「従来採用できていたレベルの人材が採用できていない」──デジタル技術に人手不足解消を期待[日本生産性本部調査]
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人日本生産性本部(所在地:東京都千代田区、理事長:前田和敬)の国際連携室は10月3日、第2回「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」の結果を公表した。
調査概要
調査目的:労働生産性の現状認識や生産性向上の阻害要因、改善策等について、ビジネスパーソンの意識を定量的に把握し、論点を深耕させるための基礎資料とする
調査対象:従業員規模300人以上の組織で働くビジネスパーソン2804名(会長・社長・取締役・執行役員などの「経営層」604名、部長・課長などの「管理職層」1099名、係長・主任などの「非管理職層」1101名)
調査時期:2023年8月
調査方法:クロス・マーケティング社によるWebアンケート調査
労働生産性低迷への危機感
経営層では「かなり危機感がある」との回答が37.7%と最多となった。管理職層・非管理職層では「やや危機感がある」との回答が多かった一方、「わからない」との回答も目立ち、役職によって温度差がある。前年度調査(2022年7月公表)と比較すると、経営層のうちトップマネジメントでは、「かなり危機感がある」が減り、「わからない」が増加している。
人手不足の影響とデジタル技術の進化
全役職・全産業共通で「従来採用できていたレベルの人材が採用できていない」との回答が3割を超え最多となった。一方で、デジタル技術の進化が「人手不足解消に貢献している」との回答も一定程度あり、人手不足をデジタル技術で補う動きもみられる。
生成AI等新技術に対する意識
全役職・全産業共通で「無駄な作業・業務が減り、ワークライフバランスが改善する」との回答が最多。特に、「自分の仕事が代替される脅威を感じる」という回答は、経営層のうちトップマネジメントで13.1%と、他の役職よりも多い結果となった。
イノベーションを促進するための取り組み
全役職・全産業共通で「イノベーションを担う人材の育成」が必要との回答が最も多く、「チャレンジを支援・奨励する組織風土づくり」が続く。経営層のうちトップマネジメントは、「外国人を含む高度専門人材の活用」や「産学連携の強化」の回答が他の役職より多く、外部リソースの活用を志向していることが推察される。
まとめ
労働生産性の低迷について、役職によって抱く危機感に差があることが判明した。デジタル技術や生成AI等の新技術によって効果が得られている面もあるようだ。役職間の意識の差を埋め、社内で共通認識を持って取り組んでいくことが重要だろう。