インボイス登録300万件突破　法人が牽引も 登録ペースは鈍化　ためらう小規模事業者多数

2023年5月末のインボイス登録は315万9235件に達した。牽引しているのは法人で、課税事業者の大半が登録した。しかし、個人事業主は5月の月間登録が4月に比べ25.1％減など、登録が進んでいない現状。国税庁などは、周知広報や相談体制の強化を進めるが、登録を躊躇する個人事業主や免税事業者が多いようだ。

法人、個人事業主ともに登録ピークは過ぎたか

東京商工リサーチの分析によると、インボイス制度登録件数の月次推移をみると全体の登録件数は低下している。（※1）法人、個人両方で見ても減少していることからピークは過ぎたかと予測できる。
順調に登録が進んだ法人と比べ、個人事業主は2023年3月の18万4816件をピークに2カ月連続で前月を下回った結果となった。インボイス制度が進むよう、国税庁・中小企業庁など各庁で相談窓口の設置や著名人を活用した動画配信など周知広報に対する取り組みを行っている。

※1　出典元：東京商工リサーチ

インボイス制度（適格請求書等保存方式）スタートまで4カ月　伸び悩む登録率

2023年5月末のインボイス制度登録は315万9235件に達した。（※2）国税庁によると2023年3月時点での登録件数は法人と個人事業主で増加しているものの、法人約88％に対し個人事業主は約53％にとどまっていた。（※3）

もともと、インボイス制度の登録期限は2023年3月末だったが登録状況が芳しくなく、9月30日まで猶予が設けられている。

また、課税売上高1000万円未満で消費税の納付義務のない「免税事業者」がインボイス制度へ登録すると課税事業者となり、軽減策はあるものの消費税の納付義務が生じることから登録が進んでいない。

計画どおり、2023年10月にインボイス制度開始に至るのか、登録していない事業者への影響など課題は山積みだ。

※2　出典元：国税庁　適格請求書発行事業者の登録件数及び登録通知時期の目安について

※3　出典元：国税庁　インボイス制度の周知広報の取組方針等について