【2024年労働市場の展望】慢性的な人手不足の中でも流動化加速の可能性

Indeed Japan株式会社（本社：東京都港区、代表取締役：大八木紘之）は、国際的な調査・研究機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト青木雄介氏によるレポート「2024年日本の労働市場の展望：慢性的な人手不足の中でも市場の流動化が加速する可能性」（12月15日公開）について、特に求職者の関心の高まりが見られる4つのキーワードを解説した。

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4つのキーワード「シニア」「リモートワーク」「賃金」「異職種」

同社は厚生労働省の労働力調査を参照し、転職希望者が年々増加しており最新の2023年第3四半期（7月～9月平均）では1000万人を超えているとした。これは就業人数の15%に当たる。一方で、実際に転職した人数は325万人であり、パンデミックが深刻となった2020年や2021年と比べて直近は微増傾向だが、未だほぼ横ばいであることを明らかにしている。

Indeedの仕事検索データや求人クリックデータは、求職者が何に関心が高く、どのような仕事を希望するかを示す先行指標となるため、これらのIndeedデータを元に今後の転職希望者数や転職者数の変化の見通しを分析。その結果、求職者の関心の高まりが見られる4つのキーワードが「シニア」「リモートワーク」「賃金」「異職種」が見えてきたという。同社はこれらの4つの関心に着目し、それらに対して取り組むことが労働市場のさらなる流動化に向けた鍵となると推察している。

シニア

求職者の仕事への関心の指標となるIndeedの検索トレンドを見ると、シニアに関するキーワードで検索した場合は全体の検索数の約2%を占め、高い水準かつ上昇傾向であることがわかる。2024年もシニアの転職希望が増加する可能性は非常に高いだろう。

※シニアに関する関連キーワードは「60歳／60代」「65歳」「70歳／70代」「シニア」のキーワードが対象

リモートワーク

Indeedの検索キーワードでは「リモートワーク」はシニアと同様に検索数の2%超を占め、高い水準であることに加え、一貫して上昇傾向にある。Indeedで仕事を検索する際に、多くの求職者が、関心のある仕事内容や職種、雇用形態をキーワードに入力する傾向がある中で、全検索の2%超を占めるということは、求職者にとってリモートワークという働き方が、仕事を選ぶうえでの重要な条件のひとつとなっており、それが定着しつつあることを示していると言えるだろう。

※リモートワークに関する検索キーワードは「在宅勤務」「リモートワーク」「ハイブリッドワーク」「在宅との混合」など様々なキーワードを対象としている。

賃金

時給に関するキーワード検索では、2022年に引き続き、2023年も1500円や2000円の検索が1000円を上回り、差が広がっている。同様に、月給については40万円が20万円の検索を上回っていることがわかる。全体的に、求職者は以前よりも高い賃金を検索することが増えてきていると言えるだろう。

異職種

Indeed履歴書の登録データと求人クリックデータの分析の結果、各職種へのクリックの割合は基本的に同職種からの割合が多い一方で、一部の職種カテゴリでは異職種からのクリック割合が増加傾向にあることがわかった。その典型例として挙げられる「ソフトウェア開発」求人へのクリックは、2019年から2022年にかけて5.4倍に増加しているが、その増加には異職種からのクリックが寄与している。昨今のDX化やITへの関心の高まりが求職行動にも影響していると考えられる。一方で、志望職種とスキルや経験との乖離がもし大きいとなれば、実際に転職することは難しくなることから、リスキリングなどの取り組みが重要であり、リスキリング次第では、現在よりも異職種への転職が増える可能性があると言えるだろう。

まとめ

厚生労働省が発表している労働経済動向調査結果（令和5年8月）によれば、労働者の過不足状況は正社員等労働者は49期、パートタイム労働者は56期連続で不測超過となっており、同社でも2024年も引き続き人手不足の状態となることを予測。一方で転職希望者は1000万人を超え、市場の流動化は加速していく可能性があるとしている。同社が発表した4つのキーワードをもとに、自社でどのように取り組んでいくか検討してみてはいかがだろうか。

参照：厚生労働省　労働経済動向調査結果（令和5年8月）