお悩み相談「ビズらく相談室」。1社当たり月額22,000~27,500円(税込み)で提供するタブレットを活用した情報システム部門の代行サービス「みんなのITサポート」。グループウェア、WEB会議、勤怠管理など14カテゴリーにおいて、32商品の商品販売。以上の相談、サポート、販売による「お困りごとの解決で仕事を『らく』にしたい」をコンセプトに、主に中小企業が抱える悩みをデジタルの力で解決することを目指す。

中小企業のDXの遅れは大きな社会課題化しているのでは

同社が「ビズらく」事業を開始した背景には、急速に進化、加速する社会状況がある。

プラス株式会社アスクル事業部として事業所向け通販サービスを営業開始してから来年で30年を迎えるアスクル(1997年5月にアスクル株式会社として営業開始)は、2022年8月現在、500万事業所が登録。医療、製造、小売り、建設、介護、教育、サービス、不動産といった、様々な業種の事業所からの利用がある。

発表会に登壇したアスクルの吉岡晃社長は中小企業の課題として「労働人口が減り続け人手不足が慢性化する中でデジタル化に向けた法改正が進み、さらに働き方の多様化も加わってきた」ことが大きいと指摘。中小企業においてはリソース不足もあり対応するハードルは低くなく、結果として対応が遅れ、「もはや大きな社会課題化しているのではないか」(吉岡社長)という。

こうしたことから、「課題認識に立ち、中小企業事業者が具体的にどんなことに困っているかに寄り添った」と吉岡社長は話す。同社のアンケートによれば、DXを知らない層が約51%と半数(※1)、システム部がない企業が約54%(※2)に上った。またデジタル化を進めるための「ITツール購入時に重視するのは?」という質問には、「導入・アフターサポートがある」と答えた回答者が最も多く、2番目に「価格が安い」こと、次に「相談や質問をしやすい」「直接商品の説明を受けられる」の回答が多かった(※3)。

※1:ASKUL お客様アンケート/2021年5月「DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する調査」より(n=2,693)
※2:ASKUL お客様アンケート/2022年3月「お勤め先の職場環境に関するアンケート」より(n=4,389)
※3:ASKUL お客様アンケート/2022年7月「お勤め先のIT環境に関するアンケート」より(n=1,386)

デジタル化に関し、まずはお客様の心のハードルを下げる

デジタル化に関し、まずはお客様の心のハードルを下げる

吉岡社長によれば、物品購買においては、価格や商品の品質に関して、あるいはお届けに関する要望が多い。しかしデジタル化に伴うITツールの導入に関しては、「何を選んでいいのかわからない」「PC故障時の相談先がない」「情報システムを外注できるなら費用が掛かってもお願いしたい」など、悩みも様々だ。だからこそ「ビズらく」では「まずお客様の心のハードルを下げていくこと」(吉岡社長)を重視すると言い、困りごとに対応する相談室の設置や顧客のデジタル化診断などのレポートを配信、活用したうえで、「最適で十分な商品をご紹介していく」と顧客に寄り添うサービスであることを強調した。

ソフトバンクはアスクルとの連携でお客様との接点拡大へ

ソフトバンクはアスクルとの連携でお客様との接点拡大へ

実は「ビズらく」事業は構想から9カ月でのローンチだ。その実現にはソフトバンクの支援がある。

ソフトバンクは2022年度以降の法人事業の重要な戦略に中小企業向けサービスの強化を位置付けている。同社代表取締役副社長執行役員兼COOの今井康之氏は、アスクルとの連携のメリットを中小企業へのタッチポイント拡大を挙げ、「デジタル庁は『誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化』をうたっているが、当社では『誰一人取り残さないデジタル社会への貢献』を従来から役割としてきた。(今回の提携により)お客様との接点が拡大し、かつ中小企業のお悩みがわかると考えた」(今井氏)

※1:総務省「平成28年(2016年)経済センサス-活動調査」をもとにソフトバンク社が作成したデータより
※2:(Progate・MMD研究所「企業のDXおよびデジタル課題に関する実態調査(2022年2月)」をもとにソフトバンクが作成したデータ)

まとめ

「ビズらく」の今後の展望について、吉岡社長は「想定利用企業数は定めていないが、現時点では3~4年の中期スパンでGMV(流通取引総額)100億円規模を考えている」とした。既存の中小企業向けIT商材事業者よりお客様に寄り添う点が強みであるという「ビズらく」で、デジタル化の不安を解消しながらツールの導入ができるかもしれない。