高齢になっても働き続けたい理由は「健康」「収入」「やりがい」【シニアの就業実態・意識調査】
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、働き方の実態や就業意識、成長の実感度・イメージについての経年調査「働く1万人の就業・成長定点調査」を2017年にスタートし、今年で7回目となる調査結果を2023年5月に発表。今回は、その中からシニア就業者(60~69歳)、およびプレ・シニア就業者(55~59歳)の就業実態・意識について、分析した調査結果を公開した。本調査では、シニア就業者、およびプレ・シニア就業者の意識・実態から、企業・個人双方のシニア活躍の検討材料を提示することを目的に2次分析を実施した。
特設サイト:「シニア就業者の意識・行動の変化と活躍促進のヒント」
シニアの働く意識の変化
2017年以降シニアの就業率は高まっているが、いずれの雇用形態、職種、年収においてもシニア就業者の就業終了希望年齢には変化がみられない。直近のシニアの就業率の上昇は、シニア本人の意欲や希望の変化というよりは、企業の雇用姿勢の変化や老後資金獲得の必要性など、外部要因により高まっている面が大きいと推察される。
シニアの転職・副業の変化
60歳以降の転職理由、「給料に不満がある」は2021年から増加。一方、「倒産/リストラ/契約期間の満了」は減少している。
2022年の厚生労働省の調査では、シニア就業者(60代)の18.2%が転職を経験し、他の世代の就業者と比較すると、30代の就業者に次いで多い水準であった。
シニア就業者の仕事選びの重視点は、「通勤の便」「働く時間を選択できる」のほか、過去のキャリアを活かして自律的に働くことを希望する傾向が見られる。
また、副業をするシニア就業者は、20代に次いで多い。シニア就業者の「副業」の実施率は、2021年以降横ばいで推移し、2023年は7.5%であった。
Well-beingにはたらいているシニア就業者の特徴
シニア就業者は他年代よりも、はたらくことを通じて幸せを感じている割合が46.6%と高く、不幸せを感じている割合は10.9%と低い。
また、過去1年間で仕事を通じた成長を実感したシニア就業者ほど、はたらくことを通じて幸せを感じている。その理由をたずねると、「仕事にやりがい・意義を感じることができた」が41.9%と最多で、他の年代よりも多い傾向となった。
Well-beingにはたらいているシニア部下に対する上司の行動の特徴は、「存在承認」「平等な接し方」「意見を取り入れる」「仕事の進捗支援」「組織目標の明確な伝達」であった。
まとめ
近年の社会情勢の変化によりシニアの就業率は大きく高まっている。他方で、シニア就業者自身の「働き続けたい年齢」は上昇しておらず、働き続けるモチベーションはマクロな傾向としては変わりがないようだ。企業としては、継続雇用後のシニア就業者のWell-beingに目配りし、活躍を促すことが重要になるだろう。雇用継続の仕組みだけでなく、成長が実感できる業務分担や上司の対応といったソフト面もアップデートしていく必要がある。
シニア人材の活用事例と支援制度について、岐阜県の事例だが厚生労働省がまとめている(※1)。事例を見ながらシニア人材の活用を考える機会にしてみてはいかがだろうか。
※1 参照元:シニア活用企業事例集